第1話 運命の邂逅
お久しぶりです。xの名前変更や書き直し&削除で混乱させてしまい申し訳ありません。
実は一度物語を頭の中で考えていたのですが、最初に考えていたのとかなり脱線した内容になっていたので、もう一度キャラの立ち位置の見直しと下書きの書き直しを行っておりました。
そしてなんとか自分の考えている内容を書けれるようになったため、投稿を再開させていただきました。
1話からになってしまいますが、以前とは明らかにきちんと書けていると思いますので、興味があれば見てくださると嬉しいです。
最近、昔のことを思い出す。
何故かは分からない。ただ、凄く無性に思い出したくなる時があるのだ。
「・・・」
色々なことがあった、色々な人の物語があった・・・
無論、自分も。
「?ーーさん、どうしたのですか?」
「ん?あ、いや。ちょっと昔を思い出してさ」
「昔、ですか?」
「ああ」
そう、これから語るのは、俺の昔の記憶ーーー遥か昔の、懐かしい記憶だ・・・
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「・・・ん」
瞼から差し込む太陽の光で目を覚ます俺。
・・・のだが、中々頭が働かない。どうやらまだ疲れが残っているようだ。
「もう朝か・・・まだ眠、い・・・」
半分寝ぼけながら顔を起こし、机の上に置かれた目覚まし時計を見る。
「い・・・いいいいい!?」
ガバッ!!
「何いいいいい!?もう昼すぎなのおおおお!?あかーーーーん!!」
・・・あかん!こ、これはあかん!!もう朝を通り越して、昼の13時を超えているではないか!!
「急がないと今日の依頼があああ!!」
俺は飛び起き、急いで支度をする!ボッサボサの髪を戻したいけど、今はそれどころではなーーい!!
ーーーまあ、髪元々ボサボサだから意味ないのだがな(それなら考える必要なくないか?)
「ん?」
そうこうして着替えをしていると、ふと机の上に飾っている写真が目に飛び込んでくる。
(母さんと父さん、か・・・)
それは、両親と俺が映った写真・・・のだが、両親の事については一切覚えていない。いや、正確には記憶がないと言った方が正しいか。
「・・・はっ!?ってやべええ!こうしている暇はねえんだったああ!」
ってそんな事を考えている暇はない!急いでギルドに行かなくては!
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ヴァールタリア王国ーーー人口約500万人。大陸の東側の領土を殆ど占めているこの国は、その土地に古くからある自然や遺跡を目当てとした観光客で賑わっており、その観光客数は年間20万人もの人が訪れるらしい。(どこでその数数えてんの?)
ただ、そういった場所には危険な魔物や植物が数多くいるのが憑き物だ。
自分の身を守れる心得があったとしても、命を落とす危険性は高い。
ではその場合はどうするか?
そう、「ギルド」で護衛を募ればいいのである!
「ギルド」とは、生活していく中で困ったことや自分の手では手に負えないようなことを依頼として出し、冒険者がそれを受ける場である。
重要性が高い、大規模な依頼に関しては自治を任されている「騎士団」に委任することもあるが、基本はギルド側が全て請け負っている。
だがこの国のギルド「エルスリング」は他の国とは一線を画すことがある。
それは・・・観光客関係の依頼がめっっっさ多いことだああっ!
上でも話したように、このヴァールタリア王国には古い手付かずの自然が山ほどある。
それを観にくる観光客が山ほどいるため、ギルドには依頼を出しに来る観光客やそれを受ける冒険者で凄まじく!ごった返している。
まあ命を預けるわけだから、依頼料はその分高ーくなるのだが。
そして俺は、そのギルドでそういう依頼に加えて魔物討伐や人探しなんかの依頼をこなしながら生活をしている、というわけだ。
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「おーおー」
「まーた走ってるよあいつ」
商店街を全速力で走っていると、時々店員や通行人の視線を感じる。まあそれはそうか。すげえ早い足漕ぎで走っていればそりゃ目を引くはずだ。
「どーしたーイオー?また寝坊かー?」
「ぜえぜえ・・・み、みりゃ分かるだろ!」
「おーおー、冒険者は大変なこった」
店員は俺の焦ってる姿を見て微笑しながら話しかけてくる。
(ぐぬぬ・・・あ、後で冷やかしに行ってやる!)
俺はそう思いながらギルドに向かって走り続けた。
ーーーギルド「エルスリング」にてーーー
「あの、依頼を出したいのですが・・・」
「はいはーい。・・・あーなるほど。この依頼ですか。そうなるとーーー」
「・・・え!?ここにあった依頼無くなってるじゃん!?」
「あー悪いな。その依頼を出したやっこさんなんだが・・・」
場は移り変わってここギルド「エルスリング」では、昼の2時をすぎた今でも依頼の受付がひっきりなしに行われていた。
辺りにいるのは住人と冒険者、それぞれ半々といったところだろうか。
「ガラン!この依頼の説明ちょっと頼めるー!?
