再戦する天才
ちょっと前半二話が長くなりすぎたので、この話はかなり短くなってます……すいません。
「ちょ、ちょっとお待ち下さい!」
声を上げてきたのは、今日の授業を最初に終えたメイジだった。
「それでは、私が彼女に劣るということですか?
納得いきませんわ!」
「だが、魔力移動の面だけを見れば、確かにその通りだ。
お前は俺に攻撃を当てるという、難易度の高いことも同時にやっているだろう?
多分だが、ミミーシアと同じようなやり方ならとっくに合格していただろうさ」
「なっ……! そ、それなら一言、お教えして下さっても……!」
「言ったところで辞めなかっただろ? お前は俺に攻撃を当てることに固執していたようだからな。
大方、言われたところで俺が逃げと受け止め、そのまま続けていたんじゃないか?」
高笑いを浮かべながら自慢げに、「気遣いは無用ですわ。もしかしてわたくしに当てられるのが怖いんですの?」とか言っている姿が目に浮かぶ。
「それに俺は休憩前に頼まれた時も含めて、毎回確認している。
少しでも自分の実力を知る意味でも、一度ぐらいは試しておくべきだったな。
だがまあ、それを確認するのは次の授業だ。
今は次、ケーンド、お前の番だ」
メガネを掛けた大人しそうな男子生徒を呼びつけ、それでもってメイジとの会話を打ち切る。
「違うっしょ。次の順番はあたしじゃん」
それに挟み込まれる言葉。
その声には思わず、さらなる反論を試みようとしていたメイジですら、次を紡げず声の主に顔を向けた。
「ほう。何故次はお前だと思うんだ? パラット」
仕切られたエリアの出入口。
そこにはいつの間にやってきたのか。
レイス・パラットが相変わらずな大きな胸元を露出した服装で、そこに立っていた。
「後半の授業で呼びつける順番って、アンタが優秀だと思ってる順番っしょ?
となったら、今のあたしの成績から考えて、四番目ぐらいじゃない?」
「さすがだな。その予想は当たっている」
レイスの予想にざわめきが広がり、続いたドールの認めるような言葉で、ざわめきがその場を満たした。
「だが、今まで授業の終わり際に来て、俺を一度だけ相手にして帰っていた奴が、そこまで分かるとは思えんが?」
「そりゃそうっしょ。それだけで分かるわけないって。
だってあたし、全部見てたんだから」
「だろうな。でなければ今日、今このタイミングで、お前は俺に挑んでは来なかっただろ」
ドールも私と同様、気付いている。
今日のレイスが、少しだけ違うということを。
ただ授業を受ける順番を早めただけじゃない。
いつもの探るような雰囲気とは違う、勝つ気しかしていないメイジのような、自信に満ちた雰囲気が、そこにはあった。
……そろそろだろうとは思っていたが、今日か。
ちょうど、ウリシャが認められたタイミング。
いや……もしかしたらずっと、この時を待っていたのかもしれない。
なんせ二人はずっと、お互いを相手にして、訓練をしていたのだから。




