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スキルさんが意思を持った世界で盲目の少年は冒険を夢見る  作者: 猫かるちゃー


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399/426

399・会合の結果

前回のあらすじ


派閥貴族に責められたルディアは事態の解決にハルメリーでの会合を開く。そこでナイームとスロースの交換を持ち出すのだが話は町のアーキア人の問題へと発展していくのだった。

「商会としてはワッハーブ殿に一票を投じたいですな 閉じられた経済圏が開かれてこそ町は潤うのです まぁ確かに主観の相違でぶつかる事もあるでしょう


 しかし互いの言い分が分からないままでは前進はあり得ません 実際にそうなった際には騎士団と言う調停者が居りますので その先は彼等の領分かと」



 町にも利があると言いつつあの子の肩を持つ。商人らしい回答ね。で? 当の騎士団はそれにどう応えるのかしら。



「我々の役目は問題の解決と治安の維持であり町の政治は所管外だ とは言え不穏な動きがあれば随時応対する所存だ」


「冒険者ギルドとしても有能な人材が民族と言う壁に阻まれ 才能が埋もれるのはいただけんとは思っとる」


「・・・どうやら答えは出たようですな」


「くっ! 貴殿等はこの問題の根深さを分かっとらんのだっ 私は日々町の声を聞いてるから分かるっ 一度傾いた均衡は大事に至らなければ覆せんのだぞっ」



 私の学園生活と同じね。なあなあと学園に居続けた場合、私はどんな私になっていたかしら。たぶん誰との交流もなく卒業まで1人・・・


 でも自主退学にアネットとの出会いと言う大事があったからこそ私は変われた。困った事に人が人生の転機を迎えなければならない程の大事に至らなければ、誰も問題を問題と認識しないのよね。


 住民と接点の多い町長だからこそ分かる事情もある訳だし、この分野では彼の声に耳を貸すべきだわ。でもそれぞれに思惑が巣食ってると誰も話を聞いてくれなくなるのも事実。


 私を無視した生徒達みたいにね・・・



〔マイナス等級代表と言う事で 私からも一言宜しいでしょうか?〕


「何かね」


〔残念ながら『違いによる区別』は失くなりません それは見た目だけに留まらず 立場 職業 そしてスキルさん あらゆる所に貴賤は生まれます〕


「・・・何が言いたいのかね」


〔区別と差別の違いですわ 私達に感情がある以上 区別は差別に成り得ます もちろん差別を失くす努力の否定はしません 各言う私も言葉の刃に晒されてますもの


 ですが 冒険者風に例えるなら目の前にいるのが1匹のモンスターと大量のモンスター どちらが怖いのかと言う話です 許容の問題なのですわ 町長さんの仰る通り急速な変化は衝突を生むでしょう


 その傷は何世代にも渡って広がります そして緊張の堰(せき)が切れた瞬間 多くの血が流れる可能性を『違い』と言う問題は秘めている だからこそ一定の距離は必要なのです〕


「モンスターを引き合いに出すか 確かに 言葉の刃に晒され無粋な視線は我々を刺した しかし冒険者風に言い表すなら 立ち向かってこそであろう?」


〔なる程 立ち向かう・・・ですか 宥和ではなく〕



 よく言うわ。ルディアと結託して町を乗っ取る気満々のくせに。そもそもこの子が何か言ってくる時は大抵自分の利益を優先する時なのよ。他の全てを踏み台にしてでもね。


 きっとこの族長さんはそこら辺を分かっていないのでしょう。痛い目を見てからでは遅いのよ?



「双方 忌憚の無い意見じゃの 確かにギルドとしての意見と 町として考えた場合での意見は違ってくる とは言えデリケートな問題でもあるからの 同じ町に住む住民として今後とも話し合いの場を設けた方が良い案件じゃな」



 甘いわね。そんなもの平気で蹴飛ばしてくるのがルディア・ルンドレンと言う女なの。見ていなさい。



「そうね 私も性急が過ぎたわ ただ今後この町に携わる身として諸問題を解決したかっただけなの 他意はないわ」


『〔ミストリア・・・いちいち私のする事に水を差す女ね 忌々しい! でも私の勝ちよ 端から時間を掛けるのは折り込み済み だからこそじっくりと確実に 私の手でこの町を染め上げていってあげるわ〕』


