第8章 浮気後の冷たい夫婦関係
二度目の浮気が終わったのか?健二は、また家に帰って来ることが多くなった。浮気相手のことを、まるで自慢するかのようにベッドで語るのには、辟易していた。様々な女を制覇するのが男の勲章とでも思っているかのようだった。どこで誰を抱いても子供だけは産まれないことが、安心感になっているのが可笑しかった。まるで、犬がマーキングしていくかのように、赤裸々に鏡子の知っている女性の性癖までも面白おかしく語るのにはさすがの鏡子も黙ってはいられなかった。「あなたが、どこでどんな女と遊んでいたって、それは貴方の勝手だけど、女はそんな話をされると興醒めなのよ。だんだん貴方が嫌いになる。女は嘘でも自分一人を大切に思ってくれると信じたいのだから。もう、私の体に触らないで」と怒って、ベッドルームから押し出して鍵を中から掛けた。まだ、体に前の彼の感触がのこっていて、実は抱かれる気持ちになれなかったのだ。次の日、健二は謝って来た。裏切っているのは自分も同じなのに。「しばらく、家庭内別居しましょう。離婚も考えているから」と言うと、絶対的に愛されていると思っていたのか?驚いて、暴れ出した。「君が僕を夜拒むから、仕方なく他で事を達しているだけじゃないか。女房としての務めを果たしていないくせに、家庭内離婚などとバカにするな。誰が、ここのローンを払っていると思っているのだ。嫌なら、ここから出て行け」と。何度も浮気して、それでも文句ひとつ言わず耐えて来たのに、何という言い草だろう。確かに、精子がないと判ってからは、愛し合う意味を失って避けていたかも知れない。他の男に抱かれて、健二が嫌になったのも事実だ。結婚して、これだけないがしろにされて、何度も裏切られて女がそれでも待っているなんて、都合のいい考えにはついて行けないと思った。そして同時に、どれだけ励んでも子孫の出来ない健二が可哀想になった。




