540.後味の悪い結末
辻褄合わせの三話の三話目です。
「セーラ、この父を助けに来たのか!!助かる。さあ早くその金を渡しなさい。その金があればやり直せるんだ!」
「な、何言ってるの!?このお金は私のじゃないしましてやお父さんのものでもないのよ!?」
「違う!そうだろう?良い子だから早く渡すんだ!」
セーラがガルフレアに無理矢理押し付けてから身体で父親を押し留める。その父親はお金の魅力に取り憑かれてるのかはたまた既に正気でも失ってるのか目が血走っていて喋る内容も支離滅裂だ。ちなみにガルフレアは即座に金貸しに金を押し付けてセーラの前に立ち塞がっていた。いや押し付けるなら私に返して?尚金貸しは部下に渡して部下はめっちゃオロオロしてた。
商売さんとその彼氏さんは展開が急過ぎる上に明らかに父親が気持ち悪い言動し始めたからかドン引き状態で離れたがっている。今離れたら父親がどんな行動に出るか読めないから動けないみたいだけど。
「きゃっ!?」
周りを見てたらセーラが小さく悲鳴を上げた。その腕からは血が滲んでる。どうやらガルフレアとの取っ組み合いをしている状態なのにその状態でナイフを投げたようだ。刺さりはしなかったようだがそれなりに深い怪我っぽい。
「てめぇ!」
ガルフレアが押さえ付けながら父親の顔を殴って意識を失わせる。動かなくなったのを確認するとセーラの元へと走っていく。
「大丈夫か!?医者!回復魔法が使えるやつは居ないか!?」
そういえば今更だけど回復魔法って実は適性ないと殆ど意味の無い魔法になるらしい。だから医者とか回復魔法専門の魔療士とかいう職業があるらしいよ。拓に船で教えてもらった。
セーラは腕を押さえながらどんどん顔色が悪くなっていく。うん、毒付きかこれ。落ちたナイフを拾うと妙なテカリが見える。その部分を撫でると少し指先が濡れた。それを口に含んでから吐き出す。
「ん、バラポテの毒かな?」
バラポテ、見た目は完全に椎茸の毒キノコだ。地球から転移してきた人とかが間違えて食べて死んじゃいそうな見た目だね。いやキノコは毒が多いって知ってるだろうしそうでもないか?
皮膚接触で摂取してしまうタイプで神経毒と血液毒が混ざったようなもの。猛毒だね。どうやってそんなものを仕入れたのかは知らないけど殺意が無かったとは言い逃れ出来ないレベルのもの。
つまりそんなものがガッツリ体内に直接入ったセーラは割と危ない。まあ治すけど。
「│神癒」
久しぶりにこの魔法使ったなあなんて考えながらセーラを治療する。十秒も掛かったりしない。多分二秒くらい。それでセーラの毒を消し去り傷も治した。便利だよねこの魔法。毒だろうが病だろうが傷だろうが治せるし。その分魔力消費が大きいらしいのだけど魔族である私からしたら即座に戻る程度の魔力量だ。つくづく思う。魔族って本当魔法に関しては化け物みたいな適性持ちだなって。
セーラはさっきまでの苦しみが嘘のように消えたからかキョトンとしている。ちなみにセーラ結構忙しく動いていたりしたのか身体の至る所が不調を訴えていたからそれも治しておいた。多分今は生まれてきてから一番健康的な状態だと思う。
私はちょっとだけ足踏みしてからトンと跳んで父親の足を踏み潰した。私の目の前で不快な事をしたんだもん。これくらい当然だよね。父親の左足は私が踏んだ場所が染みとなっている。いや足裏に肉の感触があるから団子みたいになったのかな?
