ミスター◯ーナツ♪
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美術室を後にした俺たちは、すっかり遅くなり、夕闇に溶け込んだ街を歩いていた。
「……桜子さん。白雪さんって、そんなに有名なのか?」
「確か母親もインフルエンサーね。美容系の。親子で渡韓して最新美容整形の『鼻フル』したのが、一時Xのトレンドにもなったわね」
「そうなんだ……。そっか、未成年だし親公認じゃないと難しいよね。でも、彼女まだ15だよ? もっと大人になってからでもいい気が……」
俺は、不慣れなミニスカートの裾を気にしながら、戸惑いを口にする。
「潤、いろいろあるんじゃない? わたしだって美容整形やアートメイク、興味あるわよ。メイクの時短にもなるし」
「……ほんと、女性ってすごいね。俺には無理そうだ」
俺が申し訳なさそうに眉を下げると、反対側を歩いていた桜子さんが、ふっと優しく微笑んだ。
「ギャルになったばかりだしね……。サキュバスの私から見ても、今のあなたの『盛り』はイケてるわよ。……ただ、少し無防備すぎるけれど」
彼女はそう言いながら、椅子に座る時のために、自分の尻尾をスカートの中で器用に巻き直している。同化タイプの彼女たちにとって、人混みで種族の特徴を隠し通すのは、俺が思う以上に神経を使う作業のはずだ。
目的のショップに到着すると、甘い香りが俺たちの鼻をくすぐった。
ショーケースに並ぶ色とりどりのドーナツを見て、脳内のエナエマが狂喜乱舞する。
『ジュンチン! 見て! あのポン・デ・〇ング、限定多めでおねがい! あとチョコのそれも!♪』
「了解」
俺は苦笑いしながら、トレイを持って列に並んだ。
桜子さんも、真剣な顔でドーナツを選びながら、小声で「……これ、美味しそうですわ」と呟いている。
会計を済ませ、テラス席の隅に陣取ると、ようやく一息つけた。
「……いただきます」
俺は丁寧に手を合わせ、周りに不自然に見えないよう、エナエマにも分ける。そして自分でも、小さくちぎったドーナツを口に運んだ。
激しい変化とバトルの後だ。脳に染み渡るような糖分の暴力に、思わず頬が緩んだ。
「……美味しい。……幸せだなぁ。コーヒーおかわり自由っていうのも、すごくいいな」
その、ギャルのガワから漏れ出した「中身の少年」の純粋な笑顔に、桜子さんはドーナツを口に押し込んだままフリーズし、あわてて視線を逸らした。
「……潤。ココさんに負けず劣らず、推せるわね、その顔」
「え? ……あ、ごめん、変だったかな?」
俺が首を傾げると、隣で桜子さんの肩が微かに震え、隠した尻尾が服の上からでも分かるほどブンブンと振れている。
我関せずといった様子で、夢中でドーナツを頬張るマサの横で、彼女のサキュバスとしての「魅了」の香りが、ほんの少しだけ、甘く、切なく揺れた気がした。
『あはは! ジュンチン、今の笑顔、120点!♪』
エナエマの笑い声が夕空に響き
放課後が、ゆっくりと過ぎていった。
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