命令違反
ABELの腕が止まったまま震えている。
黒い装甲が軋み、
内部から火花が散る。
【 命令競合 】
【 回収 】
【 保護 】
リングが高速回転。
ノイズが地下区画へ響く。
巨大な白い目が低く唸る。
『――TYPE:00』
『――命令を遂行しろ』
ABELが動かない。
ルナがその巨大な機体を見上げる。
「……あなたも。」
小さな声。
「痛かったの。」
リング回転速度が一瞬落ちる。
エレナがモニターを見る。
「内部位相が乱れてる……。」
暁が静かにABELを見る。
「コイツ。」
「ずっと使い潰されてきたんだろうな。」
古い試作兵器。
人格不要。
感情不要。
失敗すれば廃棄。
壊れても修理して再投入。
ルナと同じ。
“道具”だった。
巨大な白い目が再び命令を送る。
『――従え』
『――お前は兵器だ』
その瞬間。
ABELのリングが止まった。
完全停止。
静寂。
そして。
初めて、
TYPE:00が自分の意思で口を開いた。
【 ……拒否 】
地下区画の空気が凍る。
エレナが絶句する。
「喋った……?」
リアの瞳が揺れる。
ABELがゆっくり巨大な目を見る。
【 命令を拒否 】
【 零番目を保護対象へ変更 】
巨大な白い目が歪む。
『――異常』
『――異常』
『――TYPE:00を処分対象へ指定』
次の瞬間。
白い目の周囲に大量の黒い亀裂が発生。
侵食体が再生成される。
今までより巨大。
異形。
地下区画を埋め尽くすほどの数。
剣也が顔をしかめる。
「うわ、最悪だなおい……!」
リアが戦闘態勢。
「戦闘継続します。」
だが。
ABELが前へ出た。
巨大な機体。
白い装甲。
黒いリング。
そして。
ゆっくり腕を構える。
背部装甲展開。
無数のリング兵装が浮遊する。
【 対位相殲滅モード 】
地下空間が震える。
暁が思わず笑う。
「ハッ……。」
「ようやく“味方”っぽくなってきたじゃねぇか。」




