第19章 奇跡の水「湯の里」
「今度、夏休み一緒に休みを取って、和歌山にある【湯の里】に行かない?」と誘われたので、湯治場で静養するつもりで1週間休みを取った。【湯の里】は和歌山の橋本にある奇跡の湯らしい。高野山の麓、神野にあり、フランスのルルドの泉以上の奇蹟を起こしていることで有名らしい。信仰の水とも言われ、御大師様の水として高野山に参拝した人が、自分の疾患に水を吹きかけていたら疾病が良くなってブレイク。テレビやマスコミで取り上げられ、医者や製薬会社が群がって来た時、温泉が出なくなった。そして、潮が引くように忘れられた時に、また湧きだした。「この水は意識をもっているようだ。人を選んでいるようで、縁がなければ繋がらない。行きたくても台風や天変地異に阻まれて来れなかった有名な水の研究者もいたらしい。人には天命というものがあり、それを妨げようとしても無理なことも。ただ、幸運にも行くことが出来たら、3ヶ月の命と宣告され医者から見放された人も助かって十数年まだ生きて健康になっている。その地は高野山の高さ位の岩盤があり、掘っても無駄だと言われていた。霊能力のある女社長が確信を持って掘ったのだが、やはり温泉は出なかったらしい。しかし、その後、すぐ和歌山沖地震があって温泉が出た。多分、地震で岩盤に亀裂が生じて、地球最古の水(生命を進化させた)が出て来たのだとも言われていた。今まで大きな岩盤で閉じ込められた奇跡の水なのだと。「どんな所だろうか?」と期待していたのだが、蘭が咲き誇るロビーには焼きたてパンの芳ばしい香りがして、広々としていてスーパー銭湯のような感じだった。利用者は無料で汲んでもらえるタンクが並んでいた。宿泊の宿も同じ敷地内にあるのだが、こじんまりして綺麗なところだった。1階のレストランで頂く朝食は体が元気になりそうな野菜たっぷりの日本食。一人鍋には炊き立てのご飯が。余ると、おにぎりにしてくれる。これが、また美味。昼は湯の里で、山芋たっぷりのお好み焼きと焼きうどんが人気。日替わりランチもあるし湯の里弁当は、そこで作っている豆乳ヨーグルトもついて来るのでお得。ごま豆腐やこんにゃくは湯の里の水で作っているので絶品だった。何より贅沢なのは、2リットル900円で売っている【月のしずく】を思う存分飲めることだ。決して勧誘のようなことはしないので、聞かなければ、ここが「奇跡の水」とは気がつかない。頼まなければ、説明もない。ただ、無料エステの周辺には礼状が沢山貼っているし、ファイルには詳しい病例や、アトピーが改善された写真なども見ることが出来る。社長がいたら、水の話も聞くことが出来る。何事も、自分からアクションを起こさなければ与えられない。社長とアポが取れたので、癌についての話をして頂くことが出来た。そもそも【湯の里】には金水(浄化)、銀水(解毒)、銅水(調和)の水がある。同じ敷地から出ているのに、性質が違い、銀水などは最初塩分が強かったのに今は無味無臭に変化したそうだ。水の分子構造も全然違う。世界的な水の研究者で有名なチャップリン先生も、この地に来て自分の理論と同じ構造を持つ水に魅入られた。水の研究者が世界から訪れるようになり、理系の頭を持っている人にはたまらない最先端の情報がそこには集まって来ている。元々、社長のお母さんが霊力が高い方だったらしく、皆の反対を押して、この地に温泉を掘って、様々な奇跡の力で【湯の里】を始めた。当初から水の力で様々な病気を治し、霊能者や不思議な縁のある方々が集うようになった。導かれるように、水と寄り添いながら、水と共存、成長したと言う方がいいかも知れない。 長男は外科の医学部長だが、生死を分かつ深刻な手術の時には、この水で何度も助けられたらしい。次男が現在社長。幼い頃から病気の宝庫で何度も死に遭遇してきたからこそ、【湯の里】を最後の希望と遠路遥々来た方々の心に寄り添い、親身になって相談に乗ってくれる。次女は皮膚に関してはプロ。長年アトピーに悩む方々を救って来た。エステのところにいることが多い。長女は事務を担当しているようで、兄弟4人で、それぞれの才能を活かして、【湯の里】を支えている。鏡子は、お宿にしかない銅水を使った湯に入った時、電気のようなものが体を走った。たまにパワースポットに行った時に起こる現象なのだが。まず金水に入るように指示された。飲むのも最初は金水を沢山飲んだ方がいいそうだ。特に、家で浄水器を使って調子が悪くなった人は、まず浄化しなければ次のステージに取り掛かれないのだと。