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539.人生で一回くらい言ってみたい事

辻褄合わせの三話の二話目です。



図書館から少し離れた裏路地……に近い表通り。うん、凄い数の人の目があるね。せめて裏路地でやりなよと思う。そのせいで完全に見世物状態だよ。

セーラは遠目に見えた時点で表情が完全に無の状態だ。ガルフレアは凄い軽蔑の表情。金貸しはみっともないものを見るかのような表情だ。まあ誰から見ても今のあの人は最低の光景だよねぇ。

「私達は愛し合っていたんじゃないのか!?あんなに君が欲しがっていた物も渡したし何度も愛を囁いたじゃないか!!なのに何でそんな男と!!」

「うるせぇな!!てめぇが勝手に人の女に手を出したんだろうが!!貢ぐのは勝手だが人の女に本気になってんじゃねぇよ!!」

「確かに私は商売女だけどさ、あんた流石に気持ち悪いよ。やめてくんない?言っちゃ悪いけどさ、商売女の言葉を本気にするとか普通にやばいよあんた?」

しかも美人局ですら無かった。普通に父親がクソなだけだった。どうしよう。本当に酷い。よく見たら女の人の腕には赤く腫れた痕があるし父親の手には小振りだけど殺傷力はありそうなナイフが握られている。幸い弱かったみたいで特にナイフには血などは付いていない。うん、やばいね。

まあ状況を整理すると父親?は商売女、多分この場合夜のお店な人だろう。身体を許したような事は言ってないし割と健全寄りな夜のお店だ。そこに足繁く通っていた父親。この時点でどうなのかとは私は思うけどセーラは母親の事は何も言わなかったし離婚したか死別したかしてるのだろう。だからまあ別に良い。

ただ問題はセーラ達の実家?とでも呼ぶべき家はお金が無くて権力がある家だ。つまりそんなに自由に使えるお金なんて無い。ましてや夜のお店は基本的にお高いと聞く。回数だってそんなに行けないはずだ。けど行った。いや行けてしまった。それは恐らく金貸し達から借りたお金でだ。

しかも金貸しに聞いた限りではいつの間にか連帯保証人、名前は違うけどそれっぽい制度の相手にセーラが選ばれていた。金貸しは正規の手順でセーラに返金を求めていたわけだね。尚、当たり前だけどセーラはそれを許可してないし認識もしてなかった。

そして金貸しから借りたお金も底を尽き始めたかはたまた完全に使い切ったかそれは知らないけれど金を使っても靡かない女の人に父親は痺れを切らして詰め寄ることとなった。勿論あくまで商売で接している女の人が父親に靡くはずが無い。それに見た限りだと女の人の年齢は二十代前半、それに対し父親はどう見ても五十代。地球ならそれくらいの年の差婚とかもギリギリ無くはなかったけどこのアルーシアでは有り得ない。年の差婚が許されているのは精々年齢プラスマイナス十歳だ。その点で言えばガルフレアはそこそこ白い目で見られる位だね。

詰め寄っていた父親を見て女の人の彼氏か旦那さんか分からないけどその男の人に殴られてその場面を私が見て今の状況ということだ。うーん、地獄。

そりゃセーラも無の表情になるよ。しかも更に追い打ちを掛けるように酷めの情報がある。多分セーラもそれに気付いている。ガルフレアも思い至る事があるのか今にも父親を殺しに行きそうなほど睨んでる。まあその父親は周りが見えていないのか延々と女の人に詰め寄ろうとしては男の人に足蹴にされたりしてるけど。シェフィには絶対に見せない方がいいねこれ。

ちなみにすごーく今更なんだけどセーラ達の髪色とかを見る。セーラもシェフィも綺麗な金色だ。目は琥珀色で全体的に明るい印象を抱かせる。髪は緩くウェーブがかっていて肩の辺りで切り揃えている。うん。商売女の人を見る。髪型は少し強めではあるがウェーブがかっていて肩辺りまで伸びている。色は少し鈍い感じの金、瞳は暗めの琥珀色。セーラ達のお母さんとかお姉ちゃんって言われても信じられる程度には似ている。セーラは少し強気な感じの目で商売さんも強気な感じの目。うーん、更なる地獄。

