四章 ~闘技大会~ (6)
昨年の闘技大会準優勝、ナスク・ネーブは風魔法の達人。風魔法で相手と距離を保ちながら、攻撃魔法で徐々に削っていき、最後に風魔法と攻撃魔法を合わせた大技で倒す。これが彼のセオリー。今日の一回戦も当然このプランでいくつもりだ。相手が十四歳の子どもでも容赦はしない。…はずだった。
昨年準優勝ということもあり大きな歓声で迎えられたナスクは、試合開始と同時に風魔法で相手を牽制する。しかし彼の魔法は当たらなかった。
外れた?ヤツはどこ…に!?って速っ、いつの間にここまで来たんだ!?
「防御まほ…ぐあっ!!」
まずい、体勢を立て直さないと、…は?なんだその数の攻撃魔法は!?
ナスクの眼前に無数の攻撃魔法が展開され、次々と襲いかかってくる。ナスクは風魔法でなんとか躱していくが、その動きは誘導されたものであった。
なっ!?コイツ、先回りして…
カルロの拳がナスクの脇腹にクリーンヒット。そのまま吹っ飛ばされたナスクはダウンし、早々に決着が着いた。
場内は速すぎる展開に何が起こったのかすぐには理解できず、少しの静寂があった後、新たなスターの誕生に歓喜した。
「すげぇ、何が起きたんだ!?」
「去年の準優勝者が瞬殺?とんでもない番狂わせだ!」
「まだ十四歳だろ?何者なんだ?」
カルロ・ブライトは瞬く間に注目の的になった。
シード組側控室
「おいおいマジか、ナスクのヤツ負けてんじゃねぇか。」
去年の三位、フィグ・イネースは驚きを隠せないでいる。彼だけでなく、シード組の誰もが動揺せずにはいられなかった。シード組の、それも去年の準優勝者という大本命が負けることは誰も予想できなかっただろう。
「ハッなさけねーな!去年の大会がレベル低かっただけなんじゃねーか?」
そう言ってのけるのは、王都防衛班からの刺客の一人、アート・ウィーマーだ。一回戦を勝てば彼は二回戦でカルロと当たる。
「なんだと?」
「俺ならあんなガキには負けない。ネーブの実力が大したことねーのか、もしくは去年準優勝した驕りで鍛練を怠ってたんだろうな。」
「勝手なことを言いやがって…」
「まあ見てろよ。あんなガキにビビることなんかねえ。俺がシード組の実力ってものを見せてやるよ!」
こうしてアートは一回戦に勝ち、見事二回戦ではナスク同様カルロに瞬殺された。




