路〜産声〜(15)
「能力ってのは、人間が本来なら持ち得ないであろう力のことだ」
「…?持ち得ないっていうのは?」
「たとえばだなー…俺の能力は幽体離脱だ。一回殺されてももう一回幽体になって生きることができるんだよ。こーゆー、普通の人間だったら持てないやつを能力っていう」
「はー、なんかすごいですね」
シャーベットは、自分とは違う世界のことのように感じていた。
「じゃあ、ザザさんの能力はなんですか?」
「あー、あいつのは…」
「俺のは五感を操る能力だよ」
ザザはそう歩いてきながら答えた。
「あ、ザザさん…無事だったんですね」
「おう、ザザ遅かったな」
「悪い、ちょっとあいつに強さの秘訣を聞いてた」
「へー、まあいいや。帰ろうぜー」
「そうですね。もう夜明けでしょうし」
「あ、もうそんな時間かー」
「そりゃ賭博始めたのが今日だったからな。それはそうとシャーベット、あの護衛たちは大丈夫だったか?」
「はい、余裕でしたよ」
シャーベットは控えめにドヤ顔をしてみせた。
「後始末は?」
「とりあえず縄で縛っときました」
「おーけー、まあ片付け呼んでるから後始末はどうにでもなるだろ」
「そんなのあるんですね」
二人の会話をつまんなさそうに見てたアラキが口を挟んだ。
「なぁなぁ、そんなんどうでもいいから、ラーメンでも食べて帰ろうぜー」
「お、いいですね。私豚骨がいいです」
ラーメンと聞いた瞬間シャーベットの架空の猫耳がピンと反応した。
「お、シャラ猫豚骨派?俺は断然醤油だなー!」
「君たちセンスないな。塩が至高だろ」
「はー?お前塩とかいっちゃんねえわ」
「は?塩バカにすんなよ。塩が一番あっさりしてて、朝帰りに食べるのがうまいんだよ」
「まぁまぁ、生きながら考えましょう?とりあえず豚骨ラーメンが第一候補ということで」
「「おい!」」
そう言って三人は、暗い地下道を笑いながら歩いていった。
煌々と照らされた、散らかったギャンブル場をあとにして。
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