第10章 親の介護問題
周囲を見渡せば、親の介護に同級生たちは奮闘していた。キャリアウーマンなのに会社を辞めて親の介護をしている人もいる。結婚したからには、面倒見ないといけない親は増える。みんな65歳を超えて、あちこちに不具合を訴えている。旦那は次男なので、まだ同居とかは言われそうもないが、長男夫婦と仲の悪い姑は何かと相談を鏡子にする。旦那が浮気ばかりして家をないがしろにしていることなど知らせていない。ただ、子供が出来ないのは旦那に異常があることだけは教えておいた。そうでもしなければ、「子供の産めない女。役立たず」と平気で罵倒して悩まされるからだ。「健二のことよろしくお願いしますね」と最近は大人しくなった。 それもこれも姑が癌だと告知され、相談相手がいないからだ。 「今愛人宅にいる自分の息子さんに相談したら?」と何度も言いそうになる。それで、また生活をかき回されるのもご免だと思うと、事なかれ主義で適当なことを言ってしまう。決断というのが一番苦手なのだ。旦那に対する情はあるが、最近は裏切られた憎悪ばかりが押し上げてくる。たまに帰ってきて、寝ている姿を見ると殺意すら感じる。なのに、変化を嫌い、決断を後回しにする。そして、女としての一番大切な時を、尼さんのような色気のない生活に慣れてしまった。この生活から逃げ出したいのに。旦那や浮気相手のことが喉に刺さった骨のようにチクチク心に触る。




