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分離領域

帰路。


特に異常はない。


――はずだった。


「……妙だな。」


剣也が呟く。


リアが即座に反応する。


「霊的ノイズ、検出なし。」


ルナも周囲を見る。


「……観測されてない。」


“見られていない”。


それ自体が異常。


その瞬間。


“切れる”。


音が。


空気が。


感覚が。


「――っ」


視界が白く飛ぶ。


次に目を開けた時。


そこにいたのは――


剣也、一人。


「……は?」


周囲。


何もない。


地面も曖昧。


空もない。


ただの“空間”。


「おい、リア!」


反応なし。


「ルナ!」


何も返らない。


剣也は舌打ちする。


「単独かよ……」


足音。


一つ。


振り返る。


起点。


一人で立っている。


距離は数メートル。


逃げ場はない。


「……成功。」


小さく言う。


「隔離、完了。」


剣也が笑う。


「やっとタイマンか?」


起点は首をわずかに傾ける。


「戦闘ではない。」


即答。


「検証。」


「……お前が、何なのか。」


その言葉。


剣也の眉がわずかに動く。


「俺?」


起点が一歩近づく。


圧はない。


ただの存在。


だが重い。


「ドールの干渉を変質させる要因。」


「外部ノイズ。」


「誤差。」


淡々と並べる。


「排除すべきか、利用すべきか。」


一拍。


「判断する。」


剣也は肩を回す。


「好きにしろよ。」


構えない。


あえて。


「ただし――」


目を細める。


「つまんねえ答え出したらぶっ壊す。」


起点が手を上げる。


その瞬間。


空間が変わる。


景色が生まれる。


瓦礫。


煙。


炎。


「……記録再現。」


剣也の目が細くなる。


「……これ。」


幼い頃の記憶。


霊災。


崩れた街。


倒れた人。


その中に――


小さな自分。


動けない。


埋もれている。


「……やめろよ。」


低い声。


だが起点は止めない。


「原因提示。」


炎の中。


人が消える。


声が消える。


すべてが消えていく。


「お前は、何もできなかった。」


断定。


空間が変わる。


今度は――


現在。


リアが倒れる。


ルナが崩れる。


動かない。


「……未来予測。」


起点が言う。


「お前が関与する限り。」


「不安定要因は増大。」


「結果。」


一拍。


「全損。」


剣也の拳が震える。


だが、


折れない。


「……で?」


短く返す。


起点が一瞬だけ止まる。


「……否定?」


「当たり前だろ。」


即答。


「未来なんて知らねえよ。」


一歩前に出る。


幻の中で。


炎の中で。


「できなかった? だから何だ。」


「今も同じだと思ってんのか?」


さらに一歩。


「だったら何回でもやるだけだ。」


声が強くなる。


「失敗しても、ミスっても、全部やる。」


「それが俺だ。」


空間が揺れる。


起点の観測が一瞬乱れる。


「……非合理。」


「知ってる。」


剣也が笑う。


「でもな――」


指を突きつける。


「それで守れてるもんがある。」


その瞬間。


“割れる”。


現実側。


リアとルナ。


必死に干渉している。


「剣也の反応、途絶。」


リアが言う。


「位置特定不能。」


ルナの手が震える。


「……見つからない。」


だが、


止まらない。


「……選ぶ。」


小さく呟く。


「……繋ぐ。」


分離空間。


起点が剣也を見る。


「……結論。」


一拍。


だがその前に。


空間に“ノイズ”。


小さく。


だが確実に。


起点が初めて驚く。


「……外部干渉?」


空間が裂ける。


水色の光。


ルナ。


その後ろにリア。


強引に侵入。


「……見つけた。」


ルナが言う。


剣也が笑う。


「遅えよ。」


リアが即座に位置を取る。


「回収優先。」


起点が三人を見る。


静かに。


「……干渉成立。」


小さく呟く。


「……やはり。」


一拍。


「単体では不完全。」


明確な結論。


空間が崩れる。


分離解除。


現実へ戻る。


音が戻る。


風が戻る。


剣也が軽く息を吐く。


「……めんどくせえことしやがる。」


ルナはすぐ横に立つ。


少しだけ強く袖を掴む。


「……離さない。」


小さく。


だがはっきり。


リアも言う。


「同意。」


遠く。


起点。


単独。


「……確定。」


その声は静か。


「排除不可。」


一拍。


「観測対象、継続。」


そして――


「次段階。」

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