路〜産声〜(13)
ーー地下道入口
ザシュッ
「ふぅ、これで最後、だな」
シャーベットの周りには血まみれになった死体が10個ほど散らばっていた。
シャーベットは周りに敵がいないことを確認すると、自分が持っていたナイフを懐の中にしまった。
「さて、お前らは…どうしようか」
視線の先には一塊になって怯えた目でこちらを見ている貴人どもがいた。上品で綺麗だったスーツも、もはや見窄らしいものにしか見えなかった。
「お前らは、裏賭博をしていた。つまり犯罪者だ。私はどうするべきだと思う?」
「く、来るなあぁあ…!」
シャーベットの足に弱々しく投げられた石が当たった。
「私はお前らが生きてようと死んでようとどっちでもいいんだがな…どうしてほしい?」
そう言いながらシャーベットは彼らがいる壁側に歩いていった。
彼女にとってはただ歩いているだけであったが、その様子は、貴人達にとって怪物が自分たちを殺しに来ているようにしか思えなかった。
ーーギャンブル場
「おまえ、強いなぁ」
「…そっちこそ」
煌々と輝く照明の下、こちらも戦闘が繰り広げられていた。
アラキは余裕綽々といった表情で楽しみ、ただ立っていた。一方少年はというと、全身キズだらけで呼吸も浅くなり、少し猫背になっていた。
少年は、またトップスピードでアラキに突っ込んでいった。しかし、アラキはまたもそれを軽々と躱しながら少年を殴った。
「…」
「そろそろ降参するか?」
「…まだだ」
ーーどういうことだ。俺の能力の速度について来れるやつは今までいなかったのに。こいつは余裕でついてくる。それどころかこっちが攻められているだと…
少年は驚きと疑念を抱きつつも、絶えず攻撃を仕掛けた。
そしてカウンターを食らい続けた。それでも少年は攻撃を絶やさなかった。
速く、強く、より速く、より強く、もっと速く、もっと強く、もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと…………………
それでも、77秒間アラキの表情が崩れることはなかった。
78秒後、絶えない攻撃も虚しく、少年はとうとう立つのも限界なほどダメージを食らい、倒れ込んでしまった。
少年の体に刻まれた数多の傷とアラキの傷一つない体が二人の実力差を物語っていた。
「ふぅ、強かったよお前。じゃあな」
そう吐き捨てるとアラキはザザの方に向かっていった。
「はぁ、バケモンかよあいつ…転職もありかな……はあぁ」
少年は仰向きになって目を手で覆い隠した。頬が少し濡れていった。
評価や感想等、良ければお願いします!




