赤熱霊装
モニターの中。
黒瀬湊が侵食体の群れへ踏み込む。
赤い杭型霊装。
刀身の亀裂が脈打っている。
まるで、
使用者の命を吸っているみたいに。
巨大侵食体が咆哮。
無数の腕を展開する。
一般隊員たちは後退するしかない。
「ダメだ!」
「A級だぞ!!」
「援護が来るまで持たねぇ!!」
その時。
湊が低く呟いた。
「……うるせぇな。」
赤い霊装が発光する。
リアが解析を始める。
「高濃度霊子圧縮。」
「危険域突破。」
エレナが顔をしかめる。
「まさか、“まだ”使う気……?」
暁が苦い顔をする。
「アイツ、昔からアレだ。」
「死ぬラインでしか戦えねぇ。」
モニターの中。
湊が霊装を肩へ担ぐ。
赤い亀裂が腕へ広がっていく。
皮膚の下。
血管みたいに。
ゴホッ――
また血。
それでも笑う。
「……一発で終わらせる。」
巨大侵食体が突撃。
地面を砕きながら迫る。
次の瞬間。
湊が消えた。
轟音。
赤い閃光が工業地帯を横断する。
侵食体。
建物。
黒霧。
全部まとめて切り裂かれる。
数秒遅れて、
空間そのものが崩れた。
隊員たちが呆然と立ち尽くす。
巨大侵食体の上半身が、
ゆっくり滑り落ちた。
再生しない。
完全消滅。
エレナが小さく呟く。
「……位相ごと焼いてる。」
リアも静かに続ける。
「通常霊装では不可能。」
「使用者自身の生命情報を燃料化しています。」
剣也が眉をひそめる。
「命削って戦ってんのかよ……。」
その瞬間。
モニターの中で、
湊がふらついた。
霊装が解除される。
赤い杭が崩壊。
粒子化。
湊はそのまま膝をつく。
隊員たちが駆け寄る。
「黒瀬さん!!」
「医療班!!」
だが。
湊はその声を無視して、
ゆっくりこちらを見る。
モニター越し。
その視線が、
まっすぐ剣也へ向く。
そして。
小さく呟いた。
「……やっぱ居たか。」
剣也が眉をひそめる。
「は?」
暁の表情が少しだけ険しくなる。
剣也は気づく。
暁は、
“湊が自分を知っている”ことに驚いていない。