「あーわかった!ちょっと待ってくれ!」
カランカラン・・・
「あ、いらっしゃいませ!ちょっと今立て込んでいるので、少々お待ちいただけますか?」
受付の男女達が、お互いできることを交互にこなしながら仕事を捌いていく。
「あーもー、ほんっとう多いわね!ここのギルドの依頼数は!エルドー!」
「ちょ、ちょっと待って下さいって!まだ終わってーーー」
「ラウリー、こっちに渡してくれるー?私なら今大丈夫よー」
「ああっごめんラーラ!助かる!」
ーーー2時間後ーーー
「ありがとうございましたー!」
太陽の陽が落ち始める頃、ようやくギルド内は落ち着き始めた。
まだ人はいるものの、2時間前と比べると数は断然少なくなっている。
頃合いと判断した4人の男女は、受付のテーブルに「休憩中」の立札をおき束の間の休憩を挟んだ。
「だー・・・つ、疲れたあ!」
「お疲れラウリー。今日も大変だったな」
屈強な体をした男性が椅子に手足をだらーんと垂らした女性に、飲み物を渡しながら話しかける。
女性は、ははっと苦笑しながら大きく頷いた。
「んぐっんぐっーーー!だー!・・・本当勘弁して欲しいわよね。ただでさえ本部から依頼の受付量を増やすようにって言われてるから、もう大変すぎるわよ!」
女性はぐびっと渡されたジュースを一気飲みし、ぷはーっと息をつきながら愚痴をこぼした。
「最近魔物の数が多くなってきていますからね。本部もそれを考えて、受付の量を増やしているとは思うんですけど・・・でもこの数は異常すぎません?」
小柄な体をした少年は女性にそう話しかける。
女性は少年の言葉に頷くように言葉を続けた。
「そうね。流石にっ・・・んーっ!ふう。もうちょっと受付量減らしてもいいかもだけどね。冒険者だって無限にいるわけじゃないんだし」
伸びをしながら答える女性に、まだあどけなさが残る顔をした女性がふふっと笑う。
「もー。ラウリーったらだらしないわよ?まだ人がいるのに」
「ぶーぶー。別にいいじゃない。ちょっとでも体を動かさないと、本当固まっちゃうし!」
「はは・・・それにしても、あいつ遅いな?」
男性の言葉に対して、女性が小さく「あ」と声を漏らす。
「そういえば・・・まあでも、なんとなーくわかるけどねーーー」
バタンっ!!
と、そうこう話していると男性の話していた「あいつ」が、ギルドの扉をバーン!と思いっきり開いて現れた。
「ぜえ、ぜえ・・・だーやっべえ・・・い、息がぐるじいい・・・」
その「あいつ」を見て、受付にいる4人は目を細くしながら小さくため息をついた。
「ちょうど噂をしていたら来たな」
「ーーーイオ!貴方遅すぎ!今何時だと思ってるの!?」
「ぜえ、ぜえ・・・い、いやはや・・・なんというか・・・ごめんなちゃい」
・・・流石に今回は疲れたわ。
ーーー15分後ーーー
「あらー・・・見事に殆どないのねー・・・」
「当たり前でしょ?こんな夕方まで『色々な事』しているような人に、都合よくすぐに稼げる依頼なんてあるわけないでしょっ」
トントン
俺はあの後、ギルドの受付をやっているサバサバとした少女ーーーラウリーにこっぴどく怒られてしまった。
まあそりゃそうですよね。ま、まさかギルドに来るまでに途中足挫いて動けなくなった老人の介護とか、2人組の男に絡まれていた女性を助けるなんてことしてたら2時間も経っていたなんて・・・
とはいえ、黙って見過ごすわけにいかないし・・・
「あはは・・・相変わらずですね、イオさんは」
「ふふ、でもそこが貴方のいいところだけどね?」
俺のしょんぼりとした態度に小柄な少年ーーーエルドと、あどけなさが残っている物腰柔らかそうな女性ーーーラーラがまあまあと宥めてくれた。
うう、2人の擁護が身に染みるぜ・・・
「ま、明日からは気をつけるこった。で?今日はあまりないが、何を受けるんだ?といっても、魔物関係の依頼しかないけどな」
ガタイのいい男性ーーーガランは腰に手を当てながら残りの依頼書を見せてくる。
「ま、また朝方までかかるやつじゃねえか・・・」
あ、明日また寝過ごす可能性大なんですがそれは!?
「仕方ないさ。魔物関係はどうしても時間がかかるからな」
「うーむ・・・」
(魔物関係か・・・緊急性が高い系統は無さそうだけど、さてどうするか・・・)
どうしようかと悩んでいると、俺の背後のドアが開く音が聞こえた。
バタンっ
「あ、いらっしゃいませ!依頼のお届けですか?」
エルドがギルドに入ってきた人に挨拶と案内をする。足音からして2人組のようだ。
「・・・」
「・・・」
「えーと、どうかされましたか?」
・・・のだが、何やら様子がおかしい。エルドが話しかけても反応しないのだ。それどころか、ドアの前から動こうとしない。
「・・・し・・・め・・・な・・・」
「わ・・・は・・・な・・・」
「?」
それに、2人はコソコソと何か会話しているように見える。少し気になった俺はチラッと顔を後ろに向けた。
(フード付きのマント?冒険者か?)
