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殲滅部隊3



乾いた大地で作業が進んでいる。

殲滅部隊の隊員が忙しなく動いていた。


「隊長、本当にこんな事をしても大丈夫なんでしょうか?」


特殊能力を使って作られた壁を、女性隊員が剥ぎ取りながら聞いてくる。黙々と作業を続けている他の隊員達も気になっていた。


転移の塔の壁が少なくなり風通しが良くなっている。


どの方向から見ても外の光景が広がって見えるが、中の転移陣は何も問題なく稼働していた。


アテイシアは片手を腰に当てながら作業している光景を見ている。


声をかけてきた隊員の言葉を聞きながら、隊員達の動きを見て手を振り上げ、軽く指示をだしていた。


「何を勘違いしている。あたいは塔の強化の為に壁を張り替える作業をしているんだよ。それに、お前達は仕事じゃなくて歓迎会の準備をしているだけだろ?問題はないさ」


そう言って笑うアテイシアを見て隊員達は、それならと納得する。


部隊の者は豪快な考え方をする者が多く、細かい事は気にしないので、方向性さえ示せばそのように動いた。


壁に四角の切れ目を入れていた隊員は、それ以上言うのを止めて作業を続ける。

切れ目を入れた壁を他の隊員が掴んで剥ぐと、その壁を巨大な浮進送車の上に置き、ある程度溜まると収集場所に移動した。


一般市民と違い、軍には速度制限がないのでかなりの速度で運ぶ。事故が起こる事のないよう魔力を込めた声で周囲に注意を呼びかけていた。


アテイシアは壁のなくなった場所を綺麗に整える為、隊員を選んで声をかけている。作業人数は多いが全ての隊員の能力を把握していた。


隊員達は作業を滞る事なく続ける。

稀に怒鳴り声が響くが、順調に進んでいた。


そんな中、少し離れた場所に立つ人物がいる。それはファレスで全体を見渡すようにしてそこにいた。


距離を取っているので、その周りには他の者達はおらず一人で立っている。

無言だが口の端が不満そうに歪んでいた。


ファレスは転移の塔に手を付ける事は反対なので、作業を始める前にアテイシアと言い合いをしている。手を出さなかったのは切っ掛けがなかっただけに過ぎず、他の補佐官や補佐達はそれが分かっているのか別の場所で仕事を行っていた。


怒りながらもファレスは自分の仕事を続ける。


作業の進捗状況を見ながら周囲の索敵も行っていた。それと同時に晶映石の首飾りを使いながら報告書の確認も行う。


並外れた戦闘力は持たないと自覚しているファレスだが、平行して何かをする事は得意だった。


なので、直ぐに危険だと気づく。


「・・おや」


腰から鞭を取り出すと隊員に向って飛ばした。


転移の塔の壁は特殊能力を使って出来た特別なもの。仲間と力を合わせ手順通り魔力操作をしなければ、危険のある魔力壁をもった瓦礫となる。


上部が崩れ、隊員に直撃しそうになっていた。


気づいた隊員は自分の魔力壁を強化して防御をしたが、怪我をするだけだと分かっているので、それほど危機意識はない。


怪我を覚悟した隊員を余所に、鞭が瓦礫に巻き付き、横に飛ばすと強烈な破壊音がして、隊員は己の身を守るようにして屈んだ。


横に飛ばされた大きな瓦礫よりも、鞭で弾かれる際に発生した細かい瓦礫の方に恐怖する。ファレスの魔力を纏った瓦礫の方が凶器だった。


自分の顔の横にあった魔力壁を貫通していったのを横目で見る。


ヒイィィ、助けられた隊員が小さく声をあげた。


「注意しなさい。怪我をしますよ」

「わっかりましたー!」


隊員は感謝するどころか、挙動不審になっている。

ファレスから言われた隊員は脱兎のごとく、その場を去った。


核が無事であれば回復できるので、助けると言う行動の方が重要視されている。拠点であれば怪我をしても問題ないので、規則を破るような行動以外は認められていた。


「礼の一つも言えないとは嘆かわしい」


他の仲間がいる場所に走っていく隊員を見送りながらファレスは溜息を吐く。


殲滅部隊の者達は力が全てだと思う者が多いので、礼儀が必要だと思っていた。


「・・おい、ファレス」


考えていると声がかかる。

極低い声で怒りに燃えていた。


「投げた岩があたいの顔に当たったぞ・・」


魔力壁で防いでいるが、砕かれた破片が頭の上に乗っている。間抜けな姿だが、アテイシアの表情のせいで笑える状況ではなかった。


引きつるように上がった口の端から歯が見え、見開かれた眼球には血管が浮かんでいる。

破片は砕けると空中に浮かび塵になって消えた。


体全体から魔力が薄赤い霧のように湧き上がり光が散る。隊員がだっとの如く逃げたのは、アテイシアに気づいたからでもあった。


声が聞こえた方向にゆっくりとファレスは向く。


「それが何か?」


ファレスはアテイシアが怪我をする事がないと知っているので、不思議そうに聞き、そして煽るようにしてアテイシアの全身を見た。


含むようにして笑うと、アテイシアは自分の右手を伸ばし赤い槍を空中で作り、その槍を掴んで回転させる。

踏みつけた地面が沈む程、投げる為に腕を後ろに引いた。




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