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スキルさんが意思を持った世界で盲目の少年は冒険を夢見る  作者: 猫かるちゃー


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398/426

398・ルディアの画策

前回のあらすじ


悪漢に追われ町を逃げ惑うアネット達の足は終に大通りで止まってしまう。しかしそこに駆け付けた騎士団とミストリアの手によって窮地を脱したアネット等だったが、ミストリアを見るアズリはより一層の絶望を見せるのだった。

「ルンドレン卿 事は我々の望まぬ方向に進んでいる自覚はおありか」

「左様 例え余興と言えどマイナス等級が勝つ等と言うシナリオは王の反感を買う失態だぞ」

「それだけではない 先日派閥の1組織としたアーキア人 何を勘違いしたのか我が物顔で街を彷徨いていると各所から陳情が届いていおる これでは敵対派閥の蠢動(しゅんどう)を許すぞ」


「わ 分かっている これらの件は我が家が責任を持って対処するので 各卿におかれては どうか冷静に事の推移を見守って頂きたい」



 アネットが貴族の催した決闘の場で勝ってしまったせいで、それを良しとしない同派閥の面々が私の家に押し寄せて責任の所在を求めている。


 それは良い。良くはないけどアネットは勝ってもらわなきゃ困るもの? ん・・・何で困るのかしら。そのせいで貴族から責められているのに・・・


 特別だから? ・・・特別? 何で?


 最近・・・ちょっと記憶があやふやなのよね。


 それは兎も角。


 王の意向に唾を吐く珍事にアーキア人の問題。どれも上手くいかないわね。でも要はそれらを塗り替える程の功績があれば良いのよ。こう言う時こそ持ってるカードを切る時だわ。


 考えましょう・・・


 確かナイームってアーキア人が誘引剤を持ち込んだのよね。それを公爵家が囲った。でも用済みになった彼はお払い箱。ハルメリーの連中に連れ去られたんだっけ。


 そもそもユシュタファは誘引剤とアーキア人の縁を切りたがっていたし・・・ これ何かに使えないかしら。


 そう言えば街を真っ暗にした一件も犯人は捕まっていないのよね。だったらそれをナイームのせいにして・・・でも今はハルメリー。


 ハルメリーハルメリー・・・何かこっちに接点は・・・


 そう言えばスロースなんてのが居たわね。アネットを裏切ったクズ。って事は向こうの連中も探してる筈・・・


 うん整った。



「皆様 こう言う案は如何でしょう スロースなる人物とナイームなるアーキア人の交換をハルメリーに持ち掛けるのです」


「む? 誰だそいつ等は」


「はい どちらも極悪人ですわ そもそもナイームは違法な薬物に手を出し先日この街を暗い闇に染め上げた張本人 かたやスロースはハルメリーの民衆を裏切った犯罪者」


「それが何の役に立つ」


「実は私 ハルメリーのアーキア人とは縁がありまして 彼等はかの町に根差す事を目的としてますの なのでそのお手伝いを・・・ そこでここのアーキア人をハルメリーに送り人数を調整 街の方々にはナイームを公開処刑する事で溜飲を下げていただこうかと」


「ふむ・・・しかし我々の面子はどう担保される」


「ハルメリーは鉱石資源の採掘地 送り込んだアーキア人を利用して我々派閥の影響力を拡大していきます 少々お時間を頂きますが アーキア人のみならず私の庇護を望む商人も多いのです


 今では商人も冒険者と同じくランク制を導入し採掘作業に従事しています ・・・そう スプリントノーゼには無い要素 資源の獲得が狙えるのですわ」


「ほう なる程な しかしそう上手く事が運ぶ保証はないぞ 町への工作となると根回しも必要になるかもしれん」


「元々ハルメリーのアーキア人は町に馴染めず貴族に囲われていた過去が御座います 居場所を確保する為ならそれこそ何だってやるでしょう 何と言っても誘引剤の製造拠点は彼等の集落にあったのですから」


「なる程 商人にアーキア人の政治的利用か まぁルディア嬢のお手並み拝見と言ったところだな」


「ウフフ ご期待に添えてご覧に見せますわ これで堂々とハルメリーに行ってアネットに会う口実が・・・ ん? 何でかしら」



 まぁ良いわ。この私がハルメリーに赴いて派閥の影響力・・・いいえ。私の支配下に置く為の浸透工作を進めれば、派閥の貴族と言えども私に軽率な態度はとれない筈。


 せいぜい上から私を見下してなさい。いずれ私がその頭を踏みつけてあげるわ。


 善は急げね。早速ハルメリーに向けて出発よ。待っててね。私のアネット!!


 ・・・


 ・・・ん?



 ★



「ミストリア ほんと大丈夫?」


〔えぇ 普通に生活する分には支障はないわ ただ走ったり戦ったりは・・・以前ほどにはできそうにないわね〕



 目が覚めて寝起きだから体がダルいと思っていたけど、あれから数日経っても体調は良くならないのは・・・まさか病気って訳じゃないわよね。スキルを使って病に臥せったなんて話は聞かないし。