なので、金水を無料で来ている方々に分けているらしい。金水で体中の水を綺麗にした後に、銀水を使う【夢】が、その銀水だけで作られている。解毒の水と言われているだけあって、悪いものを出してくれる。火傷やケガにも最適。化粧水として使っていたら、しみが消える。困った時には、とにかくシュッと吹きかけると、信じられない効果がある。たかが水、どこまで言っても水なのに。不思議な体験が寄せられているのは、この銀水と金水をブレンドした【月のしずく】と銀水だけの【夢】が圧倒的に多い。銅水だけは他の水と違い変化する。邪気を取って白濁したり、その人に寄り添って交感神経と副交感神経を正常にするために働くので、寝れない人も熟睡。しかも汗が止まらないで、24時間起きない人もいるそうだ。調和の水というのは、【繋ぎ】力を持っているらしく、人と人の良い出会いも用意されることが多い。宿でしか銅水は使用しないのは、まるで生き物のように変化するので、毎日お湯を交換管理するからだとか。隣の大きな【湯の里】には沢山の人が入するので管理が大変なのでミストシャワーだけしかない。車の事故でムチウチになったことがある鏡子は銀水だけだとデトックス効果なのか頭が痛くなってしまった。それを銅水の入った混合水に入ると緩和、痛くなくなる。銅水には痛みを取ってくれる効果もあるらしい。体の水を綺麗にして、汚れを出し、改めて修復してくれるのには、この3つの水が必要なんだと実感する。この水にちなんだ不思議なストーリーの数々は、【信じる者は救われる】という格言を生で行っているようだ。まず、信じない人は、そもそも使わない方がいい。どれだけ岩盤に囲まれた太古の水があるのかわからない。救いを求めている人のためだけに使われなければ、無駄になる。社長さんも「大切な人にだけ教えてあげて下さい。興味本位とかで無駄に消費したら、本当に必要としている人に渡せなくなりますから」と注意された。そもそも、この水を利用しようとしている人は、来ることも出来ないのだが。想いの力で水が変わらしい。水の研究者がどれだけ調べても、含有物は天然の水なのだから。しかし、何故だか14日連続水を摂ると、次の日から癌細胞が消えて行くのだと。アポトーシスと言って、細胞は古くなって死ぬと死滅していくものなのだが、癌化した細胞は死滅できないゾンビのような存在で、湯の里の水は、この死滅するアポトーシスを正常にしてくれる効果が研究結果でわかったのだ。それも、14日続けて取った次の日から癌細胞が消え始めるのだと。例えば、途中1日でも取らない日があれば、それまでの日数はリセットになってリセットになり、またそこから計算されて14日経ってから、アポトーシスが起動されるのだとか。月の満ち干とも関係していると囁かれているそうだが、その謎はまだ解明されていないそうだ。それよりも、この水の量ではなく、日数が関係しているのが面白い。確かに、全ての飲み水を【月のしずく】にするのは大変だけど、少量朝昼晩に薬のように摂取するだけで癌が消えていくなら試しても損はない。鏡子の検査結果を持って相談したら、同じ状況の人の成功法を教えてくれて、特別ブレンドしてくれた金剛水を無料でプレゼントしてくれた。その人の症状に合わせて微妙な調整をした手作りの水は、お守りのように鏡子を勇気づけてくれた。純子も自分の状況を相談して、金剛水をプレゼントしてもらい上機嫌。夜は宿のレストランでイタリアンのコースを頂いたのだが、お野菜もここの水で育てられただけあってフレッシュで甘い。イタリアンは人気なので、ランチは予め予約していないと席が取れない。パンも隣の工房で毎日焼いているのだが、売り切れ続発なのでお土産に買って帰るのなら朝に予約していた方が無難。何を食べても美味しいのは水のせいもあるが、素材もこだわってシェフの腕も確かなせいかも知れない。土日祝日も関係なく2食付きでも1万円位。贅沢な水を心ゆくまで飲んで、体中の水が全部変わったと実感できた時には、体が生まれ変わったような気がした。宿泊が4日しか取れなかったので、水は宅急便で送ってもらうことにした。お風呂の中でも日本中から宿泊に来ている人と情報交換して仲良くなって、あっという間に帰る時を迎えた。数ヶ月前から予約でいっぱいなのに、4日も連続して宿泊が取れたのは奇跡に近い。純子と次に行く日を予約して帰って来たのだが、次取れたのは3ヶ月も後だった。