意識を失っていた父親も流石に激痛で悲鳴を上げて目を覚ます。なのでその顔を蹴り上げて歯を全部折った。そして髪を掴んで地面の石に叩き付けた。大丈夫、死んだりはしない。アルーシアの人族は知らず知らずのうちに肉体を魔力で強化しているし死にそうになったら私が回復させているから。
顔が石の形で凹んだ所で放り投げる。スッキリした。あれだね。やっぱり定期的に人の顔とか殴ってた方が私のストレス発散にもなるし良いかもしれない。ヴェルデニアを殺して魔国を取り返したら秘密部屋でも作って私の趣味部屋にしようかな。あ、ちゃんと相手は悪人だけに限定するから大丈夫だよ。
「ん?なんで皆離れてるの?」
私の顔見て恐怖の表情を浮かべているけど別におかしい事なんてしてないのに。いや考えてみたら私がこういう事を目の前でしたのを見た人って居ないか?大体敵対した人は全員殺すか何かしてるし目撃者も居ないしね。別に大して隠してないけどそうなってた。
「んー、でも離れられたままになるのも面倒」
流石にさっきまでと同じ態度でお願いって言っても受け入れられはしないだろう。あれ、そうなったらさっきの工面の話も立ち消える可能性があるか?
「仕方ない」
ちょっと魔力を練って一気に周りを広める。結界みたいな見た目だけど別に閉じ込めたりするような効果は無い。ただ私の魔力をこの場に蔓延させるだけだ。
「│記憶改定」
大体十分前でいけるかな?はい、どーん。何かが切り替わるような音がして世界が一瞬歪んだ。ちゃんと父親も治したよ。事実を変える以上、足とか顔が凄いことになってたら驚かれるし。
ちなみにこの魔法だけどちょっと前から使えるようになったんだよね。効果はも発動も簡単で私の魔力で空間を満たした後、私の魔力以下の生物に対して最大三十分の記憶を消せる魔法。消えた分は状況から勝手に補足される。多分理とかに触れまくってたから素因が変な覚醒したんだと思う。アルーシアに戻る前には使えなかったから寝ている間に変質、いや特性の追加の方が正しいかな?それで覚えた。
効果的には私の方が魔力が多ければどんな存在でも行けるのかって思うんだけど多分無理なんだよね。拓やルーレちゃんにも効かないと思う。雑魚専用魔法って感じだ。つまりこの場の人は抵抗出来ない。
恐らく父親が何かをしようとして私に制圧された程度の認識になると思う。実際怪我をした記憶とかはある訳だし違和感無く受け入れられるだろう。
「とりあえず制圧したし犯罪者として捕まえるってことで……金貸し、衛兵とか呼んで」
「え、あっ、はい。おい、呼んでこい」
部下哀れ。走って衛兵を呼びに行った。
まあこの後の顛末は少し胸糞の悪い内容で終わった。
父親は娘を殺そうとした殺人未遂罪で衛兵に捕まりその後少ししてから獄中で死亡。服の一部に縫い付けていたらしい針を飲み込んで死んだらしい。勿論バラポテの毒付き。父親が何を思って死んだのかは知らない。商売さんと彼氏君も衛兵に捕まった。どうやらそこそこ違法の店だったらしい。まあ金額が違法だっただけでそんなに重い罰にはならなかったようだが。
金貸しからは人手と場所を工面して貰ったので今はその場所で魔物の解体をして貰っている。見張りにベヒモスを置いたから大丈夫だ。
そして色々と災難に見舞われたセーラ達だが元々父親とは離れた生活をしていたからかそれほど生活に影響は無いらしい。この前セーラとガルフレアが結婚したという話を聞いた。何年かしたらシェフィとも結婚するんだとガルフレアから幸せ絶好調な顔で言われた。なんか腹が立ったので脛を蹴ったが笑って流された。
それで今私が居るのは倉庫の中だ。倉庫の中の木箱にはみっしりと詰まったバラポテ。うん、父親に毒を売り付けたらしい商会の倉庫だね。理由は知らないけど図書館が欲しかったんじゃないかな。権力的にはそれなりのものになるみたいだし。
まあ私がそんな犯罪を見逃す訳ないでしょ?父親のは半端に戻した事でちょっと欲求不満だったしさ。ここらでストレス発散しないとね?
その日二つの商会が物理的に潰れることとなったのであった。
スイ「スッキリ♪」




