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殲滅部隊4


断続的に轟音が響く。


そんな中、慣れた様子で隊員達は作業を続けている。自分の魔力壁を強化し、飛んでくる細かい岩や土を跳ね飛ばしていた。


指示は受けているので、その場で急遽まとめ役になった者が作業の効率を考えながら調整をする。連絡が取れない状況でも、問題なく行動出来るよう訓練しているので普段の作業でも効果を発揮していた。


ある隊員は特殊能力を使って作業をしている隊員とアテイシア達の間に防御となる網を作っている。かなり強力なものなので攻撃を受けても心配する必要はなかった。


地面が陥没し、岩が削れ、地面の表面も削れているが、お互い本気ではないので周囲の被害はそれほどでもない。


飛んでくる鞭を弾き返しながらアテイシアは笑った。


槍を振って自分の左に鞭を流すと後ろにあった崖に当たって一部が崩れる。


「あーあ、補佐官殿は乱暴だねぇ」


そう言ってアテイシアは揶揄しながら槍を振った。


その槍をファレスが上から下に叩きつけると地面が割れ、割れた地面を切り裂きながら槍を持ったアテイシアが前に出る。


ファレスは己の魔力を全面の空間に叩きつけ、その勢いで後ろの下がり、元いた場所をアテイシアの槍が地面の中から出て通過した。


「ふんっ」


割れた地面を前にしてアテイシアは鼻を鳴らし槍の穂先を上にすると、柄の部分を地面に振り下ろす。


柄に纏わせた魔力が地面に当たり、小さな衝撃波のように地面を伝って広がっていった。


切り裂かれた地面が土に埋まっていくと、壊れた岩も、陥没していた地面も、ある程度の修復が終わる。

それを見届ける事なくアテイシアが前に出ると、魔力を帯びた土が地面から盛り上がり、周囲の土を巻き込みながら前に突き出た。


土は生物のように前に向って突き進む。


アテイシアはその土の上に乗って移動を開始した。


「はっはー!」


声を上げながら槍を片手で回すと、中央部分を持って刃を後ろに回す。速度が速いせいでアテイシアの髪は空中に浮いていた。


追って来る相手の姿を見ながらファレスは鞭を長くしてから振るう。前進してくる土の下に到達すると先端部分に亀裂が入り、八本に分裂した。


土を包み込むようにして広がり、捕らわれた土は前進する勢いを失い崩壊する。


残された土を蹴ってアテイシアは前に飛び出た。


右から来た鞭を腕で防ぎ、防いだ鞭を掴んで引くと前に出る。ファレスも鞭を放して前に出るとアテイシアに接近した。


それから左手を振るうと新たな鞭が出現したが、それを振るう事なく、右手で拳を繰り出す。アテイシアは槍を手放すと手の平を広げ、ファレスの拳を受け止めた。


勢いをつけて飛び込んだので二人の顔は間近にあり、アテイシアは愉快そうに笑っている。戦闘が好きなので戦う理由は何でも良かった。


それを見てファレスは言う。


「やはり戦闘は得意ではありませんね・・」


他の者が言うなら謙遜か嫌味だと思うが、心の底からそう思っている事を知っているアテイシアの表情が心底残念なものに変わる。


「得意じゃないヤツは、あたいに拳なんて向けてこないんだよっ」


言いながらファレスの反対の拳を受け止め、魔力を込めた左足を振り上げて相手の腹を蹴った。


アテイシアから蹴られたファレスは魔力操作した鞭で受け止めたが、吹き飛ばされ、そのまま後ろに飛んだが、鞭は地面の岩に当たり起動がずれる。


転移陣の方に向かった。


アテイシアはそれを確認すると空中に槍を作り出し、鞭に向って投げつける。ファレスも自分で対処出来たが、アテイシアが行動を起こしたので任せる事にした。


槍が当たれば鞭と共に消す事が出来る。


二人は何の心配もしていなかったが、その時、緊急で使う特別な陣が光り輝く。


転移するのが早すぎて安全を確保する事に失敗した。


通常、転移の塔自体が転移陣を守り、結界も二重になっているので攻撃を受けたとしても問題はない。しかし、それが許されるかは別問題だった。


転移陣に施された結界は、壊れても簡単に直せる簡易結界と、繊細で強力な難結界に別れているが、使用中に発動するのは難結界で、傷を付ければ結界の修復をする特殊能力を持った者を呼ばなければならない。


殲滅部隊は何度も呼ぶので、激務である者達から目の敵にされていた。


ぎゃーっ、と心の中でアテイシアは叫ぶ。恨みがましい目で見られるのは嫌だった。


転移陣が光る中、影が浮かぶ。


その黒い影が拳を振り上げ、迫って来た鞭と槍が結界に接触する前に左から殴りつけた。


くの字に曲がったそれらは残っていた壁を突き抜け、轟音を立てて崖に叩きつけられている。アテイシアとファレスと隊員達に衝撃が伝わってきた。


吹き上げられた土煙が視界を覆う。槍はへし折れ、鞭は千切れ飛び、上空まで飛び散った部位は時間と共に雨のように下に降り注いだ。


その者は拳を振り抜いた姿勢のまま目線を上げる。


魔力壁が自動防御し、降り注ぐ部位を弾き飛ばすので体に接触する事なく落ちていった。


風通しの良くなった先にアテイシアとファレスが見え、怒りのこもった目でドミトルは睨みつける。


「過激な歓迎の仕方だな」


拳についた汚れを振り払うように腕を下ろし、辺りを見渡した。



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