女子ってすごいな
「……こんにちは、桐山。家ではいつもギャルなのか!? 楽しそうだな」
堀井先生の眼鏡が、リビングの照明を反射してキラーンと光った。その目は完全に「教え子を見る目」ではなく、何か新種の検体を前にした科学者の、底知れない好奇心だ。
「こんにちは、……って、ち、違うんです先生! これは不可抗力で……っていうか、先生こそなんで俺の家に!?」
「あら潤、失礼ね。堀井先生とは、ママがやってる美肌サロンの経営相談で先日差し入れした時に軽く話振って、今度新作のバフがかかる魔導コスメを共同開発しる方向で1度話することになったのよ」
母さんの衝撃の発言。
姉貴とエナエマが、銀座のバームクーヘンを頬張りながら、獲物を品定めするように俺を見る。
「ちょうどいいわ、潤子。堀井先生が持ってきた『Aethel』の新作、【形状記憶型・粘膜フェイクティント】の耐久テスト、今からあんたでやるから」
「……は? 形状……なに? ティー、ティント?」
「いいわね、桐山。私のブランドの新作は、どんなに激しく動いても、たとえ涙を流しても、あの『うさぎ舌』のような初々しい粘膜色を24時間キープしてよくてよ。さあ、バームクーヘンの前に……その唇を差し出しなさい」
先生が白衣のポケットから、医療用シリンジのような形をした、いかついスティックを取り出した。
「とりあえず俺は今、お腹すいてるんで! コーヒーとカップラーメン先にいいですか!? それになんでそんな、ガトリング砲みたいなリップで狙われなきゃいけないんだ!」
『きゃはは! 潤くん、先生も加わって「フルブースト」状態だね! ほら、先生が「Aethel」の新作ファンデも取り出したよ! それ塗ったら、そうね……ギャル化のままオーバーナイト(一晩越し)ね。「超水光バリア」が張られちゃうかも!?』
「エナエマ、笑ってないで助けて! 先生、そのファンデーション!? えーと、えーと、色が白すぎて俺の肌には合わない気が――」
「素人はおだまり。この私の計算に狂いはないわ。……子猫ちゃん、あんたのパーソナルカラーを、私の魔力で強制的に『ブルベ冬の頂点』までトーンアップさせてよくてよ。これぞ、科学と美の融合……!」
「子猫ちゃんって……泣くわ! ……鬼かよ!!」
「……だからそこはハイエルフかよ、でしょ?♡」
リビングは、新作コスメの香りと、母さんが淹れ直した銀座のコーヒーの香りに包まれる。
「さあ、口を閉じない。塗りムラが出るわ。……そう、いい子ね」
フルメイクを施され、俺はただただ、ギャルの姿のまま淹れたてのコーヒーを啜るしかなかった。バームクーヘンは、泣けるほど美味かった。
ってか、は!? 今日の修行はギャルのままか!?
俺が呆然としている側で、母さんは気にせず微笑む。
「夕ご飯は先生もご一緒にいかが?」
「お言葉に甘えて」
堀井先生がメガネをくいっと上げた。
「じゃあウー◯ーにしよ! プチパーティしながら打ち合わせしましょう! とっておきのスパークリングあるから、飲みましょう!」
「ありがとうございます」
メガネをくいくいっとあげる堀井先生。
……またピザかな!?
ラーメン欲してるのに
しかし女子って美容へのこだわりすごいわ
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