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魔王が唱える機械必要論  作者: ◆smf.0Bn91U
幕間(夏)
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40/69

集合

 三人だけで来たければ、別に一日目二日目でも良いでしょ。


 とは、エスリンの言葉だった。


 という訳で、ウリシャ・レイス・エスリンの三人は、二日目も三人だけでお祭りを楽しみ、本日三日目は皆で集まるためにと中央通りにある、大きな噴水が遠目に見える場所に集まっていた。


 これから魔法使い警護が無くなりはするものの、約半月間続くお祭りである。

 観光客が締め出されているということはそれだけ人が少なくなるはずなのに、それでも多くの人がこの場所に集まっていた。

 明日からはこれに加えて外部からの屋台出店の人たちが軒並み道を連ね、この噴水周りには踊り子や芸人・楽器弾きが集まりもっと華やぐのかと思うと、学校との約束を守って今日に来るのは間違えているような気さえする。

 しかし今度はそのせいで、それぞれの通りの道幅が狭くなることも考えると、気楽に待ち合わせして友達と集まってお祭りを回る、なんてことが出来るのは、案外今日だけなのかもしれない。


 それに今日は何と言っても、街外れから大きな花火が上がる。


 街のどこからでも見えると豪語するなんて規模が、この魔法使いだけにしか開かれていない期間で打ち上げられるなんて、例年にはなかったことだ。


 とはいえさすがに、普通の花火を──それもそんな大規模なものを、二回も打ち上げられるはずもない。

 だからか、今日のものは魔法を用いたものとなっている。


 火薬と金属の粉末を混ぜた一般的な花火とは少し違い、魔法薬学の応用がその中には組み込まれているとのこと。

 違いが明確になるかどうかは分からないが、魔法使いとしてはむしろ、そちらの方が気になる。

 正に「魔法使い警護期間“だからこそ”」だ。


 街としては『勇者の魔女狩り(ブーンドック)』など魔法使いに嫌悪感を示す人が多くいるが、国としては魔法使いを差別する気が無いという、意思表示も兼ねての催しだろう。


 今までお祭り最終日に打ち上げられていた一般的なものは、魔法使いは例年通り家から見ることになるだろうが、その代用品とはいえ新しい花火が打ち上げられるとなれば、皆の期待値もそれなりに高まるというものだ。


「やあ三人共。ここに居たのかい?」


 既に別の場所で合流できていたのか、シュウを先頭に他の皆が集まってきた。


「それじゃ、行こうか」


 こういう大勢で動く時、彼のように仕切ってくれる人がいると助かる。

 話に混じっていたメイジも来ることになったので、総勢六人となっているので尚更だ。


「それにしても、メイジも来るなんて思いもしなかったよ」

「馴れ馴れしく話しかけないで下さいます?」

「……えっと、それにしても意外だったな。レイスがこういうことに興味あるなんて。

 お祭りとか興味なくて、一人で他の趣味に没頭してるかと思ってたよ」

「そう」

「…………」


 ただ、話を盛り上げようとするシュウに対して、メイジもレイスも素っ気がなさすぎるが。


 この女性たちの中では間違いなくキレイなメイジとエロいレイスがこういう反応だと、シュウとしてもどうして良いものかと悩む。

 先頭を歩くウリシャ、その少し後ろを歩くエスリンとアボニー。

 その後に続きながら、自分の後ろにいるメイジとレイスに話しかけて相手してもらえないシュウとしては、話しながら歩く前の二人に目が行ってしまうのは必然で……となれば、自分が上手くいかないのに前だけ仲良さそうだと嫉妬してしまい、ちょっと邪魔しようかなと思ってしてしまうのも仕方がなかった。


「おっ、アボニーとエスリンは話が弾んでるね。

 何の話をしてたんだい?」

「彼女が持つ魔法薬学の認識について教えてもらっていたんだよ」


 二人共イヤな表情(かお)一つ浮かべず──エスリンはいつも通り余計な労力を使わないようにと視線を伏せ──アボニーが答えてくれる。


「彼女は魔法ストックを必要最低限に抑えるために、応用が利くものを幾つか用意しているようで、それを作り出すための方法とか、魔力の固定方法。あとはそれに使っている素材がどういったものとか使い方とかタイミングとか、とても役に立つ話ばかりをしてもらっていたところさ」

「お、おう……」


 いつも落ち着いた雰囲気のアボニーがそこまで興奮して話をしてくることに驚きながらも、このまま話に混じりながら会話を自分の好きなことにシフトチェンジしていきながら邪魔していこうと考えるシュウの性根は腐っているのかもしれない。


 それを敏感に感じ取ったのか。


「フェイダンさん、今日はまとめてくれてありがとうございました」


 先頭を歩いていたウリシャが、会話が途切れたこのタイミングを見計らい、友人のためにと先頭から回り込んで彼に話しかけた。


「あのままだといつもの三人だけになっていたので、これだけの大人数だと楽しいです」

「え、そう? そう言ってもらえると嬉しいな~……あ、そだ。そう言えば今日のこのお祭りって、どういう起源か知ってる?」

「言われてみれば、調べたこともありませんね……どういったものなんですか?

 もしかして、魔法使いと関係があるとか?」

「いや、そこまでのものじゃないんだけど──」

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