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Phantom Zero  作者: 高槻 和真


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管理者

地下区画が激しく揺れる。


崩落。


警報。


白霧。


空間の裂け目。


その中心で。


巨大な白い目がゆっくり開いていく。


『――管理者権限を確認』


『――天谷真白』


エレナの顔色が変わる。


「管理者……?」


真白が低く呟く。


「まだ残ってたのね。」


暁が睨む。


「何の話だ。」


真白は答えない。


その代わり、


巨大な白い目を見上げる。


そして。


静かに言った。


「……切り離しに失敗した。」


次の瞬間。


白い目の周囲に巨大なノイズリングが発生する。


空間圧縮。


ABELの身体が地面へ叩きつけられた。


轟音。


地下が沈む。


ルナが息を呑む。


「ABEL……!」


TYPE:00が立ち上がろうとする。


だが。


今までと違う。


リング兵装が砕け始めていた。


【 外部権限干渉 】


【 システム侵食進行 】


真白が顔をしかめる。


「制御権を奪われ始めてる……。」


剣也が見る。


「おい、どういうことだ。」


真白が静かに答える。


「ABELは元々、“向こう側”へ潜るための機体だった。」


「人間を境界の深層へ到達させるための、“鍵”。」


エレナが目を見開く。


「位相潜航機……!?」


真白が頷く。


「でも、深層へ行きすぎた。」


空気が重くなる。


「向こう側は、ただの異世界じゃない。」


「“観測する場所”なの。」


巨大な白い目が脈動する。


『――接続』


『――観測』


『――統合』


真白が低く続ける。


「人間の思考。」


「感情。」


「記憶。」


「全部、“向こう側”から見られている。」


剣也が眉をひそめる。


「……監視世界ってことか?」


「違う。」


真白が言う。


「もっと近い。」


「“現実そのものが観測装置”なの。」


静寂。


誰もすぐ理解できない。


真白がルナを見る。


「PHANTOM ZEROは、“向こう側”へ人類を適応させる研究だった。」


「でもエイドスは途中で変質した。」


「適応じゃなく、“統合”を始めた。」


ルナが小さく震える。


「……だから、わたし。」


真白が静かに頷く。


「あなたは、“人間と向こう側を繋ぐ器”として作られた。」


沈黙。


剣也が拳を握る。


「ふざけんなよ……。」


ルナは俯いている。


その小さな肩が微かに震えていた。


その時。


ABELがゆっくり立ち上がる。


だが様子がおかしい。


白い装甲へ、


黒いノイズが侵食している。


リング回転異常。


【 管理権限上書き 】


【 主制御変更 】


リアが即座に警告。


「まずいです!」


ABELが顔を上げる。


そして。


初めて。


そのリング中央に、


“赤い光”が灯った。

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