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Phantom Zero  作者: 高槻 和真


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49/77

TYPE:00

重い駆動音が地下区画に響く。


巨大な人影が、ゆっくり暗闇から姿を現した。


白い装甲。


人型。


だが現在のドールとは明らかに違う。


古い。


無骨。


兵器的。


全高は三メートル近い。


全身のフレームが剥き出しになっており、各部から黒い霊子ケーブルが伸びている。


頭部には顔がない。


代わりに、


黒いリング状の機構が浮かんでいた。


【 PHANTOM FRAME - TYPE:00 】


【 CODE NAME:ABEL 】


リアが静かに呟く。


「……旧世代試作型。」


エレナが険しい顔で補足する。


「現行ドール以前に作られた、“位相戦特化型”。」


暁が舌打ちする。


「まさか実在してたとはな……。」


TYPE:00 ――ABEL。


それは“兵器”だった。


今のリアたちのような、人間に近い設計ではない。


感情も、


人格も、


必要とされていない。


純粋な、


対“向こう側”用殲滅機。


ABELがゆっくり頭部リングを回転させる。


空気が震えた。


「ッ……!」


剣也が顔をしかめる。


位相圧。


存在しているだけで空間が軋む。


リアが即座に前へ出る。


ルナを庇う。


「敵性認定。」


ABELのリングが停止する。


次の瞬間。


地下区画の床が爆ぜた。


「速ッ――!」


消えた。


そう見えた。


一瞬でリアの目前。


轟音。


リアが吹き飛ぶ。


壁を貫通。


コンクリートが砕け散る。


「リア!!」


剣也が霊装を展開し突撃。


横薙ぎ。


ABELは片手で受け止めた。


「なッ……!?」


金属音。


霊装刃が止められている。


ABELが剣也を見る。


顔はない。


だが。


“観察”されている感覚だけがある。


【 適合因子確認 】


無機質な音声。


【 神島剣也 】


【 接続適性:高 】


剣也の表情が変わる。


「またそれかよ……!」


ABELの腕が変形。


巨大な刃が形成される。


振り下ろし。


剣也が回避。


床が消し飛ぶ。


エレナが即座に射撃。


霊子弾がABELへ直撃。


だが。


装甲表面で弾かれる。


「装甲硬度おかしいでしょ……!」


暁が結界杭を撃ち込む。


青白い鎖がABELを拘束。


「今だ!」


リアが瓦礫の中から再加速。


光刃最大出力。


ABELへ突撃。


だが。


ABELは避けない。


リングが回転。


瞬間。


リアの光刃が“消えた”。


「……ッ!?」


リアが初めて動揺する。


「霊装干渉を無効化……!?」


エレナが青ざめる。


「対霊装メタ機構……!」


ABELがリアの首を掴む。


そのまま床へ叩きつける。


轟音。


ルナが小さく声を漏らす。


「……リア。」


その瞬間。


ABELの動きが止まった。


リングがゆっくりルナへ向く。


【 零番目確認 】


【 保護対象 】


空気が凍る。


剣也が目を見開く。


「……は?」


ABELはリアを離す。


そして。


ゆっくりルナへ歩き始めた。


【 回収を開始します 】

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