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541.単独行動

遅れました!すみません!



図書館で本を読んでたら気になる情報が出てきた。地理の本なのだがあの死者が生活する街について書かれていたのだ。そういえばあの街で出会った魔族から奴隷制を実施している街があると聞いたなと思い出したのと同時にその街がこの街から近い位置にあるというのが分かった。

正直に言うとこの街からさっさと海に出て悠久大陸に帰りたいのだけど交渉を任せている拓達からは船を出してくれないし買わせてもくれないと聞いている。まあこの街の人からしたら悠久大陸なんて聞いたこともないだろうしどこにあるかも定かじゃない。他大陸があるのは知ってても現実的じゃないから断られるのは仕方ないと思う。

その為拓達には少し面倒だが船を新造してもらうように頼ませている。流石にそっちは金を貰う以上断るとはいかなかったようで交渉は難航はしたが引き受けてくれたようだ。ただ魔法等があるアルーシアといえど船を新造するのは時間が掛かる。なので船が出来上がるのはまだまだ掛かる。他の街に行くくらいの時間なら取れるだろう。

「ん、行こうかな」

ただの奴隷制の街なら特に気にも留めないがその奴隷は弱い状態に固定された魔族という話だった。仮にも魔族の国の王女?に該当するらしい私が見逃すのはどうかなとは思う。まあ王女とか言われてもそんな意識全く無いけど。

「奴隷の街、ファザルメイ」

そこが私が行こうとしている街だ。あの人の話だと素因を奪う魔導具、もしくはアーティファクトがあると思われるという話だった。私の素因を奪うのは難しいと思うがリロイ達は行くのはやめた方がいいだろう。あの子達の素因は万が一にでも奪われたら危険過ぎる。それにまだ素因の数もそう多くないし一つ奪われるだけでも致命傷になりかねない。

「拓達は……ん〜、置いていくか」

拓は別に連れて行っても大丈夫だけどルーレちゃんが連れて行けない。基幹素因しか無いし。まあその基幹素因が化け物なんだけど。私もそういう意味では制御の素因は正直弱いのだけど奪われそうになっても制御を取り返せるから実際に奪う事は不可能だ。それにそもそもその事態になったら奪おうとしている存在を先に殺すと思う。

そして奪うというのがどういう効果によって行われているか分からないからシェスも連れて行きたくない。忘れそうになるけどあの子の身体の中には超越者の理の欠片が入っている。奪われたくないし仮に奪われたとしたらシェスの身体に異常が発生する可能性は高い。

「まあそれなら最初からそんな街に行くなって言われそうではあるけど」

あくまで私の我儘で行く以上他の子達を危険な目に合わせるのはどうかとは思う。その点私だけなら最悪娘達大放出とかで幾らでもやり返せる。奪うっていうのが私の娘達まで奪えるのなら話は変わるけど全てを一回で奪うとかじゃない限り大丈夫だ。一応その街に入る際には結界と娘達が使える防御系の技は使ってもらうつもりだけど。

アルブレからその街に着くまで私が全力で走ったら三時間、徒歩で行っても二日程度の距離にその街があるらしい。これなら日帰りで行くことも可能だろう。やらないけど。全力で三時間ぶっ通しで走るとか普通にやりたくない。多分その程度なら疲れはしないだろうけども心情的にやりたくない。

行くと決めたならとりあえず拓達に知らせておかないと。ただ今何処にいるか分からないし探すのも面倒だ。サーチを使えばいけるけどそこまでする必要も特に感じない。なのでハティとスコルを呼び出して二人に拓達に伝えるように命じる。ハティとスコルが競い合うように図書館を出て行ってセーラが「あんな子入って来てたっけ?」と首を傾げた。普通にここが図書館な事を忘れてたよ。

その後本を元の位置に戻してから図書館を出る。とりあえずサクッと行ってサクッと……状況によっては壊してくるか。私は街の外に向かって歩き始めた。



姉さんが何処かに行ったらしい。見た事ない女の子達が僕の服を掴んできたと思ったら矢継ぎ早に話される。銀髪に金瞳の小学生位の双子だろうか。話している間も片方は忙しなくくるくるちょこちょこ移動しては戻ってくるし逆にもう片方は動きたくないとばかりに僕の腕に抱き着いたまま動かない。

そんな双子の話はころころ変わるせいでいまいち分かりにくかったがどうやらこの二人は姉さんが以前使っていた創命魔法で創り出された子達らしいということ。そして姉さんが一応隣街になるらしい街に向かったということ。更に何故か僕達には来るなと厳命された事。

