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「君を求う きみをこう」  作者: 旭 諭


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30.第27章

 あの短いメッセージを

最初に見たときは戸惑ったけど

彼女の部屋、ベランダから出る時に見た

窓際の棚に置かれた「カーネーション」

「虚無の僕」が見えたとき、彼女の声が聞こえた。


僕のしなければならない事は、決まっていた。

もう彼女を「迎えに行く」「3人で手を繋ぐ家族」

などと、考えていた、僕はいない。


しかし「邪な囁き」が耳に響く。

やつに抗う為には、僕に残された彼女への想い

愛に似た感情が、邪魔をしていた。


「お前の言いたい事を、俺は代弁してやってるんだぞ」

「いい子ちゃんのお前に、できない事をしてやってるんだぞ」

「感謝しろよ」「彼女が欲しいんだろ」

「ならシロよ」「やってみせろよ」

「もう自慰行為じゃ満足できんだろ」

「あの彼女の余計な虫、邪魔者を消さないといけないだろう」

次々に囁きかけた。やつが、たたみかけてきた。


外が暗くなりかけてた時、

「3人が帰って来た。忙しくなるな」

弱い僕はカメラの前に、座った。いや、ふりができた。


そしてパソコン画面を開いた。

「画面越し」の彼女が始まった。


さっきまでの、従順な僕が仕掛けたのは

数キロしか電波は届かないと書いてあった

WEBカメラと盗聴器だった。

「お楽しみは後に取っとけ」

やつが言うので、今、初めて電源入れた。


子供の声が聞こえた。男性の声が聞こえた。

幸せそうな家族の団らんが、聞こえてきた。

3個に分割された、WEBカメラは、リビングしか、映らなかった。

「お前しくじったな」

「1番のお楽しみ場所が映って無いな」

「パソコンの部屋も映って無いな」

「まぁいい。また行けばいい。いつでも行ける」

「もうすぐ、お前が住んでるかもしれんしな」

ニヤついたやつが言う。


カメラに映った光景は「ホームドラマ」を見ているようだっだ。

家族が楽しそうにしている。母親が忙しそうに家事をしている。

「幸せな家族、そのものだった」

やつは「つまらない」と言った。興味を無くしたようだ。


僕も、もう見るのをやめた。いや見れなかった。

カメラを覗くのも止めた。


「暇だな」やつが言った。

「忙しくなると思ったのにな」

「そうそう、まだ戦利品を使ってないな」

「お前」「どうしたんだよ戦利品」

戦利品とは、彼女の部屋から、盗ってきた「下着」の事だっだ。

「お前、使ってないだろ」「暇だからシロよ」「使えよ」

しつこく、やつが言ってきたが、

僕は無視した。無視できた。

そのうち、やつが何も言わなくなった。


時間がたって、急にやつが話しかけてた。

「おもしろいものが見れるぞ!」

薄暗い部屋、月明かりで照らされたぐらいの明るさで、

男女が交わっている姿だった。

かすかに、女性の性的な声も聞こえた。

やつは嬉しそうだった。

「もっと、見ろよ。好きだろお前」

僕は見るのを止めた。

ここでも、無視できた。やつも黙っていた。


彼女の想いは、わかっている。

後は、僕自身が、最後の行動にでれば「彼女を幸せ?」にできるはず。


「僕にできるだろうか。。。」


女性の少し荒い息遣いが聞こえる。

やがて、震えるような声が聞こえ、静かになった。


ふと、思い出した。

幼いころ、夜にトイレに行きたくなって、廊下を歩いていたとき、

聞こえてきた声。話声で無い。聞いたこと無い声。

両親の寝室からだった。

「その時の声と同じこと声だ」

見たい気持ちもあったが、同時に「見てはいけないもの」に思えた。

眠気が勝ってすぐ寝た。忘れていた。


「同じだ」「同じなんだ」「後でわかった、愛し合うことを」


後悔もした。やり直したい。何か違う方法で、うまくできなかっただろうか?


「高校の時」「大学の時」

「気になった女の子に、声をかければ、どうなっていたのだろうか?」

「就職して、職場の女性を、好きになっていたのかもしれない?」

「知らず知らずうちに、母の面影を追うのを、やめれただろうか?」

「誰かと愛し合う、愛しい人が、できただろうか?」

「あの邪悪な影を、作り出した弱い僕に、できただろうか?」


「名前をもう一度、呼んでもらうことは、できただろうか?」


「おはよ 柔らかな笑顔が、僕に微笑みかける」


涙があふれる。声を出して泣けた。やっと泣くことができた。

「許されるなら最後に彼女に感謝の気持ちを伝えたかった」

後悔?悲しみ?嬉しさ?交差しあった。


僕は、静かに眠りにつけた。。。長い眠りについた。。。。


「君を求う きみをこう」


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