美しいは正義だが
新大久保の喧騒を後にし、桜子とマサは装備を整えるため一度自宅へ戻った。
後ほど俺の家で合流することになり、俺は堀井先生と一緒に帰路につくことになったのだが……。
「……先生、ちょっと歩くスピード上げません?」
「あら、どうして? トイレに行きたいの、桐山?スイーツ食べすぎよ」
「トイレじゃなくて、先生を見てる『周囲の視線』がヤバいんですよ!」
セットアップの私服に身を包んだハイエルフは、住宅街でも異常に浮いていた。
すれ違うおっさん連中の目が、新大久保の時と同じようにドス黒く澱み、今にも肩から『餓魔』が湧き出しそうな負のオーラを放ち始めている。
俺は、さっき貰ったばかりの除霊ミストを周囲にサッと振り撒き、物理的に先生をガードしながら歩く羽目になった。
(これ……先生、もはや『餓魔製造機』じゃん。美しすぎて周りを闇堕ちさせてるぞ……)
「全く……私がいくら美しくても、以前はこれほどすぐに餓魔化する者はいなかったのに。美しいって罪だわ、ふふふ」
「ふふふ、じゃないですよ。先生の美貌に世の中の結界が追いついてないんです」
「冗談はさておき、何かしらの異変が起きているのは確かね。現場も上層部も、今頃は大慌てで動いているでしょうけれど……」
先生が眼鏡の奥で鋭い光を宿す。
「今は、私たちがすべきことをするわ。……つまり、あなたを『完成』させることよ」
「……そのセリフ、本当に怖いからやめてください」
そんなやり取りをしているうちに、俺たちはなんとか桐山家へ辿り着いた。
「ただいまー……」
玄関を開けるなり、エナエマが新大久保で献上されたスイーツを掲げてリビングへ突っ込んでいく。
『スイーツ持ってきたよー! お母さん、お姉さん! 潤を今日はとことんギャルにするよ!』
「あら、おかえり! まあ、堀井先生! お話は伺ってますわ、うちの潤をよろしくお願いしますね!」
「潤、アンタついに受け入れる決心がついたのね……。お姉ちゃん、全力で応援するわよ」
リビングでは、既に先生から連絡を受けていた母さんと姉貴が、これ以上ないほどノリノリで待ち構えていた。テーブルには、さっき買ったコスメを広げるためのスペースが完璧に確保されている。
「……先生。これ、俺に拒否権ないですよね?」
「当然よ。さあ、ギャル化してバフ付与の始まりよ。……とりあえず、水着になりなさい、桐山」
「は!?」
本作お読み頂きましてありがとうございます。
この作品をチラッととでも
『ふふふ』、『!?』と思ってくださった方は
ブックマークとか!?
マックス『★★★★★』まで
評価あるのでポチッとしてもらえるとテンション上がります
へへへ
よろしくお願いします!




