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第五章 キャンプの炎は、私の羞恥心を焼き尽くす

「なーなー山崎さん! 今年のGWさ、クラスのいつメン何人かで山にキャンプ行かね? ぶっちゃけ俺、前から山崎さんのことすげー気になっててさ。BBQとかしながら、もっとお前のこと知りたいっていうか……。だから、一緒に行こうぜ!」



「……(……き、きたあああああ! クラスの太陽、いつも笑顔の陽キャ代表・太陽たいようくん! GWに大自然の中でキャンプ!? 夜に焚き火を囲みながら『実はさ……』とか言われるやつでしょ!? 眩しすぎて心臓が消滅するわよ! 行く! 絶対に行く! お揃いのマウンテンパーカー買う!!)」



「……っ!? え、山崎、さん……?」



「……(しまった、嬉しすぎてまた無言で太陽くんを凝視しちゃった! 待って、私今、指輪ジャラジャラの右手を胸元に当てて、なんか獲物を前にした格闘家みたいなポーズになってない!? 違うの、ここは『ぜひ誘ってください!』って可愛く——)」



「……やまに、埋めるぞ」



「ひっ……! う、埋められるッ!? ご、ごめんなさい、調子乗りましたァッ!!」



「……」



「……行った?」



「……うん。太陽くん、キャンプのテントを秒速でたたむくらいのスピードで、背中を丸めて教室から逃げていったわよ。完全に野生の熊に遭遇したハイカーの動きだったね」



「……。……。……うわああああああああああああああああん!!! なんで!! なんで私はあそこで『……山に埋めるぞ』とか言っちゃったのよおおお!!! 相手が山の話を振ってきたから、脳みそがバグって『山』のワードだけを不穏な形で打ち返しちゃったじゃないのよ! バカ! 私のバカ!」



「あはははは! ちょっと、お腹よじれる! あいり、あんたせっかくのGWのグランピングの誘いを、ガチの『監禁・死体遺棄予告』で断るのやめてよ!」



「一ノ瀬ぇ……! 笑い事じゃないわよ! 太陽くん、最後完全に魂が抜けてたじゃん! 本当はね、カレーの野菜とか一緒にトントン切って、『山崎、料理上手なんだな』『あ、ありがとう……(赤面)』っていう脳内シミュレーションまで完了してたのよ!? なのに、なんで私の口は、相手を物理的に自然に還す命令しか出せないのよおおお!」



「いや、あんな据わった目で『山に埋めるぞ』って言われたら、BBQの食材として自分が処理されると思うって。おかげであんたのGWの予定、完全に真っソロになったじゃん」



「嬉しくないわよ! 私のGW、明日からただの引きこもりよ! あーあ……太陽くんのノースフェイスのリュック、かっこよかったな……。GWは家で猫がキャンプしてる動画見ながら、泣きながら一人で部屋でレトルトカレー食べるわよ……」



「はいはい。せめて部屋の中で、般若の顔でスプーンを握らないようにね」



「もう嫌、大自然のイベントすら私のコミュ障でホラー映画の舞台に変わっちゃう……! 誰でもいいから、この埋めるぞの奥にある大賛成のYESを見抜いて、無理矢理にでも『宜しくお願いします』って言わせてよ……!」


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