ブルット侯爵の失敗
ブルット侯爵は、悩んでいた。
ギリスを使う事が、有利になるのかどうかを。
戸惑う事なく攻撃された。
ギリスを傷つける事なく、自分だけを倒す自信があるのだろう。
そう思うと、人質作戦は失敗だろう。
ならば、どう使うべきか。
そして、最悪の結論を導き出す。
そして、行動に出た。
次の刹那、ギリスの首が宙に舞った。
ギリスを殺すことにより、シャラザード公爵を怒らせ、冷静な判断を出来ないようにする。それがブルット侯爵の作戦だった。
「貴様、楽に死ねると思うなよ。」
どこからとも無く聞こえる、冷たい声。
その刹那、ブルット侯爵の体は、瞬きすら出来なくなった。いや、ブルット侯爵だけでは無い。その戦場にいた、全ての狼人達も同様であった。
ブルット侯爵の前に、姿を現わすエリック。
凍っているわけでも無いのに動けない。声も出ない。今から何をされるのか。
恐怖で頭がパニックになるのに、喚く事も出来ない。
エリックが、召喚魔法を発動する。
出て来たのは、小さな魔界の蟲であった。
「狼人どもを喰らえ」
そう冷たく言い放つエリック。
召喚された蟲は、掌程の蜘蛛であった。
蜘蛛は、ブルット侯爵の足元に群がりだす。1匹、また1匹と、体を登りだすと、衣服を顎で噛み千切りだし、肉を喰いちぎり出す。
痛みが脳を揺らすが、声は出ない。喰い千切られる感触と痛みは、鮮明に脳に伝達される。
辺りは蜘蛛の咀嚼する音に支配された。




