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スキルさんが意思を持った世界で盲目の少年は冒険を夢見る  作者: 猫かるちゃー


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400・王都に向けて

前回のあらすじ


ある晩アネット宅にやって来たエルヴィラは「妹から話がある」と言われる。『鍵』の問題を何とかするため王都に向かうアネットは中継地としてラズフォートに寄る事を決めるのだった。

「それじゃ行ってきます」


「えぇ 行ってらっしゃい 3人とも気を付けて行ってくるのよ? 怪我とかしないように」


「大丈夫よ 私がちゃんと皆を守るわっ」

『守る~!』

『る~!』


「ソフィリアも 僕達の留守中伯母さんと家の事お願いね」

「や~~~~~!!」



 王都への旅の出発当日。前日に何度説明してもソフィリアは納得してくれなかった。なので今もこうして僕に抱き付いたまま離れてくれないでいる。


 そしてもう1人・・・



「アズリも ごめんだけど僕達の家族の事お願いできる? 君の予感が当たってない事を祈るのみなんだけど 何かあった時は君の直感に任せたいんだ・・・ね?」


「・・・・・・」



 困った事に抱き付いたまま離れないソフィリアと同じくアズリも僕の袖を掴んだまま離そうとしない。オマケに凄い不安そうな色してるものだから出掛けにも拘わらず僕まで伝染して不安になってくる。



〔貴女も何かのビジョンが見えるスキルだったら良かったのに〕


「こればかりは感覚だからね」



 そしてミストリアが近付くと相変わらず気絶しそうな程の恐怖に震えるアズリ。旅先で過酷な試練が待ち構えてそうな暗示にも取れるので流石のミストリアも気落ちしてしまっている。


 体調不良が更に加速しなきゃいいんだけど。


 この後グズる2人を何とか宥めて僕達3人はようやく待ち合わせ場所の騎士団詰所まで行く事ができた。


 旅のルートとしてはここから馬車でスプリントノーゼへ。街には立ち寄らずルディア達と合流。彼女の用意する馬車に乗り換えてラズフォート。ラズフォートから王都へと向かう流れとなっている。



「おはようございます」


「おはよう 道中宜しく頼む」



 エルヴィラさんと合流してから騎士団の馬車に乗りスプリントノーゼまで揺ったりとした時間を過ごす。


 到着までの間は世間話から始まって近況の報告、そして『予見の目』で何を言われるのか、ミストリアの体調について騎士団に情報はないか等々。気の知れた仲ならではの会話が弾んだ。


 残念ながら有力な情報は無かったものの普段では味わえない旅情風景がそこにはあった。


 問題はその後だ。



「いらっしゃいアネット 待っていたわ」


「こんにちわルディア 王都まで宜しくね・・・ルディア? 何か近くない?」


「あら そんな事ないわよ」



 スプリントノーゼの街の外で無事にルディアとロダリオ2人と落ち合えた僕達は馬車の乗り換えのための準備をする。その間も会って早々も僕はルディアに妙な絡まれ方をした。


 でも実は〔こうなるんじゃないか〕とミストリアからは事前に聞かされている。



「ちょっと貴女! くっつき過ぎよっ アネットから離れて!」


「あら良いじゃない 別に彼 貴女のものじゃないんでしょう? それにアネットは私の特別・・・? なんだから」


「はぁ!? 何よ特別って!」



 会合の際にルディアの内面を覗いたミストリアによれば、ハルメリーを手中に収める我欲が半分、残りの半分を脈絡ない僕への思いで占められていたとの事。


 ミストリアの推測ではおそらく『神言』でもルディアの“精霊さん”と僕への執着は完全に変える事ができず、頭の中を中途半端に曖昧にさせてしまってるのかも・・・と。可哀想に・・・



「さぁアネット 王都までは私が用意したこの特製の馬車で行くわよっ」



 ルディアも旅好きなのか分からないけど浮かれた様子で自前の馬車に乗り込んでいく。これからそこに足を踏み入れるのか・・・


 まるで前途多難な魔窟にでも誘い込まれるような心境に躊躇ってるとロダリオがそっと僕に話し掛けてきた。



「なんか すまないな色々と・・・」


「ううん いいよ 僕等も色々やらかしちゃったからね・・・」



 彼との経緯はまぁ互いの立場と出来事と成り行き的な部分が大きい。意見の違いはあったけども反目する程の事でもなし、重要なのはまたこうして隣に立てると言うことだ。



「やらかしか 確かにやらかしたな だけどこっちは毎日そんな感じだ ルディア様に付いて歩いて やってる事は駆け引きと騙し合い 元々世界がそうなのか 貴族が世界をそうさせたのか・・・


 闘技場の一件以来ルディア様がおかしい 会話の最中も唐突にお前の名前が出てくるんだ 何故かは敢えて言わないが 彼女は欲しいものを手に入れないと気が済まないタイプだ


 道中気が休まらないだろうが ルディア様と縁を持ってしまった不幸とでも思って諦めてくれ 俺は遠巻きに見てストレス発散に利用させてもらうよ」


「ご ご忠告どうも・・・」



 人の命を貨幣のように扱うルディアに絡まれるってどんな感じだろう。手の上で転がされる感じだろうか。犬のように扱われるとか椅子にされるとか?


