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選択と統合

中枢領域。


空気が張り詰める。


中央の“柱”を挟んで、対峙する形。


起点。


ルナ。


剣也とリアは一歩後ろ。


天谷はさらに外側。


観る側に近い位置。


起点が口を開く。


「……確認。」


視線はルナに固定。


「同系譜個体。」


一拍。


「未完成。」


断定。


ルナは動かない。


ただ、見返す。


「……違う。」


短く。


はっきり。


起点がわずかに首を傾ける。


「定義が不一致。」


「修正する。」


一歩、前へ。


圧が広がる。


空間が歪む。


剣也が歯を食いしばる。


「来るぞ……!」


リアが即座に位置を取る。


「戦闘移行。」


ルナは手を上げる。


「……止める。」


だがその声は、


“守る”ではない。


“対峙する”声。


起点が消える。


次の瞬間、ルナの目前。


「っ――」


接触。


衝撃。


空間が裂ける。


二つの位相がぶつかる。


ルナが押される。


後退。


数メートル。


床が削れる。


「……強い。」


小さく呟く。


起点は動かない。


ただ“存在しているだけ”で圧倒的。


「統合は最適解。」


起点が言う。


「矛盾を排除し、安定を得る。」


「お前は不安定。」


「だから未完成。」


ルナが踏み止まる。


視線は逸らさない。


「……違う。」


もう一度。


剣也が前に出ようとする。


リアが腕を掴む。


「待って。」


低く言う。


「これは、ルナの戦闘。」


ルナが一歩、前に出る。


圧に逆らう。


「……不安定。」


自分で言う。


「……揺れる。」


一拍。


「……でも。」


視線がわずかに動く。


剣也を見る。


ほんの一瞬。


「……選べる。」


その言葉。


空気が変わる。


起点が初めて止まる。


「選択は誤差。」


即答。


「統合により不要となる。」


ルナは首を振る。


「……違う。」


今度は、はっきりと強く。


「……それが、必要。」


その瞬間。


ルナの髪が光る。


水色。


だが以前と違う。


揺らぎがある。


安定していない。


だが――


“止まっていない”。


起点が動く。


速い。


正確。


ルナに向けて、一直線。


「排除。」


衝突。


ルナは避けない。


正面から受ける。


「っ……!」


押し込まれる。


だが――


止まる。


ルナが手を伸ばす。


触れる。


今度は弾かれない。


「……届く。」


小さく言う。


干渉。


だが以前と違う。


破壊ではない。


“侵入”。


起点の内部。


完全な構造。


無駄がない。


矛盾がない。


完璧。


「……空。」


ルナが呟く。


現実。


起点の動きが一瞬止まる。


「……?」


初めての“遅延”。


ルナが言う。


「……何もない。」


「……揺れない。」


一拍。


「……だから、変わらない。」


起点が押し返す。


「不要。」


強い圧。


ルナが後退。


だが倒れない。


剣也が動く。


「もういいだろ!」


飛び込む。


斬る。


リアも同時に入る。


連携。


三方向。


起点が初めて“対応を崩す”。


完全ではない。


だが、乱れる。


「……外部要因。」


起点が呟く。


剣也を見る。


「排除対象。」


剣也が笑う。


「何回も聞いたわ。」


そのまま距離を詰める。


「でもな――」


一撃。


入る。


浅い。


それでも。


「それで崩れるなら、安定でも何でもねえだろ。」


ルナが立つ。


再び前へ。


今度は、


一人ではない。


「……選択。」


小さく言う。


「……続行。」


リアが同期する。


「位相補助。」


剣也が言う。


「全部乗せろ。」


三人。


同時に動く。


起点がそれを見る。


初めて。


ほんのわずか。


“揺れる”。


「……不完全。」


呟く。


だがその声は、


以前より確信が弱い。


衝突。


三人の干渉。


起点の構造が軋む。


完全ではない。


だが、


“崩れる可能性”が生まれる。


数秒。


均衡。


そして――


起点が距離を取る。


自ら。


静寂。


「……確認。」


小さく言う。


「選択による干渉増幅。」


ルナを見る。


「……変質。」


一拍。


「結論、保留。」


空間が歪む。


後退。


撤退。


消える。


完全に。


静寂が戻る。


剣也がその場に座り込む。


「……マジで硬えな。」


リアが呼吸を整える。


「撃破には至らず。」


ルナは立ったまま。


動かない。


数秒後。


小さく言う。


「……違う。」


剣也が顔を上げる。


「何が?」


ルナが振り返る。


「……負けてない。」


剣也が笑う。


「だな。」


リアも頷く。


「戦術的優位、一時確保。」


少し離れた場所。


天谷が静かに見ている。


その目に、


わずかな確信。


「……やっぱり。」


小さく呟く。


「“完成形”じゃない方が、先に進む。」

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