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ざわざわ☆最初の授業


「今日からこの魔術師学校の特別教官として世話になる、ユーイチだ。よろしく頼む」


この世界では名字という概念がないので、もうユーイチとしか言わないことになった。

名乗るときは出身の村や肩書、あるいは親の名前を前置きにつけるそうだ。


「って、男じゃないですか!?」


一番前の席のど真ん中にいる生徒が声を上げる。

男は魔術が使えないらしい。

魔術が使えないのに魔術師学校の教官になってることに対して疑問があるのだろう。

俺もそう思う。


「その通りだ、俺は魔術が使えない」


俺は教壇でみんなに向かって自己紹介を続ける。

ざわつく生徒諸君。

1クラスは30人程度だ。

俺は担任を持つ教師ではなく、特別講師のような位置にある。


「魔術が使えない魔術師学校の教官って、意味わからないんですけど?」


そうだな。

俺もそう思う。


「みんなが思ってる以上に、俺は魔術のことなんて何一つ知らん」


どよめく教室。

でも、これは言っておかないとな。

バン、と両手で教壇を叩いて教室を静かにさせてから思わせぶりに口を開く。


「ただし、みんなの魔力を上げることはできる」

「な、なんですって?」


信じられないのも無理はないだろう。

俺もなにかの間違いなんじゃないのかと未だに疑ってる。


「シラーラ、教えてやってくれ」


こういうときのためにシラーラを一緒に連れてきたんだ。


「えぇ~」


なんなの、あいつ。

なんで嫌がってるの?

言い方悪いけど、奴隷だったところを学生にしてあげてる恩人だぞ俺は。


いいから、と顎をしゃくって発言を促すと渋々という顔で立ち上がった。


「みなさん聞いてください、なぜかはわからないけれど、ユーイチ好みの女になると、なぜか魔力が向上するの」


言い方!

別に俺好みにしてるわけじゃねーよ!

その子が一番輝けるように考えてるだけ!


「みんな、シラーラを見てくれ。正直なところ、滅茶苦茶可愛いと思わないか?」


その瞬間、シラーラは顔が焼いた鉄板のように紅く熱くさせ、身体をガチガチに固めてすくみあがった。

クラスのみんなは唖然として、ぽかんと口を開けていた。

なんか変なこと言ったか、俺?


「確かに可愛いとは思いますが……」


委員長キャラっぽい子が発言してくれた。


「そうだろう、そうだろう。俺の自慢だ」


俺は両腕を組んで、頷いた。

シラーラ大丈夫かな?

なんか目を開けたまま気絶してるみたいに見えるけど。


「何ですの!? なんで私達は恋人自慢なんか見せられてますの?」


恋人?

俺とシラーラが?


「ち、ち、ち、ち」


シラーラの様子がますますおかしい。

ちしか言えなくなった。


「違いますーーっ!」


そう叫びながら、教室から飛び出していった。

うーん、どうしたんだろう。

腹減ったのかな?


とりあえず、話の続きをしなければな。

俺は、ごほんと咳払いをしてから再度、教壇を手で叩いた。


「シラーラは恋人じゃなくて、俺が飛躍的に魔力を向上させた相手だ」

「魔力を?」

「みんなすぐに理解できないと思うが、可愛いければ可愛いほど魔力が強いんだ」

「「はぁ~?」」


何を言ってるんだこいつは、という雰囲気がクラス全体から伝わってくる。

10歳そこらの女の子にどうしてそこまで言われなきゃならんのだと思うが、俺は10歳そこらの女の子の事が大好きなので許す。

しかもこれから俺が俺好みに、おっと違った、魔力が上がるように指導する可愛い生徒なのだ。

ざっと見渡した限りでも、宝石の原石ばかりだ。

俺がこのクラスを、無敵の激萌え魔法少女教室にしてくれるわ。


「本当はシラーラの魔力を見せて、うわ~すご~い本当に魔力すご~いと思って貰おうと思っていたんだが」

「先生、それ私達のこと馬鹿にしてます?」


先生……今先生と呼ばれたぞ。

良かった……生きててよかった。


「どうしたんです、先生、大丈夫ですか?」

「すまん、ちょっと今感動してた」

「やっぱり馬鹿にしてます?」

「すまんすまん、えっと君、自己紹介してもらっていいか」


俺が自己紹介を頼むと、彼女は片足に体重をかけて立ち、片手を自分の胸に当てながら名乗った。


「私はこのクラスの学級委員をしております、シャラルナです」


シャラルナか。

長い金髪で、肌はやや浅黒く、適度に引き締まった肉体だ。

背は周りに比べてやや高め。おそらく年長者なのだろう。

気位が高く、責任感があるタイプとみた。

第一印象は、中近東の貴族の娘とかそんな感じかな。


「よし、じゃあまずはシャラルナの魔力を倍以上にしてみせよう。みんな、それでどうだ?」


先程までと打って変わって、シーンとなる教室。


「そんな簡単に魔力が倍になったら苦労しませんが」

「俺はそのためにやってきたんだ」


本当に気の強い女の子だ。

年上の男性でしかも特別教官だと言っているのに、全く下手に出る気配がない。

いいぞ、そういう個性こそが萌えの源だ。


釣り上がった細い眉毛も。

黒目が大きくて意志の強そうな瞳も。

磨けば必ず光る。


「よし、まずは風呂に入れ」

「はあああああ!? なんですか、失礼な。3日前に入ったばかりです」


俺は嘆息する。

仕方ないんだろうなー、昔はそうだったとも聞くしな。


「シャラルナ以外のみんなにもお願いしたいんだが、風呂は毎日入れ」

「「えええええ~!?」」


やれやれ、先は長そうだな。



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