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Phantom Zero  作者: 高槻 和真


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保護対象

ルナは剣也へ倒れ込んだまま動かない。


「ルナ!」


剣也が抱き起こす。


リアが即座にスキャンを開始。


「生命反応正常。」


「意識のみ喪失。」


剣也が息を吐く。


「……脅かすなよ。」


ルナの背後。


停止したリングが静かに浮いている。


さっきまでの暴走が嘘みたいに、


今はただ淡く水色に光っていた。


エレナが崩壊しかけた壁を見る。


「これで“未完成”なの……?」


切断面は異常だった。


壁だけじゃない。


空間そのものが裂けている。


真白が静かに呟く。


「ABELの位相制御を継承してる。」


「でも、まだルナの精神側が耐えきれてない。」


暁が煙草を咥え直す。


「危なすぎるだろ。」


「こんなモン高校生の家に置けるか?」


剣也が即答する。


「置く。」


暁が呆れる。


「即答かよ。」


「だって。」


剣也は眠っているルナを見る。


「今さら一人にしたら、また向こう側に引っ張られそうじゃねぇか。」


沈黙。


真白が少しだけ目を細める。


「……保護対象、ね。」


その言葉に、


リアが静かに反応した。


「否定しません。」


暁が苦笑する。


「お前まで甘くなってんじゃねぇよ、リア。」


リアは剣也を見る。


「剣也の判断は合理的です。」


「ルナ単独では深層干渉率が上昇する可能性があります。」


「共鳴安定のため、同行を推奨します。」


エレナが肩を落とす。


「はいはい。」


「結局また同居枠増えるのね。」


その瞬間。


モニター越しの湊が吹き出した。


「ハッ。」


「なんだそりゃ。」


「ガキのシェアハウスか?」


剣也が睨む。


「うるせぇ病人。」


湊は笑う。


だが次の瞬間。


ゴホッ――


大量の血。


モニターへ赤が飛ぶ。


医療班が悲鳴を上げる。


「黒瀬さん!!」


「心拍低下!!」


剣也の表情が変わる。


だが。


湊は血を拭いながら、


まだ笑っていた。


「……あー。」


「クソ。」


「今回ちょっと使いすぎたか。」

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