「そうねぇ 此方としても不和は望まないわ とは言えアーキア人を押し込めたままと言うのも問題があるでしょう なので町との兼ね合いで適宜調整していきましょう? 平和的にね」


『〔フン 私が手中に収めてるのはアーキア人だけじゃないのよ? 今や商人達も私の言いなり 資源獲得 町の発展の旗印で経済を牛耳ってあげるわ アーキア人なんて後でどうとでもできるしね


 連中を利用して功績を上げ あんた達みたいな下賎な輩を みんな私の足下に這いつくばらせ誰も口答えできなくさせてあげるんだからっ オホホホホホッ!〕』


「・・・・・・・」


〔分かったでしょう? これがルディアよ〕



 この子の本心をソッと伝えると、さしもの冒険者の長も言葉を失くしたみたい。学園から飛び出してますます貴族らしくなっちゃって。まったく将来有望ね。


 でも町を引っ掻き回されるのはとても不愉快だわ。



〔ところでルディア 貴女学園の方は大丈夫なの?〕


「はぁ? 何急に 私の心配でもしてくれるの?」


〔えぇ 公務休暇があるとは言え最低限の出席日数はあるし 何より学業が疎かになってはいけないわ だって天下の伯爵令嬢が おバカで留年しただなんて 一生もののキズだもの〕


「なっ!!」












〔と言う訳なのごめんなさい ルディア・ルンドレンとロダリオ・ウィンスター 学園にはこの2人も追加で行く事になったわ〕


「え ・・・どう言う事??」



 忌々しいけど学園に縛り付けておけば少なくとも卒業までは大きな事はできない筈。町にはその間頑張ってもらいましょう。



 ★



「夜分遅くすまない 実はアネットに折り入って話があってな」



 ミストリアが目覚めて数日が経ち家族間で僕達の王都行きの話を詰めてる最中、もう日が沈んだ時分にエルヴィラさんが僕等の家の戸をノックした。


 彼女がこの家を訪ねたのは何気に初めてなんじゃないかな。ただ会いたくなったから・・・と言う訳じゃないだろうし。彼女の抱える心労からどうやら何かの相談事がありそうな様子だ。



「僕ですか?」


「お前達の王都行きの件だが 私も同行させてほしい その際にラズフォートに寄ってほしいんだ」



 何故エルヴィラさんが僕等の王都行きを知ってるかと言うと、先日の会合での折りミストリアとルディアの言い争いであれこれボロボロ悪口が飛び出た中にこの情報が含まれていたらしい。


 たぶん他にもあられもない内容が多分に含まれてたんだろうけど、ルディアと言う人物を町の重役が知る機会としては有益だったんじゃないかな? とも思う。



「え まぁ急ぐ旅ではないので構わないと思いますが・・・何かあったんです?」


「うむ 実はつい先頃実家から伝書が届いてな ・・・妹からだ」


「妹って確かにシルヴィーさん 予見の目の もしかして・・・」


「察しの通り お前に話があるらしい」


〔懐かしいわね 今度は逃げ隠れせずにお会いできるのかしら〕


「難しいだろうな 実はあの後妹の口利きで両親はまた同じ家で過ごす事になったんだ 予見の目 なんて言葉1つで簡単に動かされてしまうのだから 良いような悪いような


 だが母は相変わらずで シルヴィーを他人と接触させないよう振る舞っている 家族でしか妹には会えんだろうな」


「ラズフォートはここから王都までの中継地よね 私は苦い記憶しかないけどどの道寄る事になるんだし その時の事は着いてから考えればいいんじゃない? 今度は羽を伸ばせればいいんだけど」


「それに関しては以前母がこさえた別邸を利用してくれ 此方で手配しておく ・・・それにしてもだ シルヴィーの予見の目は家族の未来しか見れない筈なんだ それがまたもやお前を名指しとは もしかしたら本当に私とアネットは結ばれる運命にあるのかもしれない」

「そんな訳ないからっ!」

〔いきなり何を言い出すのかしらこの脳筋は〕


「ま まぁそれは置いといて アズリも自分の不安にしか感覚が働かなかい筈なのに そこに僕が含まれていたんだ 予見の目もあるからね もしかしたらこの王都行き 本当に何かあるのかもしれない・・・」





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