トレーニング直前!
トレーニング当日
土曜日のお昼
「……どうして、こうなった」
施設のリビングに、俺の魂の抜けたような声が漏れる。
午前中の「餓魔活性化に伴う連携戦術」の説明会と準備。そこまでは良かった。
問題は、午後からの実戦トレーニングを前に、俺がエナエマに「気合入れてくれ」と頼んだことだ。
『はい、完了! ジュンチン、超絶キャワワ! これが魔力伝達効率1000%の姿よ!』
空中でエナエマが勝ち誇る。
鏡に映るのは、もはや説明不要な「完璧なギャル」へと変貌した自分だった。
俺は念の為にと用意していた
女の子サイズに合わせたジャージに着替え、ため息つきつつ食堂へ向かった。
食堂で合流した瞬間――。
「「…………ぶっ!! ぎゃはははは! 似合いすぎやろ!!」」
「「!?潤か!?最高やな潤! いや潤子に改名か!? もう一生そのままでおって! 腹痛い、死ぬ!! なんだそのワガママボディは!」」
カリナとマリナが床を叩いて爆笑し、施設の空気が振動する。
「……ほう。改めてまじまじ見ましたが、皮膚の質感と発色のバランス、悪くないですね。良い検体です。後で詳しく採寸させなさい」
「ひっ……! 先生、目が、目が笑ってない……!」
堀井先生が、獲物を定める爬虫類のような温度のない目で俺を凝視している。
「やっぱり、可愛いじゃない。私の若い頃にそっくり。潤子ちゃん、こっち向いて? ピースして?」
「ちょっと、母さんまで! スマホ構えるなよ!」
「潤、いえ潤ちゃん!? その……すごく、似合ってます。おふ……綺麗……♡ 女の人になっても、潤ちゃんは潤です……♡」
「桜子! お前は目を覚ませ! 尻尾振りすぎてるぞ!」
「見るたび思うが、妹もありだな!」と潤に頬ずりする。
キャッキャと盛り上がる女たち。地獄だ。
俺は縋るような思いで、隣で自らの発光する髪を一本一本丁寧に整えているマサを見た。
「……おいマサ、親友だろ。お前からも何か、その、抗議とか……」
「俺は、俺自身を磨くことで手一杯だ。……頑張れよ、潤子!」
ぷい、と顔を背けるマサ。
「お前、後で表出ろ……っ!」
俺は半ばヤケクソで、皿に盛られた特大ハンバーグにフォークを突き立てた。
「ああもう、とりあえず食うしかないな」
ミニスカート(ジャージの下の!)から伸びる生足(エナエマ仕様)をガバッと開き、長い付け爪をカチャカチャ言わせながら、俺はハンバーグを口に放り込む。
「モグモグ……クソッ、美味いのが余計に腹立つ!」
「「潤、食べ方汚いって! 女の子なんだからちゃんとして!」」
「「あかん、やけ食いすればするほど面白いわ! おかわり持ってこか?」」
「「くっ! おねがいします!」」
口の周りにソースをつけたギャル(俺)が、ドスの利いた声で吠える。
周囲の爆笑と、期待と、「検体」を見る湿った視線。
午後のトレーニング大丈夫かな
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