すると俺の目に飛び込んできたのは、少し黒みがかった灰色のマントを被った2人組だった。
パッと見た感じは冒険者に見えるが、意外と依頼者の方だったということもあるので、見た目では判断しづらい。
「おーい、そこにいると他の人が入って来れなくなるから退いてくれよー」
「あ!ご、ごめんなさい!」
ぐいっ
「あう!?」
ガランが退くよう指摘すると、1人が謝罪しながらもう片方を引っ張ってドアから左に退く。
声からして、2人ともどうやら女性のようだ。
「貴方達、ギルドに来るのは初めてかしら?初めてなら私が分かりやすく説明してあげるわよ?」
ラーラがそばに近寄りながら話しかける。ラーラの説明は初心者でもかなり分かりやすいと評判だ。彼女が相手をするなら、あの2人組もすぐに慣れるだろう。
すると2人組は、お互い目を合わせて頷くとラーラに話しかけた。
「ーーーすみません、どこか内密にお話しができる場所ってありますか?」
「内密に?ええ、詳しい依頼の相談を受けるときにそこの部屋を使っているけど・・・」
「ありがとうございます。後は手の空いている方がいたら有り難いのですが・・・」
ん?手の空いている方?
「手の空いている?うーん、そうね・・・チラッ」
・・・何故俺を見るラーラ。
ニコ(^^)
いやだから満遍の笑みを浮かべながらこっちみんな。
「イオー?貴方の出番見たいよー?」
ラーラがこっちに来なさいと手招きをする。
「デスヨネー」
「よ、お人好し♪多分依頼についてだと思うから、頑張れよ!」
ガランがため息を漏らす俺に親指を立てる。
いや確かに自分、困っている人を見過ごせない性格だけどな?
(絶対これ、めっちゃ時間かかるやつやんけ・・・)
・・・後で追加の報酬頼んどくか。
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「さてと・・・それで?依頼はどんな内容なんだ?個室で話すってことは、結構難しい内容なのか?」
ギルドの中にある個室部屋にきた俺とフードを被った2人組の女性(多分)。
時間も惜しいのでこちらから話を切り出すと、少しの沈黙の後1人が口を開いた。
「・・・その前に」
カチャッ
「!?」
次の瞬間、いきなり俺は銃を目の前に突きつけられていたのだ!
いやどういうことお!?
「ちょ、ちょちょちょ!?」
「て、ティニア!?何をやっているの!?」
片方が慌てて銃を下ろすように指示をするが、銃を突きつけている人物は構わず話を続ける。
「今から話す内容は絶対に口外しないこと。守れないようだったら、この話は無かったことになるわ。いいわね?」
こ、口外しないことだって?い、意味わからん・・・
いやそれ以前に銃口を向けんな!というかトリガーに指かけるなアホっ!!
「わ、分かった分かった!分かったから銃を下せって!というか危ないだろ!いきなりそんな物出して!」
二つ返事で俺は承諾した。いや、この場合承諾させられたという方が正しいか・・・
それにしても、口調的にやはり女性だったか。
「・・・」
スッ・・・
俺の言葉を信用したのか、女性は銃を下ろす。
「ティニア!いきなりこんなことしなくても・・・」
もう1人の女性が、銃を持った女性に反論する。この人にとっては穏便に済ませたかったんだろうなあ。
「仕方ないでしょ?城の外では、何が起きるかわからないんだから」
・・・ん?城?
「城って、ヴァールタリア城の事か?君達、そこのメイドとかなのか?」
俺が2人に尋ねると、片方は即座に頷いた。
「正確には少し違うわ。私はこの方の世話役なの」
「なるほど・・・って、へ?世話役?」
ふむふむと頷いた時、俺は世話役という言葉に疑念を持った。
「ーーールナリア」
「・・・ええ」
パサッ・・・
片方が合図をした時、もう片方も頷くとほぼ同時に被っていたフードを外した。
「ーーーえ?」
すると、俺の目にとんでもないものが流れ込んできた。
それはーーー
「貴方にお願いしたいことーーーそれは他でもないわ」
俺たちのような人間には、滅多にお目にかかることはできない、この国の超重要人物だった。
「この方ーーー王位継承権第1位にして、現ヴァールタリア国王ヴィリアス・ヴィル・ヴァールタリア様のご息女、ルナリア・アウル・ヴァールタリア様と世界中を旅していただきたいの」
第1話 終了
ここまで見てくださりありがとうございます。
次も一生懸命書き直しておりますので、もうしばらくお待ちしていただけると幸いです。