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天狗✖️ギャル天女  作者: 抹茶ラテ


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47/77

土曜日の朝♪


(……ん、なんだ? 身体が、異様に軽い……って、おい、やはりギャルのままかよ!)


時計の針は朝の7時。

昨夜、深夜2時近くまでオイル塗れでマッサージされ、魔道具の「検体」として弄ばれていたはずなのに、不思議と頭はスッキリしている。天狗修行によるメンタルの削れも筋肉の強張りも、一切合切消え去っていた。


(あの全身オイル……「守備力」とかいうバフのほかに、強制的な「リカバリー・ハック」の成分でも入ってたのか? すごいな。後で堀井先生に詳しく聞いてみよう……)


苦笑いしながら、俺はまだ自分の身体から微かに漂う、高級エステのようなオイルの香りを気にしつつリビングへ向かった。


リビングの扉を開けると、そこには昨夜の泥酔が嘘のように、完璧な「マダム」の顔で朝食を用意する母ローラと、涼しい顔でコーヒーを啜りながらタブレットを叩く堀井先生の姿があった。


「あら潤、おはよう。お肌の調子、最高じゃない♪ 血色感バッチリね」

「おはよう、桐山。……ふむ、良さそうだな。あ、朝食の後に確認させて♪」


「先生、わ、わかりました(……何をだ?)」


思わず頷いた瞬間、背後から猛烈な勢いで柔らかい衝撃が襲ってきた。


「おっはよー! じゅん! やっぱこのモフモフ感は朝から救われるわぁ〜♪」

「姉貴! おはようって、朝から胸触りすぎだろ!」


姉貴に揉みくちゃにされていると、客間から着替えを済ませた桜子が顔を出した。


「おはよう、潤……。」

「おはよう!桜子!」


彼女はすでに、トレンドを抑えた「バニラ・ガール」風の軽いメイクを済ませている。昨夜のあの熱っぽい視線はどこへやら、今はいつもの清楚な幼馴染の顔だ。




(女子って、朝からなんでこんなに完璧なんだ……)


――ガチャリ。

その時、玄関の方から鍵を開ける音が響いた。


「……帰ってきたかしら。潤、納豆はもう食卓に出してあるわ。お迎えしてあげて?」


母ローラの言葉に、俺は少し緊張しながら玄関へと向かう。

扉が開くと、そこには少し疲れの見え隠れする父さんと、その横で泰然自若と立つお祖父様の姿があった。


「ただいま、ソーセージ買ってきたぞって……おい! 週末は男に戻るんじゃなかったのか!? いいのか、その姿で!?」

開口一番、父さんが掲げたソーセージの袋が激しく揺れる。


「おかえりなさい。父さんありがとう、昨日いろいろあってさ……。とりあえず、みんな起きてるよ。あと、昨日のラインで伝え忘れたけど、桜子と堀井先生も泊まりに来てるから」


「そ、そうか、では挨拶しないとな」

「では挨拶してから手を洗いに行くか」


お祖父様の重厚な声に背筋を伸ばしつつ、二人をリビングへと案内する。


「おはようございます。お邪魔しています」

堀井先生が、昨日までの「おおおん♪」が嘘のような淑やかな態度で挨拶し、続いて桜子も丁寧に頭を下げた。


「おはようございます。ちゃんと眠れたかい?」

お祖父様の問いに、桜子が「はい」と清楚に答える。


「潤は、先生に迷惑をかけていませんか?」

父さんの問いに、堀井先生は俺の顔(昨夜の実験の残光)をチラリと見て、意味深に微笑んだ。


「大丈夫ですよ。とても……『協力的』ですから」


(……その言い方、絶対何か含みがあるだろ!)


「さあさあ、とりあえずみんなでご飯にしましょう」


母ローラの明るい声に促され、俺は父さんが買ってきたソーセージを焼き、父とお祖父様にお茶を淹れた。

手を洗い終えた二人が席に着き、全員で「いただきます」と手を合わせる。


湯気の上がる食卓。納豆を混ぜる音が響く中、父が真剣な面持ちで口を開いた。


「食べながらでいいから、聞いてくれ」


その一言で、俺は納豆をかき回す手を止めた。


本作お読み頂きましてありがとうございます。


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