↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
剣の記憶 Re:  作者: はじめ
第1章
PR
6/11

5話

 先程までの喧騒とは別の喧騒が表通り……いや街中に広がっていた。


「何が起きたんだ!!」


「俺が知るかよ!」


「ちょっと、そこどきなさいよ!」


 慌てふためく住人は思い思いの言葉を吐き爆音が響き、煙が上がるところから遠ざかるように走り回っている。


「あの方角は…」


 私は煙が上がっている方角を見て、思い当たる節があった。


「やばいっすよ。あの方向」


「ママ……?」


「くっ!」


 私は煙が上がった方向に向かって走り出していた。


 その通りは閑散としていたが通りは綺麗に舗装されていた。

それが今は見る影もなく建物の瓦礫が散乱している。

 ローレンスの店を中心に半径300メートルは壊滅状態だった。

その中心にサソリ型の青光りするラインが入った体長10メートルはある魔道装甲が悠然と佇んでいた。

 その魔道装甲と対するように1人の男が女性と子供を抱えて膝をついている。


「レオンッ!」


 被害の中心にレオンを確認して思わず叫ぶ、満身創痍のレオンは


「はじめて名前を呼んでくれたな。ちょっと悪いがこいつら頼むわ」


 無造作に抱えていたアンナとマルクを投げる。


「!!!!」


意識を失っている二人は抵抗することなく私に向かって投げられた。

 ぽかんとするイーナをクライスに預け、魔法障壁を布の強度で前面に展開する。


 ぼすっ!ぼすっ!


 衝撃がなくなったと同時に魔法障壁を解除する。解除すると同時に青白い光の粒が天に向かって霧散する。


「なっ!」


「わぁぁ!」


 クライスは目を見開き、片手で抱えられているイーナは両手を上げて青白い光を掴もうと腕を伸ばす。


「ナイスキャッチ!」


「……っ!」


 サムズアップして笑顔を見せるレオンに文句を言おうとした瞬間、魔道装甲は両の鋏を開き1つはレオンにもう1つは私達に向けて青白い光の魔道砲を放った。


 私は魔法障壁の強度を強め、多重に展開する。


 キィィィィン!!


 魔法障壁でなんとか耐えているが、一枚、また一枚と破られていく。

この攻撃をレオンが受ければタダでは済まないと横目にレオンを見ると


「ぬっ!がぁぁぁぁ!!!」


 レオンは大剣で光を受け止め、振り抜いて光を霧散させた。

そして跳躍し、


「だりゃぁぁぁ!!!」


 私達に向けられた光も一振りで霧散させる。

着地と同時にガクッと膝から崩れ大剣を地に刺しなんとか倒れるのを防ぐが満身創痍のようだ。


「ありえない……」


光学兵器に大剣で対処したレオンを見て私はそう呟いていた。

私ですら、あの魔導砲クラスの攻撃は主のいない今となってはあと1度防ぐのが限界だろう。

レオンの様子を見るに既に何度も対処していることが伺える。

 魔道装甲は次の攻撃に移ろうとまた鋏を構え魔道砲のエネルギーをチャージする。


「3人を連れて逃げて!」


規模がでかい!


