第7章 ダブル不倫の果ては?
子供が出来ないのは旦那のせいだとわかったのは32歳だったろうか。35歳のマル高になっても、子供は出来なかった。精子バンクも、名も知らぬ男とのアバンチュールも実を結ばなかった。子供が出来たら、今までの健二の裏切りへの報復が出来るような気がしていたのに。健二に似た血液型も同じ男性を見つけると、アプローチして一度限りの体を重ねるのは、最初怖くて情けなくて自己嫌悪に苛まれる過酷なことだった。出来るだけ遠くの土地で知り合った男性と、嘘の名刺を渡し、2台目の携帯電話で連絡を取り合って情事を重ねる。まるで、もう一人の別人格がいるような錯覚に陥っていた。その時だけは、健二のことを忘れることが出来た。 嘘の名前で恋をして、遠距離恋愛をしていたら、そのまま結婚してもいいとさえ思うようになっていた。淫乱な母親の血が自分にも流れているのかも知れないと思うとゾッとした。恋人同士になると、年下でも、女を支配したくなるようで、プライベートに押し入って来ようとする。そういう時は潮時。「海外赴任が決まったの。何年か日本には帰れなくなる」と言って再会を約束して携帯電話を解約する。そして、使っていた携帯電話は琵琶湖に捨てる。沈んで行く携帯は、母のような淫乱な女が、この世から抹殺されたような自虐的な気持ちになった。数か月でも、愛した男との永遠の別れ。フェイスブックにある、もうひとつの自分の姿も、真っ先に抹殺していたし、大阪在住だということにしていたので、まさか東北から捜しに来ても巡り合うことなどないだろう。次の生理が来たら、次は九州か四国でも旅しようかと思っていた。




