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Phantom Zero  作者: 高槻 和真


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旧実験部隊

地下研究区画。


崩壊寸前の空間に、しばらく沈黙が落ちる。


モニターでは、


医療班に囲まれる黒瀬湊の姿が映っていた。


だが。


湊は担架を拒否している。


「触んな。」


血を吐きながら、


無理やり立ち上がる。


隊員たちが困惑していた。


「いや無理ですって!」


「内出血ヤバいですよ!」


湊は面倒そうに頭を掻く。


「慣れてる。」


剣也がモニターを見ながら呟く。


「……何なんだよ、あいつ。」


暁は少し黙る。


その横顔が珍しく重かった。


エレナが静かに言う。


「旧実験部隊。」


「セレスティア設立初期の、生存率度外視部隊よ。」


剣也が眉をひそめる。


「そんなの聞いたことねぇぞ。」


「表に出してないもの。」


エレナの声は低い。


「今のドール技術や安全化霊装が完成する前。」


「人間側で無理やり境界へ対抗しようとしてた時代があった。」


モニターの中。


湊が壁へ寄りかかりながら煙草を咥える。


火はついていない。


ただ口にしているだけ。


リアが静かに解析を続ける。


「黒瀬湊。」


「旧・位相適応実験被験者。」


「適応率、異常値。」


「生存率予測……」


リアが一瞬止まる。


「……2.3%。」


剣也が顔をしかめる。


「は?」


暁が低く言う。


「本来ならとっくに死んでる。」


静寂。


真白がモニターを見る。


「まだ使ってるのね、“グレイヴ”。」


エレナが目を見開く。


「霊装名……。」


リアが補足する。


「対位相侵食兵装・GRAVE。」


「使用時、生命情報を霊子変換。」


「理論上、使用者は長期生存不可能。」


剣也が舌打ちする。


「欠陥品じゃねぇか。」


暁が苦く笑う。


「だから旧型なんだよ。」


その時。


モニターの中で、


湊が突然こちらへ視線を向けた。


まるで会話が聞こえているみたいに。


そして。


小さく笑う。


「……相変わらず陰口好きだな、オッサン。」


地下区画が静まる。


暁の顔が止まる。


剣也が振り返る。


「通信繋がってんのか?」


エレナが端末を見る。


「……違う。」


「この回線、切れてる。」


沈黙。


リアがゆっくり言った。


「位相感知による空間越し認識。」


「黒瀬湊は、こちらを直接観測しています。」


モニターの向こう。


湊が血を拭いながら笑う。


「……で。」


「そっち、化け物拾ったんだって?」

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