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天狗✖️ギャル天女  作者: 抹茶ラテ


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11/76

日曜の朝ぐらい

「おはよー! 潤子ぉー!」


ドサッ!! という衝撃と共に、姉貴がベッドにダイブしてきた。

寝ぼけ眼の俺に、容赦なく姉貴のモフモフしたパジャマの感触が襲いかかる。


「……っ。姉貴やめて……ってまだ……6時じゃん…………日曜ぐらいもっと寝たいし、ちょ、どこ触ってんだよっ」


「いいじゃなーい、潤子が可愛すぎるのが悪いのよ! ほら、起きて! 目覚めの白湯飲みにキッチン行くよ。内臓温めて、昨日の脂リセットしよ?」


白湯さゆ……? ただのお湯じゃねーか。コーヒーか、せめて味噌汁を……」


「ダメ、カフェインはその後。ほら、飲んだら即、洗顔とパック! 今日の潤子は『ブルベ冬』の透明感をバチバチに引き出さなきゃいけないんだから!」


「ブルベ……? なんだよそのプロレスの必殺技みたいな名前……。大体俺、まだ15歳で顕現めざめたばっかりで守護体エナエマとの同調だけでも疲れてんだよ!」


守護種うちら宿命サガね。イケてる女子は朝が早いのよ、ほら立って!」


給食当番ナイトキャップの格好のまま温いお湯を啜り、鏡を見る。

……クソ。昨日あれだけやったのに、顔がパンパンじゃねーか。




【朝食:女たちの円卓】


祖父と父は早朝から「結界の確認」らしくラボに、家の中は完全に女の園だ。

リビングに残されたのは、母、姉貴、天女エナエマ、そして白湯を飲みつつの俺。


「あら、潤子。コーヒーも淹れてくれるの? さすがレディーファースト!」


母がテラコッタ色のリネンシャツを颯爽と着こなして微笑む。母さんの後ろには、鼻の高い天女の守護体が美しく控えているが、母さん自身は「骨格ナチュラル」を活かしたラフな格好でパンを齧っている。


「……別に。女性の大変さ身に染みたし、たまには役に立ちたいだけだ。ほら、姉貴、熱いから気をつけろよ」


「ありがとー。潤子、コーヒー淹れる時だけは無駄に男前よね」


「……余計なお世話だ。……なあ母さん、女子って朝も昨日の夜みたいなルーチンあるの!?」


「当たり前でしょ。美しさは一日にして成らず、よ。潤子、その『ブルベ(ブルーベース)』特有の透明感を維持大事だから」


肌の根底に青みがあって、シルバーが映えるタイプ……それがブルベ。姉貴も俺もその血統らしいが、母さんのような「イエベ(イエローベース)」の温かみのあるオーラとは、確実に対極にいるらしい。


朝食食べ終え

朝のルーチンを姉貴と一緒に済ませると


その平穏は、マサと桜子の登場で一瞬にして崩れ去った。



「おっ、潤子! 今日もギャルてんな! ……ってお前、なんか昨日より肌違くね!?」


マサがデリカシーのない声で覗き込んできた。


「ふふ、潤子さん、とっても素敵ですわ!」


桜子は俺たちとは違いイエベ。コーラルピンクが最高に似合っている。同化種の二人は、ツノや尻尾を引っ込めるのに神経を使っているせいか、どこかソワソワしている。そんな俺たちを見て、姉貴がカラーパネルを取り出した。


「よし全員揃ったわね! 潤子のために基本を教えないとね、パーソナルカラーと骨格診断!」


「基本……!? ……おい、俺はヨガに行くって聞いて……」


『あはは! ジュンチン、まだ自分の素材も分かってないのw? ちなみに潤子は銀髪で「ブルベの冬」よ♪』


俺の後ろでプカプカ浮いているエナエマが、どぎついショッキングピンクの布を当てた。守護種のコイツは、一般人には見えないのをいいことに好き勝手言いやがる。


「うおっ、眩しっ! 目がチカチカする!」


「見て、潤子。この色を当てると、あんたの銀髪と肌が発光したみたいに綺麗に見えるでしょ? でもこっちの、桜子が着てるパステルピンクを当てると……」


「……うわ、潤。お前、急に泥酔したおっさんみたいな顔色になったぞ」


マサが指を差して笑う。


「笑ってんじゃねえ! ……っていうか、なんで桜子と同じ色が俺には呪いになるんだよ!?」


「あんたはパキッとした色が似合う『冬』、桜子ちゃんは柔らかい色が似合う『春』なの! あと潤子、あんたは桜子ちゃんと同じ『骨格ウェーブ』。上半身が薄くて重心が低いから、ウエスト位置を上げないと短足に見えるわよ!」


「上半身が薄いだと? 俺は毎日、素振り100回や筋トレやってんだぞ!」


「筋肉じゃなくて骨組みの話! 潤子は柔らかいシフォンとか盛り袖で上半身にボリュームを出さないと、貧相に見えるのよ。逆にマサ、あんたは姉貴と同じ『ストレート』。そんなクタクタのTシャツ着てると、ただの太った人になるわよ」


「骨格ストレート……? ナチュラル!? ウェーブ……!? 男にも関係あるのか!?」


「あるに決まってるよ! 同化種のマサなんて、一般人に見えないツノの位置で帽子選ぶより先に素材感気にしなさい! 潤子にマサみたいな厚手のチノパン穿かせたら、下半身の重さに負けて見るからに短足に見えちゃうでしょう?」


「……。……なあ、日本語を喋ってくれ。素材がどうとか、俺たちの人生に関係あるのか?」


「大アリよ! コスメもファッションも、自分を一番綺麗に見せる『正解』を選ぶの! ほら、さっさと着替える!」




午前中いっぱい、「色」と「骨」の迷宮に放り込まれた。


「よし、完璧! それじゃあ、代官山にお昼に行きましょう!」


「……。……なあ、エナエマ。俺、もうこの時点で、体力が残ってないんだけど……今日も銀座で良くね!?」


『あはは! まだヨガすら始まってないよw! ランチは代官山のテラスで「サラダボウル」とグルテンフリーの日替わりランチだよ♪ 葉っぱもいっぱい食べようね!』


「……葉っぱ。……俺は、肉が食いたいんだよ……ッ!」


潤の叫びは空しく響き、お洒落の聖地・代官山へと強制連行されることになった。

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