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設計図

内部。


一歩踏み入れた瞬間、空気が変わる。


音が吸われる。


床は金属。だが微かに脈打っている。


「……生体反応。」


リアが呟く。


「構造の一部に霊的組成を確認。」


剣也が眉をしかめる。


「建物っていうより、生き物だな。」


ルナは周囲を見ている。


「……記録、なし。」


初見の構造。


つまり――完全に未知。


通路は三方向に分岐していた。


どれも同じ。


同じ“匂い”。


リアが即座に言う。


「誘導の可能性。」


ルナは目を閉じる。


静かに。


「……流れ。」


霊的な流動を読む。


目を開ける。


「……左。」


剣也は即決する。


「それでいい。」


進む。


数分。


敵は出ない。


逆に不自然。


「……静かすぎる。」


リアが言った瞬間。


床が沈む。


「っ!」


壁が動く。


通路が閉じる。


囲まれる。


剣也が笑う。


「やっとか。」


現れる。


白いドール。


無機質。


だが、人に近い。


「侵入者、確認。」


声は静か。


感情はない。


「排除対象ではない。」


一拍。


「試験、開始。」


戦闘。


速度が違う。


剣也の一撃は空を切る。


背後から衝撃。


壁に叩きつけられる。


「っ……!」


リアが即座にカバーに入る。


「反応速度、異常。」


ルナが前に出る。


「……見える。」


動きを捉える。


触れる。


――弾かれる。


「……無効。」


初めての拒絶。


白いドールが言う。


「干渉、確認。」


「適応、開始。」


ルナのパターンを“学習”している。


リアが短く言う。


「戦闘継続で不利。」


剣也が舌打ちする。


「なら、崩す。」


フェイント。


タイミングをずらす。


一撃が通る。


浅いが確実。


「よし。」


リアと同期。


二方向から圧をかける。


ルナが割り込む。


干渉を変える。


一点集中。


「……通る。」


内部から崩壊。


ドールの腕が消える。


「適応、遅延。」


その一瞬。


三人で押し切る。


剣也の一撃が中枢を貫く。


静止。


崩壊。


完全停止。


静寂。


剣也が息を吐く。


「……学習型とか、面倒だな。」


リアが周囲を確認する。


「他反応なし。」


ルナは残骸を見ている。


「……まだいる。」


確信。


その時。


通路の奥。


扉が、ひとりでに開く。


誘導するように。


剣也が笑う。


「露骨すぎるな。」


リア。


「罠の可能性、高。」


ルナ。


「……でも、進む必要がある。」


三人が動こうとした、その時。


リアの端末にノイズが走る。


一瞬だけ。


微弱な通信。


「……?」


リアが止まる。


データを展開。


そこに映ったのは――


設計図の断片。


この施設の内部構造。


だが、


「……不完全。」


ルナが呟く。


「……でも。」


剣也が覗き込む。


「誰かが送ってきたな。」


発信元。


セレスティア本部。


識別コード。


――天谷。


リアがわずかに沈黙する。


「……タイミングが不自然。」


剣也も気づく。


「さっきの戦闘の直後だぞ。」


ルナは画面を見る。


じっと。


「……知ってる。」


小さく言う。


「この構造。」


二人が見る。


「どういう意味だ。」


ルナは少しだけ間を置く。


「……似てる。」


それだけ。


だが十分だった。


リアが静かに言う。


「天谷博士は、この施設の構造を“事前に知っていた”可能性。」


剣也が鼻で笑う。


「なるほどな。」


一拍。


「敵か?」


リアは即答しない。


「断定不可。」


ルナが一歩前に出る。


「……でも。」


振り返る。


「……進む。」


その声に迷いはない。


剣也は軽く笑う。


「まあいい。」


「裏があろうがなかろうが――」


前を見る。


「全部ぶっ壊せば関係ねえ。」


リアも位置につく。


「任務継続。」


三人は進む。


より深い領域へ。


その先にあるのは――


“中枢”。


そして、


誰が味方で、誰が敵か。


まだ確定していないまま。

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