〔やっぱりスキルのせいなのかしら それとも『鍵』になったせい?〕


「ミストリア 『鍵』の事覚えてるの? 精霊さんに関してもっ?」


〔え えぇ 覚えているわ〕


「みんな精霊さんの事も忘れちゃってて 覚えてるのは僕とミストリアだけみたいだ」


〔ねぇ失語さん 私に何が起きてるの?〕

『〔鍵としての準備が整っただけだよ〕』

〔準備が整うとどうなるの?〕

『〔精霊さんに会えるかも? それは分からないけど 資格は得た感じかな〕』


「僕も『鍵』って言われたけど普段と変わらないよ? どうしてミストリアだけ体調に影響がでるの?」


『〔それは分からない ボクは精霊さんじゃないからね 彼にも彼の理(ことわり)があるんだと思う〕』

〔私から見て不思議な存在のあなたより不思議な存在ね 私に手が届くかしら〕


「もし体調不良が『鍵』であるのが原因なら僕達が精霊さんに辿り着くしかないんじゃないかな でも 僕もミストリアの状態含めてギルドで聞いてみたりはしたんだけど・・・ ギルドでも分からなかったんだ」


〔・・・そう ・・・ ・・・ だったら学園に行ってみない?〕


「学園? 学園って 王都にあるミストリアが通ってたって言う学園?」


〔ええ アネットも以前会った事があるでしょう? 私の担任だったスキル学者のファムエル教諭〕


「あ あぁ・・・いたね 何かスキル事となると我を忘れるのだけは覚えてる ・・・うん そうだよ 王都はハルメリーより大きいんだし学園にも もしかしたら冒険者ギルドにだって手掛かりがあるかもしれないっ」


〔決まりね 私達の次の目的地は王都の学園よっ〕










 何て思っていたけれど、何でこんな事になっているのかしら。



「病み上がりにすまんの お主の力がどうしても必要な状況になっての 会談の間ワシの傍らでスキルを使ってもらいたい」



 何て言われて開かれたその会談に面倒なのが紛れ込んでるのを見て察したわ。



「あらミストリアさんお久し振り スプリントノーゼ以来かしら その節はお世話になったわね できる事ならお返しは熨斗(のし)を付けた上で倍にして返してあげたいとこだけど」


〔結構よ 貴女に拘わったせいで心と体に支障を来してしまったわ 贈り物なら気持ちだけ受け取っておくわね〕


「そう? 残念 ところでアネットは来てないのかしら」


〔どうしてそこで彼が出てくるの〕


「さぁ? 何と無く聞いてみただけよ せっかくハルメリーに来たのだから こっちから押し掛けるのもありよね」


〔ないわよ 迷惑だわ 貴女アネットに何をしたのか覚えてないの?〕


「私は彼に活躍の場を提供しただけだよ」


〔あれを活躍って あんな見世物みたいに─────〕

「ゴホン そろそろ話し合いをしたいのじゃが よいかの」


「えぇ 結構よ」



 冒険者ギルドの長ランドルフに呼び出されて来たこの会合は、平たく言えばルディア・ルンドレンと町の取引の場として開かれた商談の現場。


 相手は小娘とは言え貴族の名代である以上町としても扱いに苦慮したらしく、この場には各勢力の面々が集まっている。


 冒険者ギルドからはランドルフ。町の代表として何とかって町長と騎士団長のエルヴィラ。それから商会の代表バードラット。そして何故かアーキア人代表として族長のワッハーブ。



「で? この会合の場の発起人であるルディア嬢は ハルメリーに何を求めておるのかの」


「端的に言うわ そちらの捕らえているナイームとこちらのスロースを交換なさい」


「・・・ふむ もうちょい無理難題を吹っ掛けられるもんと思っとったが 意外な取引内容じゃの 理由を聞かせてもらっても?」


「互いに必要な犯罪者 それでいいでしょ? 別に逃がそうって訳じゃないわ ちゃんと刑に処すからそこは安心して」



 女の子が平然とそんな事を言う様は見ていて気持ちの良いものではないわね・・・ん? 分かってるわよ。彼女の本心を探る為に私を傍らに置いたのでしょう?



〔どうやら向こうでもアーキア人問題が起こってるみたい その見せしめにナイームが必要なんですって〕


「人の命が本人不在の会議の場で決まるとわの・・・ ・・・冒険者ギルドとしては異議は無いの そもそもナイームはそちらとの交渉で使う予定じゃった スロースに関しては此方にも非はある」


「ふ~ん もっと難航するかと思っていたけど案外すんなりいくものね」


「私からも良いか」


「ん? 貴方は?」


「ハルメリーの町長デュダルと言う 貴殿だろう ハルメリーの土地を買い漁っているのは」


「あら いけないのかしら 売られてるから買った 何も問題はないでしょう?」


「それはそうだが そこにアーキア人を入居させるのは止めてもらえんか」


「異議あり 何故我々が新しくできた家に住んではならんのだ 我々とてこの町の住人 拒絶される謂れはない」


「・・・以前は 一ヶ所に纏まってたから問題なかったのだ それが町全体に広がるとなると・・・な」


「それは差別だろう それともここの住民はアーキア人を町の同居人と認めないと?」


「そうは言ってない しかし 急速な変化は衝突を生む 正直町の中にはアーキア人を良く思わない者も多い それが自分の生活圏内に入るとなれば結果は見ずとも分かるだろう」


「相互理解 それは時間の問題だ 現に冒険者として活躍してるアーキア人もいる この際聞くが 町に住まう者として各員の意見を訊きたい」



 差別─────


 そんな言葉を前面に押し出されては返し辛いわよね。でも町長の言う通り衝突の危険性を孕むなら差別とは離して考えるべきだわ。


 だって時間を掛けた結果、互いの憎悪が膨らむ事だって考えられるのだから。相容れない相手とは生涯掛けても無理なのよ。


 誰かさんと誰かさんみたいにね。





もう1話投稿しますι(`ロ´)ノ

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