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Phantom Zero  作者: 高槻 和真


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侵食群

黒い染みから、“それ”は次々と現れた。


人型。


だが不完全。


輪郭は崩れ、


ノイズが皮膚のように脈動している。


問題は顔だった。


老人。


女。


子ども。


会社員。


誰も知らないはずなのに、


なぜか“見覚えがある気がする”。


そんな不快な顔。


リアが即座に分析する。


「認識汚染を確認。」


「精神干渉型侵食体。」


『――帰還』


『――統合』


『――接続』


複数の声が重なる。


地下施設全体が震えた。


剣也が霊装を構える。


「リア!」


「戦闘補助開始。」


リアの光刃が展開。


蒼白の光が闇を裂く。


最初の侵食体が飛び込んでくる。


速い。


人間の動きじゃない。


剣也が迎撃。


霊装刃が侵食体の腕を斬り飛ばす。


だが。


切断面から黒い腕が再形成される。


「再生かよ……!」


エレナが後方から射撃。


青白い霊子弾が侵食体の頭部を吹き飛ばす。


それでも止まらない。


「頭じゃない!」


リアが叫ぶ。


「核位置が不安定!」


侵食体の身体内部。


赤い光が移動している。


「コアが動いてるの!?」


エレナが顔をしかめる。


侵食体が笑う。


顔だけ人間。


だが口が裂けている。


『――模倣完了』


次の瞬間。


侵食体の動きが変わった。


剣也と同じ構え。


「……は?」


侵食体が踏み込む。


霊装に似た黒い刃。


衝突。


火花。


剣也が押し返される。


「コイツ……!」


リアが横から斬り込む。


だが侵食体はそれすら読む。


「戦闘学習を確認。」


暁が怒鳴る。


「長引かせんな!」


その時。


ルナが小さく呟いた。


「……違う。」


全員が一瞬見る。


ルナは侵食体たちを見ていた。


そのジト目がわずかに揺れている。


「これ、“兵隊”じゃない。」


『――――』


侵食体たちが止まる。


空気が変わる。


ルナが続ける。


「……観測端末。」


エレナの顔色が変わった。


「まさか……。」


ルナが小さく頷く。


「見てるだけ。」


その瞬間。


侵食体全員の白い目が、


一斉にルナへ向く。


『――観測対象認識』


地下区画の照明が落ちる。


暗闇。


そして。


天井全体に、


巨大な“目”が開いた。


白い。


巨大。


生物的ですらない。


剣也が息を呑む。


「……なんだよ、アレ。」


リアの解析音が乱れる。


「解析不能。」


「高次位相存在を確認。」


目が動く。


ゆっくり。


人間を眺めるみたいに。


そして。


頭の中に直接声が響いた。


『――やっと見つけた』


ルナが硬直する。


『――零番目』

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