43.第40章
もう一人の若い刑事さんに連絡した。ある理由で。
「今すぐ行きます」と言っていた。
屈託の無い弾んだ声だった。まるで子どものように。
彼の事も忘れていない。「ケンイチ」
チャットのIDも、この名前「KENICHI3」だった。
だから名前を読んでみた。ただそれだけの事。
名前を読んでくれて、嬉しいと言っていた。
思い返せば、こんな事が始まりだった。
女性を監禁、殺人を犯しらしい。
あの、幼い感じから、写真を見ても、
そんな、恐ろしい事をするようには、思えない。だけど、会った事も無い相手に
お花を贈ったり、自宅を監視したり、異常行動した。
一方的な思い。もし、私が受け入れたら、
お互いに幸せになったのかな?
もう、答えは永遠に出ないだろうな。。。
ドアベルが鳴らされる。
安心していいと、言われている。。
私は緊張しないよう、平静に出迎える。
「お忙しい中、ありがとうございます」
「ご連絡をありがとうございます」
「1番に連絡して頂いて、嬉しいです」
彼は、爽やかな笑顔で答えた。
「お休みところ、ありがとうございます」
私は答えた。
一瞬、彼の表情が曇ったように思えた。
でも、すぐ、爽やかな笑顔に戻った。
「立ち話で、すいません」
「どうぞ、お入りくださいませ」
リビングに彼を案内し、麦茶の準備をしながら、
彼の様子を伺った。特に変わった様子は無いようだ。
「お手洗い借りてもいいですか?」
「ちょっと我慢してて。ご訪問、早々に失礼ですが」
彼が尋ねてきた。
「はい。どうぞ。玄関の廊下右です」
私は答えた。
「では、お借りいたします」
彼は丁寧にお辞儀してから、玄関に戻って行った。
戻ってきた彼に、麦茶をテーブルに置いて、話を切り出した。
「盗聴器のことなんですけど、もう本当にこの部屋には無いのでしょうか?」
「この間、確認して頂いたのが全部なのか?」
「不安になってしまって」
「ご連絡致しました」
彼が、何か考えたような表情の後、
「特に問題無いと思います」
僕は、なんの根拠も無い、でまかせを言った。
「受信機の履歴の確認を鑑識係がしていたと、
聞いています」もちろん聞いてない。
とりあえず、そう言っておけば、安心するだろう。
僕はこれは使えると思い、女性に聞いた。
「今日はおひとりなんですか?お時間は?」
「はい。まだ子どもは学校ですし、今日は誰も訪ねてくることは、ありません」
女性が答えた。
「よかった。じゃ、一応、お部屋を、幸子さんよければ、
お探ししましょうか?もう一度」
いつもの癖で、思わず名前を呼んだけど、流したようだ。
「OKのサイン」僕はよい方向にとらえた。
「はい。そうしてください。お願いいたします」
私は、名前を呼ばれた時、一瞬!ドキッとなったが彼を刺激しないようにした。
「お部屋は3室ですね」
「浴室兼洗面所」「トイレ」「順番に見ていきますか?」
「だいたい、この当たりに、仕掛けらてることが多いですね」
「最近は、ペット見守り用とか、幼い子供を見守れるたりする
WEBカメラなんかも置いておくことが多いじゃないですか」
「あれを、彼氏や彼女なんかが、
相手の部屋に秘密で置いておいて、スマホで見る」
「すごい世の中ですよね。監視社会。町中カメラだらけだし」
「安心と引き換えに犠牲にしてものがあるのかもしれませんね」
彼は、一緒に部屋を回りながら、饒舌に話を進めた。
「容疑者の行き過ぎた、想い、愛の結果こうなっただけかも知れません」
「同意があれば合法。なければ犯罪」
「線引きが難しいですよね」
「ましてや、片方は、顔も何も知らない相手に」
「鈴木さんはどう思いますか?」
彼が、急に質問をしてきた。
私は「わからないです。そうなってみて、初めて考えれる事ですし」
「何も知らない相手になぜ、そう思えるか?」
「でも、顔も見えない相手でも、通じあう事はできるんじゃないかと思います」
「言葉、文章だけでも、通じあえる。私、文通。好きなんです」
「子どもの頃の交換日記みたいな。文章のやり取り」
「短い文章でも、相手の気持ちがわかる。怒ってるとか。悲しんでるとか」
「相手を信じる気持ちを、私は大切にしたいです。たとえ迷いに支配されても」
私は、また、ケンイチを思い出してた。
「答えになって、ないですね。ごめんなさい」
私の答えに、彼は何も言わなかった。
一緒に順に見ていって最後に、私の寝室となった。
寝室と言っても3畳ぐらいの小さな部屋、ベットとPCラック、クローゼット。
「幸子さん、ベット奥の隙間、見れますか?仕掛けられるが事が多いですよ」
「僕がベットの上に、のるわけにもいかないし」
彼と話しているうちに、最初の緊張が解れて、油断していたかもしれない。
私は、言われるがまま、ベットに四つん這いになって奥を覗いた」
「何もないですね。あっ!100円落ちてました」
「ちょっと、取りますね」
私がベットと壁の隙間に手を伸ばして、取りにくそうしていた。
その時!
「幸子さん」「さちこ」彼が私を呼んだ。囁いたように。。。
私が振り向こうとしたら、彼の顔が、私の顔の真横にあった。。。




