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天狗✖️ギャル天女  作者: 抹茶ラテ


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餓魔!

人混みを掻き分けて声のもとへと急いだが、狭い歩道を逆流してくる人の波が激しく、なかなか前に進めない。


「邪魔よ、どきなさい!」

先生が鋭く一喝すると、モーゼの十戒のように道が開けた。

辿り着いた先では、一人の男がうずくまる女性を怒鳴りつけていた。


男の目の周りは死人のようにドス黒く澱み、その肩には……粘着質な闇の塊、小型の『餓魔』がべっとりと憑依していた。


「ちっ、おっさんの負の感情に当てられて、餓魔が同期してるわね。道理でドス黒いわけだわ。……巡回してる連中は何をやってるのよ!」

先生が忌々しげに声を荒らげる。


「潤、桜子、マサ! 排除するわよ。これ、試作の魔導香水アロマミストよ。ちゃっちゃと自分に振りかけて精神防御メンタルバリアを張りなさい。あとはサクッと片付けておしまい! あと桜子! 今さっき買ったグロスにエンチャントしたから軽く塗って!」


「わかった!」

「任せとけ!」

「先生ありがとう! 秒でやろう、潤!」


俺たちは先生から放り投げられたミストを全身に浴び、男へと肉薄する。

「おい、おっさん! 女の子泣かせて何やってんだよ!」


マサが人混みを割って入り、男の懐に飛び込んだ。

「オラッ!」

一般人の目には、マサがただ男の肩を乱暴に叩いたように見えただろう。だが、霊的な質力を込めたマサの拳は、男の肩に乗っていた餓魔だけを正確に、粉微塵に打ち砕いた。


一瞬で餓魔が消滅し、男の目の周りの黒ずみがサッと引いていく。

「……あれ? 俺、何して……?」

憑き物が落ちたように呆然とする男。そこへ駆けつけた警官たちが、状況を確認しながら男を連行していった。


泣きじゃくっていた女性にお礼を言われていると、人混みの向こうからガタイのいい男が歩み寄ってきた。


「……悪いな、遅れた。堀井先生、それにマサも」

「親父!」


現れたのは、マサの父親だった。この地区の警備や結界の維持を統括している実力者だ。

「先生、結界の不備を責めないでやってくれ。実は最近、原因不明の同時多発が多くてな。結界の処理能力を超え始めてるんだ……」


「同時多発……? 聞いてないけど!?」

先生が眼鏡をくいっと押し上げ、険しい表情を見せる。


「ああ。すまん、まだ確証はないんだ。だから当面は巡回を増やしてはいるんだが、追いつかない。……研修を早めた先生の判断は正解だったもしれん」


不穏な空気が流れる。だが、堀井先生はすぐにいつもの冷徹な美貌に戻り、俺を振り返った。


「……だそうよ、桐山。この程度の餓魔相手に、さっき買ったグロスを使うまでもなかったわね」


「そうだな……。弱い餓魔で良かったし、助けて終わりで済んだよ、本当に」

胸を撫で下ろす俺に、先生が極上の、しかし逃げ場のない笑みを向けた。


「さて、予定外の実戦は終わり。ここからが本番よ。今夜は桐山家で、あなたの肌に『最先端の魔導美容』を刻み込んであげるわ。……行くわよ。あなたの母親には、既に『潤くんを最高に綺麗にします』って連絡済みだから」


「……母さんにまで!? ちょ、待って、母さんはノリが良すぎるんだって!」


俺は、さっきまでの餓魔への恐怖とは別の、もっと個人的な「アイデンティティの危機」を感じながら、スイーツとパンパンに膨んだコスメのショッパーを持って家路につくことになった。


明日の朝、俺が俺のままでいられる保証は、どこにもなかった。

本作お読み頂きましてありがとうございます。


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