エロノリすぎた♪
「…………はぁ、……はぁ」
更衣室を支配していた狂乱の熱が、ようやく引いていく。
ピーちゃんの「10秒間のアイドル」という情報の暴力は、あまりの衝撃に全員の脳をフリーズさせていた。
「……っ、……やりすぎたわね」
最初に我に返ったのは、全裸で潤にしがみついていた堀井先生だった。
頬を赤らめ、乱れた髪をかき上げながら、潤の首元で明滅していたチョーカーを震える指で外す。酔いが急激に冷めたのか、その瞳には研究者としての冷静さと、それ以上の「バツの悪さ」が同居していた。
「……先生、あの…」
「…!?…何も言わないで。……ちょっと、エロノリが過ぎたわ。そう……エロノリしすぎたのよ! とりあえず記録は取ったから、今日はもう良くってよ!?」
堀井先生は足早に脱ぎ捨てた白衣を羽織り、鏡台の前へ。
「……先に一旦戻るわ。……次は、『理性的な』デバッグを考え直すわね。はぁぁ……(今日のお酒合わなかったかしら)」
深いため息をつき、鏡に向かってボソボソと何らかの呪文のようなものを呟くと、そのまま鏡の中の虚空へ。消えていく彼女の背中は、どこか逃げるように見えた。
潤は、オイルと汗でぐったりと横たわる桃姫と桜子を見下ろした。
半裸のまま、快感の余韻で規則正しい寝息を立てている二人。
「ピーちゃん……二人を、ウォーターベッドみたいに優しく包んであげて。少しでも回復できるように」
『ぷきゅ……。潤は優しいんね。アチキのバフで、極上のリラックスを提供するんね♪』
ピーちゃんが巨大なピンク色のジェル状で広がり、二人を優しく包み込む。
その光景を見届けて、潤は鏡台の前で座り込み、重い頭を預けた。
「ジュンチーン! パフェ食べ行こっ! ♪」
どこからともなく現れ、空中を舞うエナエマが明るく誘ってくるが、潤には返事をする気力も残っていない。
「……ごめん、エナエマ。……少し、休ませて……」
鏡の中の自分——漆黒 of 漆黒のモノキニに包まれ、赤く上気した「侍女」の姿——をぼんやりと見つめながら、潤はそのまま鏡台の上で深い眠りに落ちた。
---
「……潤。潤、起きて?」
バチンッ!! と激しく頬を叩く衝撃に、潤は跳ねるように目を開けた。
「痛……っ!?」
(めっちゃ痛いしッ!)
ジンジンと痺れる頬を撫でながら起き上がると、更衣室の窓からは燃えるような夕陽が差し込み、室内を鮮やかなオレンジ色に染めていた。
「……っ。ひ、桃姫……?」
目の前には、すっかりサッパリとして、艶やかな肌を取り戻した桃姫が着物すがたで立っていた。その手はまだビンタの余韻で軽く振り上げられている。
その横には、潤のリアクションを見てクスクスと笑っている桜子の姿も。
桜子はあの際どいモノキニメイド服を、今度は乱れなく完璧に着こなしている。
「よく鏡台でうつ伏せで寝れるわね!? 今日散々だったけど、ピーちゃんのウォーターベッド!? 寝心地だけは本当に気持ちよかったわ……感謝するわ。本当はもっと殴りたいけど(記憶消えないかしら)」
「感謝と暴力がセットなのおかしくないですか……?」
潤が涙目で抗議するが、桜子がポンと肩を叩いた。
(ガンガレ、潤……)
桃姫はフンと鼻を鳴らすと、窓の外の夕闇を見つめた。
「まぁいいわ! 潤、桜子も初日だし、今日はこれで上がって良いわよ。……お疲れ様。さあ、夕食にしましょう?」
ようやく訪れた穏やかな時間。潤はふと思い出したように口を開いた。
「マサとピーチ太郎は!?」
「そういえば……見ないわね。どこで油を売っているのかしら」
夕暮れの静霧の中、潤のモノキニの食い込みは、まだその不自由な現実をしっかりと刻んでいた。
苦笑する潤。
「とりあえず、シャワーいい……!?」
ベタつくオイルと羞恥を洗い流すべく、潤は足早にシャワー室へと向かった。
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