茎についたいちごが怖い
じつは、花に対する恐怖感と全く同じものがあります。それは、茎についた状態のいちごです。この「茎についた状態」というのがミソで、ちぎってしまったらさほど怖くありません。いちごが苦手な人が挙げる定番の理由は「ブツブツが気持ち悪いから」ではないでしょうか? わたしもそれは同感なのですが、茎についているか否かとは関係がないので、ここでは省略します。
いちごを食べるのはとても好きで、何回かいちご狩りに行ったことがあるのですが、しばらく摘んでいるとじわじわと恐怖感が襲ってきます。この感覚は、花に対して抱くものと全く同じだと感じています。
まず、食べごろのいちごのあまりの艶やかさに対する恐怖と、腐っているいちごに対する恐怖ですね。花もそうですが、華やかなときと魅力が失われたときのギャップが大きいと怖いようです。そして、あの実の形状が人間の顔を想像させます。それがずらりと実っていると、やはり大勢の人間を彷彿とさせて怖いです。
それから、わたしはいちご狩りを何度か経験しただけあって、花のときも触れた「経験に基づく不快感」の要素がすごく大きいです。蜂などの虫に対する恐怖は花の回で触れたとおりです。もうひとつは、食べごろのいちごを選び間違えたときの、酸っぱすぎたり青臭かったりする不快感。あの「しまった!」という感覚がじわじわと恐怖に繋がってきます。次に選ぶときに警戒しますからね。特に青いのはだめです。とても食べられたものではないです。
未熟ないちごが怖いのは味が青臭いからだけではなく、その見た目のせいもあります。理由は説明できないのですが、未熟な状態でもちゃんといちごの形をしていることが怖いんです。ちゃんと種もあって、下が尖っていて……。でもすごく小さいし、青白い。それが、どういうわけか怖い。成熟前のいちご畑はあんなのが大量に実っているかと思うと、ゾクゾクします。
写真は「写真素材 足成」からいただきました。
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