表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天狗✖️ギャル天女  作者: 抹茶ラテ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/77

悪意あるナニカ

「二人とも、動かないで。……今すぐ楽にするから」


リビングに響いたのは、さっきまでの泥酔が嘘のような、氷のように冷徹な――シラフに戻った母の声だった。

母ローラは迷いなく寝室へ走り、禍々しい紫の輝きを放つ小瓶を手に戻ってくる。


「ちょ、母さん!? それ何、毒!? 薬!? それとも……」

「黙って見てなさい、潤。……いい? 飲み干して」


母は迷いなく、父と祖父の口にその怪しい液体を流し込んだ。

ジジッ、と肉が焼けるような音と共に、防護服ごと切り裂かれていた深い斬撃が、見る間に塞がっていく。


「ふぅ……。ローラ、助かった。相変わらずお前のポーションはエグい味がするな」

荒い息を整えた祖父が、鋭い眼光で堀井先生を見つめた。


「堀井先生。例の調査、当たりだ。新宿の地下……餓魔ガマ以外の『何か』が確実に潜んでおる」

「貴方達のほどが怪我するなんて……急襲だったのね?」


堀井先生の問いに、父が苦々しく頷く。

「ああ。少し迂闊だった。黒い霧のようないつものじゃない。こちらの急所を熟知し、連携すら取る……高度な知性を持った個体だ。だが、タダでは転ばんさ。一匹、俺たちの特製結界に閉じ込めて確保してある」


リビングに戦慄が走る。

『捕獲』――それは不可能を可能にする、プロの意地だった。


「これから本部のラボへ移送しようと思ったが……。潤、ココ、ローラ。……ライン、何度もしたんだぞ? 全然既読つかないし、自宅で何かあったのかと思い……」


父の言葉に、リビングの空気が凍り付いた。

気まずい。あまりにも、気まずい。

ワイン3本を空け、「クソおじきっしょw」と爆笑していた女性陣が、一斉に目を逸らす。


「……あー、その。戦備の、反省会が盛り上がっちゃって」

「そうそう! 魔力回路の、その、最適化に集中してたというか……」


「とりあえず! ラボへ行ってくる! 行くぞ!」

「おう! ……ローラ、家のことは任せたぞ」


何かを察してラボへ向かおうとする父と祖父。


気まずい中見送る俺の指先は、さっきから怒りで小刻みに震えていた。

家族を、俺の大切な場所を傷つけられたことへの、抑えきれない憤り。


「……わかったわ。気をつけてね」

母ローラが短くハグする



リビングに残された全員の瞳に、静かな、だが激しい決意が宿ったその時だった。


――「その必要はない」


ノイズのような気味の悪い声が響き、空気が刃物のような殺気に塗り替えられた。


「……ッ!? 誰だ!!」


俺が叫び、窓の外を仰ぎ見た瞬間。

ネオン揺れる闇の中に、そいつは重力を嘲笑うように「浮いて」いた。

腐敗した容姿。浮腫んだ顔。ドロドロと震える不潔な体躯。

だが、その瞳には何万倍も煮詰めたような――圧倒的な蔑視と、傲慢さが宿っていた。


「……ふん。下等な人間どもが集まって、安っぽい家族ごっこか。見てるだけで吐き気がしすぎてラボまで大人しく捕まったふりできんかった。……こんな結界如きで、わしが捕まるとでも思ったか? おおん!?」


そいつの言葉一つで、リビングの温度がさらに数度下がった。

だが、その絶望を切り裂いたのは、意外な声だった。


「えええ! そうよ!!」


堀井先生が腰に手を当て、満面の笑みで――最高に輝く「ドヤ顔」で窓の外を指差していた。

「逃げ出してきたつもりでしょうけど、それ、私の特製結界の『拡張モード』に自分から飛び込んだだけだから! 鏡見なさいよ、この美的センスの欠片もない不潔な化け物! ちなみにこれ、出来立ての新作よ」


「ぐぬぬ……っ!?ぐへっ」

直後、空中に浮いていた個体が、まるで見えない重力に叩きつけられたように「ベチャリ」と床に落ちた。


「ふふふ! お願いできて!?」

堀井先生が手際よく、捕獲された「それ」を父の手へ渡す。

「助かった、では!」


祖父と父はそれを受け取り、今度こそラボへと急いだ。

嵐が去った後のような静寂。

俺は、去っていく背中と、涼しい顔で片付けもせず飲み直し始めた大人たちを交互に見た。


「「カンパーイ♪」」


ぇ……飲むの!?



研修での姉や双子も強かったが、やはりこの大人たちは、いろんな意味で次元が違う。


(……すごいな、うちの大人達)


俺は手にしていたパステルカラーのリップを強く握りしめた。

いつか俺も、あっち側へ。

「守られる側」から、日常を「守る側」へ。

自分の中に宿った新しい決意の熱さを、俺は静かに噛み締めていた。

本作お読み頂きましてありがとうございます。


この作品をチラッととでも

『ふふふ』、『!?』と思ってくださった方は

ブックマークとか!?

マックス『★★★★★』まで

評価あるのでポチッとしてもらえるとテンション上がります


へへへ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