転校生
昼休み。
教室は妙にざわついていた。
原因は当然、
黒瀬湊。
窓際の席。
頬杖。
無愛想。
誰とも喋らない。
なのに目立つ。
女子たちが小声で話している。
「なんか雰囲気やばくない?」
「モデルみたい。」
「でも怖……。」
佐藤が弁当を持って剣也の席へ来る。
「お前の知り合い?」
剣也は適当にパンを齧る。
「まぁ、ちょっと。」
「ちょっとで済む感じじゃねぇだろ。」
その時。
ガタッ。
湊が立ち上がる。
教室の空気が少し変わる。
湊は無言で剣也の席まで来た。
佐藤が固まる。
湊が低く言う。
「屋上。」
「今。」
剣也が眉をひそめる。
「なんで。」
「話がある。」
「めんどい。」
「死ぬ話だ。」
沈黙。
佐藤が青ざめる。
「えっ。」
「なにそのワード。」
湊は気にせず教室を出ていく。
剣也がため息を吐く。
「……行ってくる。」
屋上。
夕焼け前の風。
フェンス。
遠くの高層ビル群。
湊は煙草の代わりに飴を咥えていた。
「学校禁煙だからな。」
剣也が呆れる。
「吸う気だったのかよ。」
湊は笑わない。
そのまま街を見下ろしている。
「白羽市、終わるかもしれねぇ。」
剣也の顔から表情が消える。
「……何を知ってる。」
湊は少し黙る。
そして、
制服のポケットから古い写真を出した。
そこには。
白い研究施設。
そして。
幼い頃の真白天谷。
その隣に、
見覚えのある白いリング。
ABEL。
剣也が目を細める。
「なんだこれ。」
湊は静かに答える。
「始まり。」
「“第一次零番計画”のな。」