「ねえ、何で行っちゃダメなのかな。その辺り分からないかな?」

「ん〜?私達にも分かんないんだぞ?ただ危ないからだって聞いてる」

「んぅ、主様は弟様達の身の安全を願ってる。主様だけなら大丈夫。でも弟様達は危ない」

姉さんだけなら大丈夫で僕達は駄目?確かに僕達は姉さんに比べたら弱いだろうけどそこまで危ない場所に向かったのだろうか。向かいたいのだけど女の子達は手を離してくれない。しかも気の所為じゃなかったらこの子達滅茶苦茶強い気がする。だって手を離してくれないとはいえ僕は一応勇者として呼ばれた程度には強い。なのにこの子達の手を振り払える気がまるでしない。

「私とかでも駄目なの?」

ルーレが女の子達に聞くけど答えは変わらない。むしろ僕よりも強い否定が返ってきた。

「駄目なのだ。絶対駄目なのだ」

「幼馴染様は絶対駄目。赤ちゃん達も駄目」

赤ちゃん呼びされたリーリアとリロイが顔を顰めるが人族の年齢に換算したらギリ幼児と言えなくもない年齢だから反応しにくい。

ちなみにシェスは全然声をあげない。どうやら姉さんに着いてくるなと言われたのが余程ショックだったのか数日前からずっと落ち込んでいるのだ。

「赤ちゃんじゃないもん」

「確かに産まれたてではあるけれども馬鹿にされる謂れは無いね」

あ、まずい。リーリアとリロイが凄い怒ってる。ちなみに近くには姉さんが連れ帰ってきたジェネとハイディが居たのだけどそっとその場から離れた。いやまあ近くに居てもこの二人は特になにか出来る訳じゃないから良いのだけどせめて止める素振りくらい見せて欲しかった。

「お?やるのか?私達相手に?」

「受けてたーつ」

双子も乗り気にならないで欲しい。

「ちょっと待って。流石にこんな事で喧嘩しないでよ。あと場所的にもやめて。ここ港。今船作ってる場所」

別に喧嘩そのものは止めなくても良いのだけどこの場所だけはやめて欲しい。そろそろ船の完成が見えてきているのにこんなくだらない事で一からとか溜まったものじゃない。

「街の外に出なよ、殺してやる」とリロイ。

「死なせる」とリーリア。

「あはは、面白いな。行くぞー」と双子の片割れ。

「弱いものいじめいくない」ともう片割れ。

流石に止められないだろう。というか止めたらこっちに被害が来そうだ。せめて監督ぐらいはするようにしよう。ルーレもそう考えたのか一緒に向かう。尚シェスとジェネとハイディはその場に留まるらしい。

そうして六人で街の外に出る。街の近くだから魔物はそう居ないが一応警戒だけはしておく。そして四人が向かい合う。

「名前ぐらい聞いておくよ。墓石に刻んであげないといけないし」

リロイは凄い好戦的だなぁとか思ってたら双子からとんでもない名前が飛び出してきた。

「あはは、私達は主様から生み出されてるから死んだりはしないんだけどなー。まあいいか。私は月を追う魔狼ハティだ!」

「陽を追う魔狼スコル」

待て。ちょっと待って。ハティとスコル。神話の生物である。そりゃ強い筈だ。止めようと声を掛け……る前に終わっていた。

「あはは、弱いなぁ。そんなんじゃ主様の庇護から抜け出せないぞー?」

「やっぱり赤ちゃん」

ほんの一瞬目を逸らした程度なのに既に決着が着いていた。ハティと名乗った子はリロイの背中を踏み付けていてスコルと名乗った子はリーリアの首を背後から締めていた。二人は決して弱くないのにハティとスコルはそれを圧倒したのだ。多分というかほぼ間違いなく僕達よりも強い。

「こーらー!!」

その瞬間ハティとスコルが吹っ飛ばされた。

「ま、マナ!?」

「私達は悪くない」

驚いているハティと即座に責任転嫁をするスコルに対してマナと呼ばれた女の人は目に追うことすら許さないとばかりにとんでもない速度でハティとスコルの襟首を掴んで二人の頭をぶつけあった。

「ぬぐぁ!?」

「いたい……」

「申し訳ありませぇん!!」

そしてマナは思いっきり土下座した。尚土下座の勢いで地面に叩き付けられたハティとスコルは冗談みたいな姿で地面に埋まっていた。死んではいないみたいで足が動いているけど頭を押さえられているからか抜け出せないみたいだ。

「……とりあえず状況整理してもいい?」

じゃないと頭がおかしくなりそうだ。

スイ「……何か心配だからマナも送っとこ」

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