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ゴシック&ロリータは、はばからないっ!?  作者: ねず ただひま


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11/17

お願いと、壁ドン

「で、コレをあたしからふみに渡せ……と?」


 アカリは自分の手のひらのロゼットに視線を落としている。


 ところでみんな、壁ドンって知ってますか?


 そうです、イケメンが美少女を壁際へ追いやり、美少女の背後の壁に手をついて距離を縮めるヤツです。そう、ソレです。その壁ドンなんですが……


  僕は今、放課後の人気のない廊下で、新田アカリに壁ドンをされている。いや、これなら逆壁ドンか? 

 僕はまるでヘビに睨まれたカエルだった。ハスキーな声も相まって、アカリからは捕食者のような圧を感じる。

  

 おい僕よ、どーしてこーなった?


 アカリもヒサシや凛と同じく、僕の幼馴染みの一人だ。アカリは島内にある別の小学校の出身だけど、みんなと一緒に遊んだことがある仲だ。鋭い目つきはその頃から変わっていない。小学生の間は普通に会話をしていたけれど、中学に上がると徐々に会話は減り、しまいには挨拶すらしない仲になってしまっていた。それは、ヒサシと凛も同じだった。

 

 アカリは僕より少し背が高い。多分175センチはあるだろう。上からの圧は、まるで僕の両肩にのしかかっているようで重たく感じる。


「久しぶりに話しかけられた思ぉたら、こんなもん自分で渡さんかいや」


「いや、僕が渡すと変なんじゃないんかと……」


「別に変じゃないわ。ちゅーか、なんでふみの私物が川に落ちとんのよ? お前、コレが川に落ちてた理由を知っとんだろ? 正直に教えろ」


「そ、それは……」


「お・し・え・ろ」


 眉間に皺を寄せたままアカリは顔を近づけてくる。長い前髪の奥で瞳を光らせている。こ、怖い……けど、ちょっといい匂いがする。


「ええと……」


「はよ」


 ──僕はアカリの迫力に負け、全てを話した。

 体育館裏でロゼットを探していた河口さんのこと。

 神社で聞いた女子の会話。

 僕が川に入って見つけたこと。


「ふぅ〜ん、そうか」


 アカリは僕から離れると、腕組みをして、僕の隣で壁に背中を預けた。


「まったく! クソしょーもないことしやがって、誰ぞぉそいつら!」


 歯を食いしばり、憤るアカリの横顔は紅潮していた。


「栄磨《えま》! そいつらに心当たりは!?」


「ごめん、声だけじゃけん全然わからんかった」


 今にして思うと、僕は彼女たちの姿を確認しておけば良かったのかもしれない。


「くそッ! 犯人わかったら◯◯◯◯たるのに!」


 ……前言撤回。彼女たちの姿を確認しなくて良かった。この学校から死人が出ては困る。


「まぁ、ええわ。でもな、やっぱりコイツは栄磨《えま》がふみに返してやれよ」


 アカリはロゼットを僕へ突き返す。僕は首を横に振って受け取るのを拒否した。


「お、お願いだよ。ここは仲がいいアカリから河口さんに返してあげてほしい。『校庭に落ちとったけど、もしかしてアンタのとちゃう?』みたいに軽い感じでさ」


「アホか、んな重たい話聞かれたら後に、そんな軽く返せたりするか、あたしをなんだと思っとんよ」


 うう、なんとなく、アカリから河口さんの手に戻ることで、彼女が安心するだろうと踏んでいたのだけど……


「お前なぁ、だいたいふみはあたしらの……」

「おーい! アカリー!」


 アカリを呼ぶ声に振り返ると、河口さんがコッチに手を振りながら歩いてくる。マズイ!


「と、とにかく! 頼んだよ!」


 僕はアカリに向けて両手を合わせると、その場から逃げ出した。


「あ! 待てこら!」


 僕は走りながら心の中で何度も何度もアカリに謝った。

 

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― 新着の感想 ―
読了しました!! 完全に押し付けましたね笑 そして、アカリがなんか意味深なことを言おうとして遮られて……えええ、なんかめっちゃ気になる!! 次回も楽しみにしてます(*´ω`*)
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