表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Phantom Zero  作者: 高槻 和真


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
76/77

白い空

夕暮れだったはずの空が、ゆっくりと色を失っていく。


赤。


橙。


紫。


すべてが薄れていき、代わりに白い霧のような光が空を覆い始めていた。


「冗談だろ……」


暁が空を見上げる。


長年現場にいた彼ですら、こんな現象は見たことがなかった。


リアは空間情報を高速解析している。


だが結果は芳しくない。


「現実空間の位相変動を確認。」


「白羽市全域に拡大中。」


「全域?」


剣也が顔をしかめる。


「はい。」


リアは珍しく迷いなく答えた。


「既に局所霊災の規模を超えています。」


その時だった。


施設最深部から再び衝撃が走る。


ズン――――。


地面が揺れる。


建物が軋む。


No.7が静かに振り返った。


『目覚める。』


『ようやく。』


ルナが耳を押さえる。


リングが勝手に発光を始めていた。


「やだ……。」


「ルナ!」


剣也が駆け寄る。


しかしリングは止まらない。


淡い水色だった光が徐々に白へ近づいていく。


No.7がその様子を見つめる。


『零番目は正しかった。』


『だから君を残した。』


ルナの瞳が揺れる。


「……知らない。」


『覚えていないだけだ。』


「違う!」


初めてだった。


ルナが感情を露わにしたのは。


「私はルナだ!」


リングが激しく発光する。


白い衝撃波。


研究員たちが吹き飛ばされる。


施設全体が震える。


その瞬間。


剣也の脳裏に映像が流れ込んだ。


知らない景色。


白い研究所。


無数のガラスカプセル。


幼い少女。


泣いている。


そして。


その隣に立つ巨大な白い機体。


ABEL。


『保護対象を確認。』


『保護を継続。』


ノイズ。


途切れる映像。


剣也は思わず頭を押さえた。


「ぐっ……!」


リアが支える。


「剣也!」


だが次の瞬間。


施設最深部の扉が完全に崩壊した。


轟音。


地下から噴き上がる白い光。


そして。


巨大な"何か"が姿を現す。


人型ですらない。


生物とも機械とも言えない。


白い骨格のような構造。


無数の目。


無数の腕。


全身を覆う霧。


存在しているだけで周囲の空間が歪む。


リアの演算が再び停止する。


「未確認存在を認定。」


「データベース照合不能。」


「仮称――」


言葉が途切れる。


その存在はゆっくりと空を見上げた。


すると。


白羽市上空の白い空が、


まるで応えるように脈動した。


No.7は静かに目を閉じる。


『やはり来たか。』


その声には恐怖があった。


第一次零番計画の生き残り。


深層を知る男。


その彼が初めて恐れている。


剣也は霊装を握り締める。


「……アイツは何だ。」


No.7は数秒沈黙した。


そして低く答えた。


『あれは失敗作ではない。』


『成功した結果だ。』


白い怪物が、


ゆっくりとこちらへ顔を向けた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