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Phantom Zero  作者: 高槻 和真


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地下隔離区画。


静寂。


モニター越しに、


黒瀬湊がルナのリングを見つめている。


「……零番目、止まったのか。」


暁が眉をひそめる。


「お前、ABEL知ってたのか。」


湊は少し黙る。


それから、


面倒そうに頭を掻いた。


「知ってるも何も。」


「旧実験部隊で知らねぇ奴いねぇよ。」


エレナが険しい顔になる。


「TYPE:00は極秘記録のはずよ。」


「表向きはな。」


湊が吐き捨てる。


「けど、実験場じゃ“零番目”って呼ばれてた。」


「最初の成功体。」


「最初の失敗作。」


隔離区画の空気が少し冷える。


ルナが小さくABELを見る。


「……しっぱい。」


湊はモニター越しにABELの残骸を見る。


「感情制御できなかったんだよ。」


「深層適合率が高すぎた。」


「だから兵器になりきれなかった。」


真白が静かに目を伏せる。


「……。」


湊が続ける。


「逆だな。」


「人間に近づきすぎた。」


剣也がABELを見る。


巨大な白い残骸。


最後にルナを守った兵器。


もう動かない。


その時。


ルナのリングが微かに発光した。


水色の光。


リアが即座に反応。


「反応確認。」


「自律同期を開始しています。」


ルナが少し驚く。


「……あ。」


リングが浮く。


ゆっくり。


ルナの背後へ回転展開。


水色の輪。


まるでABELの小型版。


エレナが息を呑む。


「起動した……。」


だが。


次の瞬間。


空間が歪む。


リング周囲に黒い亀裂。


ルナが苦しそうに頭を押さえる。


「っ……!」


リアが即座に支える。


「使用停止!」


「深層ノイズ流入を確認!」


ルナの視界に、


白い霧が広がる。


遠く。


巨大な“目”。


『――零番目』


知らない声。


『――接続継続』


ルナが震える。


「……やだ。」


剣也がすぐ前へ出る。


「ルナ!」


その瞬間。


リングが暴走しかける。


水色の光が地下区画へ拡散。


防壁が切断される。


エレナが叫ぶ。


「位相干渉!?」


「空間そのものを裂いてる!!」


湊の顔から完全に笑みが消える。


「……オイオイ。」


「いきなりそこまで使えんのかよ。」

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