 先程とは異なるエネルギー量の魔導砲に多重障壁をイーナの魔力に干渉して3人を守るように発動させ、クライスに叫びつつレオンに駆け寄る。


「なんでくるんだよ」


 元々満身創痍のレオンは全身傷だらけで更に霧散させたとはいえ魔道砲のダメージを受けている。

私が来るまでにどれだけたたかっていたのか…


「黙りなさいよ」


 私はレオンの肩に手を置き、治癒魔法をかけるが時間が足りない。

ほんの少し回復させ魔法障壁を多重に展開する。

 今度は両の鋏を私とレオンに向けて魔導砲を放つ。


「くっ……」


 先程より簡単に障壁が破られていく。残り一枚が破られそうな瞬間


「きゃっ」


 レオンが私を抱え飛び退いた。


「そんな可愛い声も出すんだな。いっ……」


 私を抱えたレオンに肘打ちし、膝をついたレオンに縋るように胸を何度も叩いた。


「なんでそんな無茶ばっかりするのよ!また会えるんじゃなかったの!」


 初対面から最悪で、油断すれば人の後ろに立って、アホな事言って、繊細なくせに、考えなしで……


「惚れた女の大切な物を守りたかったんだ。店は守りきれなかったが、まだ負けちゃいねぇよ。絶対に勝つから安心しろ」


 私を片手で抱きしめ、そう言い剣を魔道装甲に構える。私は謎の安心感を覚えレオンに身を任せる。


「私を無視して痴話喧嘩とは随分と余裕だな」


 魔道装甲から男の声が響いた。


「一飯の恩で協力してやったがそれも終わりだ。ダーレス」


「今からでも遅くはない。オーパーツの一撃を幾度となく破るお前はまだ利用価値がある。なんならその女も助けてやろう」


 だから私に従えとダーレスは言う。

 レオンは私を抱きしめる手を離し、剣先を魔道装甲に向けたまま立ち上がると前に出て


「それじゃあリーゼの大切な物を守れねぇじゃねぇか。バカが!」


満身創痍の身体でレオンは悪態を吐く。


「愚かな」


 魔道装甲の右の鋏に魔力が集中する。


 ドカンッ


と突然右の鋏に青白い光が当たり鋏を破壊した。


「なんだとっ!!」


 ダーレスが魔道装甲の向きをその光の方向に変えた。


「お前は……」


「マ……。ママを。ママをいじめるなっ!」


 両手を魔道装甲に向け立っているイーナがいた。


「イーナッ!!」


「くそっ!」


先程干渉した影響か…


 私とレオンが駆け出すが、それより早く残った鋏が魔道砲を放つ。イーナは条件反射で頭を抑え屈む。


 キィィィィン!!


 なんとか私の展開させておいた障壁がイーナを守る。


「レオンッ!!」


「おうよ!!」


 私はレオンに合図しレオンはそれに答える。

 イーナに駆け寄り私は魔法障壁をさらに展開する。

こちらに注意を逸らしている隙にレオンは鋏の付け根を大剣で切り上げ、鋏を上空に向けさせる。流石に魔導兵器の装甲は一刀両断とはいかなかった。


「ぬぅ!!」


 弾かれた衝撃で態勢を崩した魔道装甲はすぐに次弾のチャージを始める。


「流石に驚いたぜ。お嬢ちゃん大丈夫か?」


 私達の前に立ち剣を構えるレオンはそう言う。


「うん……」


「イーナさっきのは……」


「ママがやられちゃうって思ったら出たの……」


 今、ダーレスに勝つにはイーナの力が必要だろう。主なき今補助的な魔法しか使えない私ではイーナの様な攻撃魔法は使えない。しかし、イーナは意識的に放った訳ではない様でその力には期待できない。


「奥の手はとっておくものだ」


 ダーレスはそう言うと魔道装甲の尻尾の先から高出力の魔道砲を複数放った


 赤白い光のそれは容赦なく私達に降り注ぐ。


「ぐっ、くっ!!」


 レオンは大剣を振り下ろす。

赤白い魔道砲をなんとか抑えるが、抑え込んでいる間にも身体に無数の傷を作っていく。

なんとか耐えてはいるが時間の問題だ。

 私は覚悟を決め具現化を解いた。


 突然いなくなった私に驚くイーナ。


『イーナ。イーナ聞こえる?』


「ママ……?ママ!どこ?」


『イーナ私を手に取って』


 イーナは視線を下に向け具現化を解いた際に落ちた剣を手にする。

私はイーナが持てる重さに剣を魔法で調節する。


「ママ?」


『ごめんね、イーナ。あなたにはまだちゃんと理解できないだろうけど力を貸して欲しいの』


 イーナは視線を私にむけ剣が私だとわかるとこくんと頷く。

その瞳には強い力があった。

私は覚悟を決め、


『我が真名においてリーゼロッテ・オヴェリアがイーナに尋ねる。我の主とし、その命が尽きるまで我と共にある事を誓うか』


 イーナを中心に青白い魔法陣が広がる。


「イーナ。ママとずっと一緒がいい!」


 と笑顔で頷く。


 魔法陣が金色に輝き、


『我が真名にかけて、イーナを主と認め今我が力を解放する!!』


 今までの比ではない魔法障壁が私達を包み込む。

その様子を見たレオンはフッと笑みを浮かべその場に崩れ落ちる。


『ありえない!ありえない!!アリエナイ!!!』


 ダーレスが否定の言葉を連呼し、左の鋏の魔道砲も放つが全て魔法障壁に阻まれる。

 私はイーナに剣先を魔道装甲に向けように伝えた。


「なんなんだ!お前は!!」


『汝を滅ぼす光を今ここに放つ』


 剣が金色の光を纏い、刹那金色の光が魔導装甲もろともダーレスを呑み込んだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。