勉強!?
「ほら、食えよ潤。お前の分、ソーセージエッグマフィン、コーヒーもあるよ」
マサが差し出してきた朝マックの袋。本来なら歓喜して飛びつくはずの光景だが、今の俺にはそれどころじゃなかった。
「……おう、サンキュ」
俺は「多い日用」の羽付きが椅子と擦れて音を立てないよう、スローモーションのような動きで椅子に腰を下ろす。
(あ、クソ……。座るとさらに圧迫感が……! 挟まってやがる……ッ! ぜんぜん慣れない)
「潤、ハッシュポテトをどうぞ。サクサクして美味しいですわよ?」
「……ああ」
桜子から渡されたポテトの袋を破る。
――カサッ。
(……ッ!!)
俺の心臓が跳ね上がる。今の音はどっちだ? 袋か? それとも俺の股間か!?
「……? 潤、お前さっきから動きがギクシャクしてねーか? あと、なんか……動き変だぞ? でもなんか女子って感じだな」
「気のせいだろ! マサ、変態か! マジでセクハラだぞ!」
「なんで心配してセクハラ扱いなんだよ! お前、まさか……トイレ我慢してるのか?」
「我慢してねーわ!! 死ね!」
俺は必死にマフィンを口に押し込む。
だが、追い打ちをかけるように下腹部の「魔力デトックス(激痛)」が波のように押し寄せてきた。
(いててて……。……待て、なんで俺、今こんなにイライラしてんだ?)
マサがマフィンを食べる咀嚼音すら、今の俺には「なんかムカつく音」に聞こえる。なぜこんなことにいちいちイライラしてるんだ!?俺大丈夫か!?
パァーッ!
『あはは! 潤子ちゃん、イライラしてきたね? それ、魔力が脳まで逆流してる証拠だよ! 妾にもマッ◯♡』
「たくさん買ってきたのでぜひぜひ」と、桜子が平然とエナエマにポテトを差し出す。
必死に耐える俺を余所に、エナエマは「旨し!」を連呼しつつコーヒーを啜っている。
「ちょっと潤、教科書見たか!?やばいよな!?あとさ部活とか俺達無理じゃん!?って。……おい潤、大丈夫か!?」
マサが潤や桜子に聞く
ただなんとなく気のせいか?近い!?
「……あ、ああ……。……そうだね!その辺どうなってるのかな!?顕現したばかりでバタバタしててっ」
「月曜日にでも堀井先生に聞いて見ようか」
一時間が経過した頃。俺の腰は砕けそうになり、お腹は鉛を入れられたように重く、少し教科書開いたりしてみたが集中力は完全に切れていた。
女子って……こんなコンディションで学校行ったり試験受けたりしてんのか?
すごいなぁ。マジで尊敬するわ……。
「潤、そろそろ集中力が限界のようですわね。お顔がゾンビから幽霊になってますわ」
「……悪い、桜子……。俺, ちょっと一回、またトイレ行ってくるわ……」
俺は内股で椅子から立ち上がる。
背後の椅子に「跡」がついていないか、死ぬ気で確認しながら。
「……おい潤、お前、本当にもう休んだほうがよくねーか? 」
「……ありがとう!」
トイレに駆け込み、個室で大きくため息をつく。
スマホを取り出しインカメに映った自分(潤子)は、銀髪を振り乱し、蒼白な顔で、それでもどこか「艶」っぽさが増しているという、200%増幅の暴力的な可愛さを放っていた。
(クソ……。腹は痛いし……。もう勉強どころじゃねえ……)
リビングに戻ると、マサと桜子がスマホで何かを調べていた。
「お, 潤、おかえり。昼飯どうする?」とマサ
「そうね、栄養をつけなくてはなりませんわ!」
桜子が心配しつつ言ってくる
俺は、自分の腹痛と絶望をねじ伏せるように、今一番「脂っこくてパンチのあるもの」を脳が要求していることに気づいた。
俺は、リビングのドアを開け放ち、二人に向かって言い放った。
「……ねえ」
「……?」
「昼、ケンタッ◯ーにしない?」
そこへ勢いよく姉貴が入ってきた。
「ケンタも良いけど午後はみんなでサイ◯行って銀座回ろうよ! あ、でも潤、あれかぁ、体調があれだしUberでやっぱケンタ!?」
「だ、大丈夫いくよ」
(……サイゼ? 銀座? 正気かよ……。こんな体調で街を歩けってのかよ……! 女子すげーな)
俺の絶望を余所に、土曜日はまだ始まったばかりだった。
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