 いずれせよ良いイメージが湧いてこない。


「さぁ早くっ」と僕の腕を引っ張るルディア。彼女の用意した魔境・・馬車に連れ込まれると、先ず先に感じたのが足の感覚の変化だった。


 柔らかい・・・ 次いで鼻孔。香水の香りだろう。それが車内全体に広がっている。僕が今まで乗った馬車よりも、と言うより馬車とは違う高級な部屋にでも迷い込んだ感覚に戸惑った。



「うわっ すごっ 床柔らかっ!」


「流石にこのレベルは中々無いぞ」



 貴族に連なるエルヴィラさんにまでそう言わしめるこの馬車って何だろう。言ってはなんだけど血塗られた金貨の山の上で作られた呪われた馬車・・・みたいな想像が、ルディアが拘わってると言うだけで抱けてしまう。



「どう? 我が伯爵家自慢の珠玉の逸品よっ」


「す 凄いんだね・・・」



 子供の通学に家宝ともとれる高級品を与えるルンドレン家当主。娘を溺愛してるのか伯爵家として見栄を張りたいのか。はたまた親でさえ言いなりにしてるのか・・・何にせよ末恐ろしい。


 そんな道中の車内はもっと混沌とした渦が僕達の心を締め付けると思ってたけど意外とそんな事はなく、普通にそれぞれの近況を語らう場として和やかに王都への途上を進んだ。



「ふぅん 体調不良ねぇ その無駄にデカイ2つの肉のせいなんじゃない? 貴女の水の魔法って実はそこで精製してたりして」


〔聞いたわよ 貴女って最近意味もなくアネットの事を口走るんですってね いつも口から毒を吐くものだから終には頭にまでその毒が回ってしまったのかしら〕



 うん・・・2人の距離を考えると会話ができない程の空気が張り詰めるよりはマシだよね。今は冬なんだし張るのは氷だけで十分。


 それにせっかく高級な馬車なんだから優雅な旅路と洒落込みたいし。


 ・・・高級って何だろう



「僕達はミストリアの体調不良の原因を探しに学園のファムエル教諭を訪ねるつもりなんだ」


「ふぅん あの先生そんなに博識には見えないけど」


「彼女の調子はその 病とかじゃなくて もしかしたらスキルが原因なんじゃないかって 何か覚えちゃいけないスキル覚えちゃったとか 精霊さんが原因・・・とか」


「精霊さん? 精霊さんってあのおとぎ話の? アハハ 子供じゃないんだから でもそんな事言うアネットは可愛いわ」


「そ そう・・・?」


〔・・・・・・〕



 やっぱり覚えてないみたい。あんなに拘っていたのに。不特定多数の人の記憶を書き換えてしまう程のスキル。効果は抜群だ。


 でもそれだけ強力となるとやっぱりこれが原因なのかな。



「冗談は兎も角 不思議よね どうしてこうも貴方の事が頭から離れないのかしら 普通にしてる時も人と話している時も いつも片隅に貴方がいる ・・・もしかして ・・・これが ・・・恋?」

「それ勘違いだから」

〔末期ね 一度頭のお医者さんに診てもらった方がいいわ〕



 ・・・ん? 


 よくよく考えてみたらミストリアがスキルのせいで体を崩したとなった場合、ルディアの頭の変調もそれと同等になるのかな。もしミストリアの症状が改善しないとなった場合ルディアの頭もこのままなんじゃ。


 ゾクリ・・・


 ま・・・まぁスキルの事はスキルで解決するしかないので、幸い超常的な『予見の目』を持つ人物に会うことになってるわけだし? 神託にも似た未来が提示される希望に賭けよう。そうしよう。


 そんなこんなで僕等の乗る馬車は山間部を抜け平地へ。ここまで数日掛かった馬車旅もようやく最初の中継地ラズフォートへと辿り着いた。










「私この町好きよ とても良い空気をしてるもの」


〔そうかしら 私は息が詰まるわ〕



 町に思い入れがあるのかルディアはラズフォートを賛美する。そこからも何と無く伝わるように、この町は貴族が羽を伸ばして過ごせるような「配慮」が随所に見られる町になっている。


 僕達がこうしてエルヴィラさん家が所有する邸宅に向かっているのも町と僕等両者が共に快適に過ごすための配慮と言うわけだ。



「それでは早速だが私は家族に会ってくるよ お前達はゆっくりしていてくれ」


「はい」



 別邸に到着して早々エルヴィラさんは妹さんに会うために実家へと歩いていった。ラズフォートはあくまで逗留するために寄った地なので、これと言ってやる事もないんだけど、僕は一ヶ所だけ行きたい場所があった。



「あの ちょっと冒険者ギルドに行って来てもいいかな」


「ラズフォートのギルドかぁ あんな事もあったし私も気になるわね」


〔時間もある事だし行ってみましょうよ〕


「へぇ~ 面白そうね 私も行くわ」


「え 冒険者ギルドだよ? ルディアの興味を引くものなんて無いと思うけど・・・」


「そうかしら ギルドと言えば町を運営する勢力の一画よね 貴族としてご挨拶くらいしておいた方が良いじゃない」



 何だろうこの「絡め取ってやる」みたいな感情がひしひし伝わる感覚は。見ていてとても黒い・・・


 でもここのギルド長って貴族にあまり良い印象を抱いていなかったような気がしたんだよね。


 ・・・荒れなきゃいいんだけど。





400話突入( ; ゜Д゜)

日記でも2日もたない私が・・・


今更ながら読者の方に質問なのですが、投稿頻度はどの程度がよろしいでしょう。例えば決まった間隔で投稿とか曜日とか或いは不定期でも構わないとか。そう言った事を教えてくれると助かります。


それと感想やアドバイスもドシドシ募集しています! 加えてブックマークとかしてくれたら嬉しいです(*´ω`*)



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