23.第20章
プレゼントを買いに行くことにした。
ネットショップを使わず、お店に行って贈りたくなった。
大切な人には、そうしたかった。
近所の花屋さんに、何年かぶりに訪れた。
幼いころ、母の日の「カーネーション」父と買いに来た以来。
中年の店主と、若い女性の店員がいた。
「いらっしゃいませ~」と明るく僕を出迎える。
少し前の僕なら、そのまま逃げだしそうだが、
今は違う。成長した僕は違うのだと。
でも、女性と話すときは、緊張する。
花をプレゼントしたいと伝えた。
「男性ですか?女性ですか?」
「手渡し?郵送?」
「お花の種類は?」
「ご予算は?」
次々に質問が飛んできた。
僕は「贈りたい花は決まってます」
「離れたところにいる女性です」
と答えた。
そうしたら
「わかりました。日持ちのする、お花がいいですね」
「フラワーソープが人気ですよ」
と言われたので、初めて聞いたお花だったけど、
言われたとおりにした。
「メッセージを付けますか?」
僕は「はい。つけます」決まっていた言葉を書いた。
「迎えに行きます。幸せにします」と
短く書いた。彼女の反応が楽しみだった。
明日には届くとの事。届いた時に反応が
楽しみだった。彼女は喜んでくれるだろうと
信じて、疑わなかった。
若い女性店員も
「贈られる方も、きっと、喜んでくれますよ」と
言ってくれた。僕は嬉しくなった。
誰かに、プレゼントをすることが、
こんなに「幸せ」なことなんだったと実感した。
いつもは、話しかけてくる「影」が
何も言ってこなかった。
「幸せ」いっぱいの僕は、気にもとめていなかった。
やつが「笑って」いたことを。
この贈り物が、「幸せ」じゃなんか無い
「破滅」を意味していることを「影」が
始めから、知っていたことを。