そう、多分、認めたくないけどこの父親。セーラ達に性的な興奮を抱いていた可能性が割と高い。一応の倫理観か、はたまた別居したから手を出せなかったのか真相は分からないけどね。

ともかくその感情の赴く先に選ばれたのが若干似ていた商売さんという訳だ。酷いね。控えめに言って最悪だと思う。しかもセーラとガルフレアの態度的にそれが真なんだろうなと分かるから余計に。

「金貸し」

「え、あぁ、はい。うちですね。何でしょう?」

「この場合ってセーラに連帯責任あるの?」

「……難しいですねぇ。セーラさんが本当に知らなかったのかはこっちからは分かりようないんで。でもまあはい。あの光景見たら大丈夫だと思います」

「どれくらい借りてたのあれ」

「えぇー、まあちょこちょこ借りてて最後の方は大きかったんで……総額で白金貨三十枚と金貨八枚ってところです。細かいのもあるんでもうちょい上がりますが大体そんなもんです」

日本円で三百八十万か。慎ましく生活していたであろうセーラ達にはそりゃ払えない訳だ。そして想像通り図書館を丸ごと回収出来る程度の金額でもない。

とはいえ大金ではある。その大金を使い尽くしたのだとしたら……。どう回収するんだろ。借りた金とはいえ商売さんは仕事をしてそれで得た金だ。無理矢理回収する訳にもいかない筈。

「借金はどういう感じになりそうなの?あれから回収出来るとは思えないんだけど」

父親の姿は正直に言ってちゃんと働けるとは到底思えなかった。見栄えを気にしているのか服などはそれなりに豪華ではあるがそれだけだ。一般人がちょっとお高めのお店に行く時に着る服ぐらい。装飾品も特に身に着けてはいない。それでいて明らかに運動不足であることが分かる程度にはお太りさんでもある。

「……どうにか回収します」

金貸しも厳しそうだとは思っているのだろう。少し渋い顔をしている。セーラから回収出来ないとしたら完全に金貸しの損だもんねぇ。利息分を回収するのを諦めたとしても全額返すのは多分無理だ。

まあぶっちゃけ私が渡してあげても良いのだけどなんかモヤモヤするからやだ。だってあの父親の代わりに払うって、ねえ?いや……ううん、ちょっと考えを変えてみたらいいか?

「金貸し、広い土地と人手を工面出来たりする?」

「はい?まあ出来なくもないですが」

「ならさ、工面してくれたら私が払ってあげようか?」

「そいつは有難いですが……払えるんで?」

「ん、じゃあ前金で白金貨二枚渡してあげる。それならどう?」

そう言いながら指輪からポイッとお金を金貸しに渡す。金貸しは慌てた様子で受け取る。それを見たセーラが更にあわあわしながら金貸しから奪い取って私に返す。この間五秒である。

「な、何してるんですか!?何で貴女が払うんです!貴女は本当に関係無いのに!!」

「ん、まあそうなんだけどさ」

どう言えば良いだろう。港の人とは違う場所で未だ大量に残ってる他の魔物の解体してもらいたいけど人集めるの面倒だし何より私にとってお金は今余りまくってて本当に使う事がないから放り投げるついでに還元したかっただけなんだって言えばいいだろうか。

少し考えた末にセーラをちょいちょいと手招きする。訝しむセーラの手の中に指輪から適当に白金貨を百枚ぐらいドサッと落とす。セーラの手から何枚かの白金貨が溢れ落ちる。

セーラが若干顔を青ざめさせて地面に落ちた白金貨を見てガルフレアが慌てて拾ってた。

「お金なら余ってるから」

その言葉を聞いてセーラとガルフレアと金貸しが驚いた表情をした。何か伝え方を間違えた気がする。

ついでに多分この場で言う必要は無かったと思った。何せ後ろから「セーラ!!」と呼ぶ耳障りな感じの男の声が響いたから。

スイ「成金むーぶっ」

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